不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

農地付き空き家

増加する空き家対策のため、近年空き家バンクを設置し情報提供する自治体は増加していますが、これら情報を横断して簡単に検索できるよう、国土交通省は「全国版空き家・空き地バンク」を構築し情報を提供しています。

また、公募により選定された2事業者(LIFULL・アットホーム)も、平成30年4月から本格的に運用を開始しHPで情報掲載を行っています。
ここ数年、都市から地方への移住を希望する移住者等において、農地付き空き家の希望が多く見られるようになったことから空き家と隣接する農地をセット(農地付き空き家)で情報提供する自治体も増えてきています。

令和6年8月末時点で、47都道府県を含めた1,788自治体のうち、「全国版空き家・空き地バンク」の参画自治体数は、1,076自治体(参画率61%)となっています。
また、上記2業者による物件掲載件数16,273件のうち、農地付き空き家の掲載は741件で、累計成約件数約18,400件のうち、農地付き空き家の成約は約1,800件(約10%)を占めています。

空き家をうまく使用することで地域の資源に変わり、地方の活性化にもつながる農地付き空き家の有効活用の動向については、今後も引き続き見守っていきたいと思います。

「農地付き空き家」の手続きについて
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001765864.pdf

借地権の相続

 相続する財産の中に、土地を借りて建てた建物が含まれていることがあります。
 この場合、相続する権利は建物の所有権のほかに、土地の「借地権」も併せて相続することになります。

 この「借地権」とは、建物の所有を目的として、他の方から土地を借りて利用する権利のことをいいます。(土地賃借権と言われることもあります。)

 したがって、土地の地主様に対して、「借地権」を相続することについて承諾が必要かと疑問になるかと思います。この「地主様からの承諾」については、結論から申し上げますと承諾をいただく必要はありません。ただし、「土地の借地権を相続しました。」という通知をしたうえで、できれば土地の賃借人が変わったことを確認する書面を取り交わしたほうが良いでしょう。

 これで地主様との関係は問題ありませんが、「借地権」を地主様以外の第三者へ主張するために、「借地上の建物の所有権登記」がされているか確認する必要があります。なぜなら、借地権を明確にする方法が定められており、その要件を満たしていないと「借地権」の所有を第三者に対抗できないためです。

 まず、借地権を明確にする方法として、「その土地へ借地権を登記」する方法があります。ただし、この借地権の登記は地主様の承諾が必要であり、実務上承諾をいただけることは少なく、登記されていないことが一般的です。
(土地の登記簿謄本に借地権の登記の有無が記載されています。こちらも確認されたほうがよいでしょう。)

 そこで、これに代わる借地権の明示として、「借地上の建物の所有権登記」があります。土地上の建物を所有していることを登記することで、借地権があることを主張できます。
 例えば、借地権の登記をしていない状態で、その土地を購入した他の方が、その土地の明け渡しを求めてきた場合、建物の所有権登記がされていれば、借地権を主張することができ、逆に建物の所有権登記がされていない場合は、その方へ借地権を主張することができないことになります。

 上述のことをまとめると、「地主様が他の人へ土地を売却した場合に、その人に借地人(借りている方)が借地権を主張する」ためには、借地権の登記を行うか、借地上の建物の所有権登記を行うことが必要です。

 したがって、登記をしないと「第三者へ対抗できない」ことになりますので、相続による借地権もしくは建物の所有権移転登記は行う必要があります。
 (なお、借地権を相続するにあたり、その建物に居住している必要はありません。あくまで「建物所有を目的とした土地の借地権」なので、建物を相続で所有することになり、一緒に借地権も相続できます。)

R6都道府県地価調査 ~特徴的な地価の動き~

今回は、先回に引き続き令和6年都道府県地価調査のことを記事にしたいと思います。

みなさまも、全国の地価が上昇傾向であることはニュース等で知ってらっしゃると思いますが、いくつか特徴的な動きがありますので、ご説明します。

≪住宅地≫
●低金利環境の継続などにより、引き続き住宅需要は堅調であり、地価の上昇は継続しています。特に、大都市圏の中心部などにおける地価は上昇傾向が強まっていると思われます。
●人気の高いリゾート地では、別荘やコンドミニアムに加え、移住者用住居などの需要が増大し、引き続き高い上昇となった地点が見られます。
●鉄道新路線等の開業による交通利便性の向上などを受け、上昇幅が拡大した地点が見られます。

≪商業地≫
●主要都市では、店舗・ホテルなどの需要が堅調であり、オフィスについても空室率の低下傾向や、賃料の上昇傾向によって収益性が向上していることなどから、地価の上昇が継続しています。
●外国人を含めた観光客が回復した観光地では、高い上昇となった地点が見られます。
●都市中心部付近では、マンション需要との競合により、引き続き高い上昇となった地点が見られます。
●再開発事業等が進展している地域では、利便性や賑わいの向上への期待感などから、地価の上昇が継続しています。

≪工業地≫
●TSMCやラピダスなどの大手半導体メーカーの工場が進出する地域では、関連企業の工業用地等の需要が旺盛となっており、地価の高い上昇が継続しています。
●eコマース市場の拡大による、大型物流施設用地等に対する需要を背景として、高速道路等へのアクセスが良好な工業地では、引き続き高い上昇となった地点が見られます。

上記のとおり、地価は上昇傾向なのですが、令和6年能登半島地震被災地をはじめ、災害で大きな被害を受けた地域では、地価が大きく下落しています。国土交通省が公表しているデータの変動率下位10地点(全用途)では、能登半島を中心とした石川県北部の地域ですべて埋まってしまいました。また、都道府県地価調査の価格時点は7月1日となります。そのため、9月に発生した能登半島豪雨災害の影響は反映されていませんので、来年3月に公表される地価公示でも下落傾向が続くのではないかとさみしい気持ちになります。

令和7年3月には、地価公示が公表されます。今後の地価はどの様な動きを見せるのでしょうか。
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