不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

市街化調整区域内の価値ある土地“既存宅地”とは

市街化調整区域(以下「調整区域」といいます。)は、“市街化を抑制する区域”であり、都市の郊外で田畑が広がっているような地域です。農林漁業を営む人の住宅など、限られた建物しか建築できず、土地の価格は廉価、もしくは取引が成立しないことも珍しくありません。

そのため、不動産仲介業をしていると、「土地を売りたい」という、テンションの上がるご依頼でも、「“調整区域”の土地を売りたい」となると、「売却ができる土地だろうか」と不安が混じるものになります。

しかし、調整区域の土地が、全て廉価な価格でしか売買できないということはありません。

不動産業者もテンションの上がる土地があります。その代表的なものが、不動産業者の間で、“既存宅地”と呼ばれる土地です。


調整区域は大昔からある地域ではなく、制度の変更によって創られた地域です。そのため、調整区域に指定される以前より宅地であった土地には、建物が建築しやすいという制度があるのです。

調整区域として指定された年月日や、制度については地域により違いますので、詳しくは該当する土地に所在する行政機関に尋ねて頂きたいのですが、私どもが不動産仲介業をしている愛知県の場合では、調整区域が指定されたのは昭和45年11月24日、制度としては愛知県の開発審査会基準17号に該当していれば建物が建築できます。

開発審査会基準17号のいう既存の宅地とは、“市街化調整区域に関する都市計画が決定され、又は当該都市計画を変更してその区域が拡張された際、すでに宅地であった土地で、現在まで継続して宅地であるもののうち、おおむね50戸以上の建築物が(おおむね50mの距離をもって)連たんしている土地”とあります。

調整区域の土地についてご相談を受けた場合は、まず、その土地について、法務局で、登記事項証明書を取得し、調整区域が指定された際の地目や、住宅地図等で該当の土地の周辺を確認します。調査の結果、開発審査会基準17号のいう既存の宅地であれば、廉価ではない価格で取引できる可能性が広がります。

このように、調整区域内の土地については、“既存宅地”に該当するかということが、不動産取引において重要な部分を占めます。

空き家対策はムチよりアメか

1ヶ月ほど前、本ブログの中で、地域に悪い影響を及ぼす空家の撤去について、40%余りの人が
「行政の関与で」と考えていることが、内閣府の世論調査で分かった旨の書き込みをしました。
その調査結果の影響の有無は不明ですが、今年度に引き続き、来年度も空き家対策関連の税制改正が
ありそうです。

今年度の改正は、“空家等対策の推進に関する特別措置法”に基づく必要な措置の勧告の対象となった
特定空家等に係る土地について、住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の
対象から除外する措置を講じるという『ムチ』の改正でした。

一方、先日公表された“平成28年度税制改正大綱”によると、来年度は『アメ』の改正となりそうです。
改正の内容は、下記の通りです。

「空き家に係る譲渡所得の特別控除の創設」
相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住用家屋を相続した相続人が、
その家屋(耐震性のない場合は耐震リフォーム後のものに限り、その敷地を含む。)又は除却後の土地を
譲渡した場合には、その家屋又は除却後の土地の譲渡益から3,000万円を控除することができる。
<要件>
 ①昭和56年5月31日以前に建築された家屋(マンション等の区分所有建築物を除く)であること
 ②相続発生時に、被相続人以外に居住者が居なかったこと
 ③譲渡した家屋又は土地は、相続時から譲渡時まで、事業、貸付、居住の用に供されていたことがないこと
 ④平成28年4月1日から平成31年3月31日までの間の譲渡であること
 ⑤譲渡価額が1億円を超えないこと

空き家を売却する流れは、耐震リフォーム後又は除却(解体)後の何れかとなっていますが、対象となる
建物の築年を考えると、除却後の売却が主流となりそうです。

近隣の目が気になり、空き家の売却をなかなか決断出来ないという話を耳にすることがありますが、
その様な方にとって、今回の改正は、売却の大義名分になり得るかもしれません。

個人的な意見ですが、今回の改正は、機転が効いた良い改正であり、不動産を取り扱うものにとっては、
間違いなく改正の目玉であると確信しています。


マイナンバーと不動産取引

先日、自分と家族のマイナンバー通知が自宅に届きました。
実際に届いてみると、マイナンバーの運用が始まる実感と、利用範囲がどこまで広がるのかを
考えさせられます。

内閣官房の「マイナンバー制度」説明のHPにマイナンバーの提出が求められる可能性があるケースが
紹介されていました。
その中で不動産に関していえば、「不動産業者又は法人から年間100万円超の不動産譲渡の対価、
又は年間15万円超の不動産仲介料もしくは不動産使用料(家賃)を受け取られる方」がマイナンバーの
提供を求められる可能性があると説明されています。

マイナンバー制度が始まることにより、現状では不動産取引の実務に関わってくるものは確定していませんが、
近い将来に実務上でもお客様のマイナンバーを確認する場面が出てくるだろうと想定されます。
本人確認が求められる不動産取引や登記手続き、住宅ローンの契約等がありますので、
現実的にはそういった場面でのマイナンバー確認が必要になるのではないかと思います。

お客様にとっても、マイナンバーを不動産業者へお知らせすることに抵抗もあるかもしれませんが、
不動産業者としても重要な個人情報であるマイナンバーを知ることは、しっかりとした情報管理体制が
求められることはいうまでもありません。

どのようにマイナンバーの利用範囲が広がるのか、個人的にも若干の不安がありますが、
実務にどのように影響が出てくるのか注視していく必要があります。
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