不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

空家対策に取り組む状況について

9月27日に国土交通省が、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)の施行状況等について、地方公共団体を対象にした調査の結果を公表しました(調査は令和5年3月31日時点)。

【調査のポイント】
①全国1,741市町村のうち、空き家対策に関する計画は、1,450市町村(83%)で策定され、法定協議会は992市町村(57%)で設置されている。

②平成27年の法律の施行から令和4年度末までに、空家法第14条に基づく特定空家等に対する措置が、41,476件講じられている。

(特定空家)
1.そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

助言・指導 37,421件
勧告 3,078件
命令 382件
行政代執行 180件
略式代執行 415件 合計41,476件

③空家法の施行から令和4年度末までに、空家法に基づく措置や市区町村による空き家対策によって、168,198件の管理不全の空き家の除却や修繕等が進んでいる。

・空家法の措置により除却や修繕等がなされた特定空家等 22,148件
・上記以外の取組により除却や修繕等がなされた管理不全の空き家 146,050件 合計168,198件

◎国交省は、改正空家法の施行に向けた空き家対策の現在地として公表しています。
改正空家法は、令和5年6月14日に公布されており、公布の日から6ヶ月以内に施行されます。
空家法の施行により、特定空家の数の把握や対応等進んできたと感じます。
また、空き家等の譲渡所得3,000万円控除など税制も空き家対策一役買っていると思っています。
空き家等の譲渡所得3,000万円控除に係る確認書の交付実績を見ると毎年交付件数は増えています。

平成28年度 4,472件
平成29年度 7,033件
平成30年度 7,665件
令和元年度 9,676件
令和2年度 9,824件
令和3年度 11,976件
令和4年度 12,956件

○改正空家法が施行されると、固定資産税の住宅用地特例の解除について、現行では特定空家に対する措置でしたが、管理不全空家等(放置すれば特定空家等になるおそれがある空家等)にも範囲を広げるなど、特定空家化を未然に防止する制度にしています。
 現行→市区町村長から勧告を受けた特定空家の敷地について固定資産税の住宅用地特例を解除。
 改正→市区町村長から勧告を受けた管理不全空家の敷地についても、住宅用地特例を解除。

 住宅用地特例 200㎡以下の部分 固定資産税の課税標準を6分の1に減額
        200㎡を超える部分 固定資産税の課税標準を3分の1に減額

その他、相続登記の義務化など、ここ数年空き家の対策が進んでいると感じています。加えて、中古住宅の流通量を拡大させるなど、空き家が問題になるのではなく資産となるような社会になってほしいと思っています。
 





2023年 基準地価

9月19日(火)に、7月1日時点の土地の価格を示す基準地価が発表されました。

愛知県は、住宅地で前年比プラス2.1%、商業地でプラス3.4%となっており、住宅地のトップは「中区錦1丁目324番1(プラセシオン名古屋伏見)の土地(約538万円/坪)で16.4%の上昇率、商業地のトップは「錦2丁目1901番(名古屋鴻池ビルディング)」の土地(約1,470万円/坪)で14.7%の上昇率となりました。

筆者が働く名古屋の地価は、住宅地・商業地のどちらもコロナ禍の影響で一時下落も見られましたが、現在は需要も回復し地価の上昇が続いている結果となっています。

住宅地を見てみると、生活利便性の高いエリアのマンション需要が起因し基準地価の上昇をおし上げていると思われますが、戸建用の土地に目を向けると、近年の建築費高騰による販売価格上昇の影響は一部にとどまっているような気がします。

一方、商業地では、リニア中央新幹線の開業やインバウンド等により、当面の上昇が期待されますが、地価と実体経済の乖離などについて動向には今後も注視していきたいと思います。

定期借地権付き分譲マンション

分譲マンションの土地について、一般的な所有権の他に、一般定期借地権によるものがあることはご存じでしょうか。

簡単にご説明すると、「マンションの敷地が借地」であることです。
借地であるため、一般的な分譲マンションと下記のような違いがあります。
①販売価格に土地が含まれていないため、一般的な所有権のマンションと比較して価格が安い傾向にある。
②土地の固定資産税を支払う必要がない。
③毎月の地代の支払いが必要。
④購入時に権利金や敷金等の支払いが必要。
⑤契約期間満了後(50年以上)には、建物を解体して更地にして返還する必要がある。(解体準備金等の積み立てが必要)

特に⑤については、分譲マンションは基礎がしっかりしており、解体費用が高額になる可能性があります。
しかしながら、最近販売が開始された新築の定期借地権マンションにおいて、⑤の解体更地での返却が不要、
期間満了時にその建物を無償で地主が引き取るという方式が採用されています。
地主がそのマンションの開発業者であり、その建物の建築主であることから、その建物の譲渡を受けたあと、再利用等を検討する予定とのことです。
建物の解体は、新築時にはかなり先の話なので現実感がありませんが、大きな費用がかかることもあり
ご検討のネックになりやすい事項です。これがクリアされる定期借地権付きマンションが販売されるとのことで、今後の売れ行きに注目していきたいと思います。

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