不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

マーケット間のギャップ(不動産売買と不動産賃貸)

不動産売買マーケットが過熱する一方で、不動産賃貸マーケットは盛り上がりに欠けており、
両マーケット間のギャップを感じるようになってきました。個人的には、両マーケット間のギャップは、
下記要因により生じるものと考えています。

◎需要・金額ともに、売買の方が景気動向の影響を受けやすい。
 ⇒ 売買の方が影響を受けるエリアが広く、その対象となる建物が多い。
       ※売買については、影響を受けるエリア内であれば、殆どの建物がその対象となるが、
     賃貸については、そのエリアが狭いだけでなく、一定水準以上の建物でないと対象とならない。
   ※賃料は、一定期間(2~3年)据え置きの場合が多く、少し遅れる形で景気動向に反応する。
           また、景気動向に関係なく、新築時の賃料が最高となる場合が圧倒的に多い。
     (賃料が安くなることはあっても高くなることはない)

◎不動産価格上昇により投資利回りは低下するが低金利が需要を下支えする。
 ⇒ インカムからキャピタルゲインを狙うようになると均衡が保たれなくなり、崩壊する恐れあり。
   ※賃料を借入金で支払うことはタブーであり、低金利の恩恵は限定的である。

現在の不動産売買マーケットは、低金利に支えられている側面があり、更なる景気回復とともに、
金利が引き上げられることになると、転機を迎え、好ましい状況ではありませんが、マーケット間の
ギャップは縮小していくかもしれません。


建築費の上昇をデータで見る

 この数年、不動産業者との間で話をするときに、挨拶のように「建築費が高くなった」と
言うようになりました。
 建築費が高くなるということは、それだけ建物の価格が高くなりますので、購入する方から
見ても、数年前より不動産価格は高くなっていると感じられていると思います。
 (勿論、地価が高くなっていることも要因ではあります。)

 実際に建築費がどれだけ高くなっているかを見てみるため、国土交通省が実施している
住宅経済関連データ(平成26年度)のうち、次の2つの建築費を確認してみました。

 参考データ①
 <3>建築費及び地価の現状
 1.住宅建設に関するコストの概況
 (1)首都圏のマンション価格、住宅地価格、住宅建設工事費、消費者物価指数の累積変動率の推移
 
 参考データ②
 <3>建築費及び地価の現状
 2.建築工事費
 (1)建設工事費、消費者物価の推移

 このデータの中から、「建設工事費」及び「マンション価格」、「消費者物価指数」を抜き出し、平成17年度を
100として比較してみると、下記のようになります。

グラフ①

グラフ②

 このデータを見ると、下記のような傾向が見れると思います。
 ①建築費が高騰していることはデータからも見て取れる。特にマンション価格は
  大きく影響を受けていると考えられる。
 ②リーマンショックがあった平成20年の水準から比較すると、マンション価格は
  既にその水準を上回っており、建築工事費も同水準となっている。
 ③消費者物価も連動しているが、建築工事費はマンション価格と同じような
  上昇傾向は見られない。

 このことから、建築費は間違いなく上昇しており、特にマンション価格に大きな
影響を与えています。
 東京オリンピックやリニア新幹線の開業もあり、建築費が下がる材料が少ないとは
感じますが、今後の動向は不動産業界にいるものとしてウォッチングしておかなければ
なりません。

名古屋にタワーマンションは根付くのか?

東京や大阪に出かけると目を見張るのが、超高層のオフィスビルの多さもさることながら、タワーマンションの多さです。新幹線で東京に向かう際、新横浜を出て多摩川を渡る手前の車窓から見る武蔵小杉近辺の超高層マンションの集積ぶりや、以前の記事にも書きましたが、湾岸エリアにおけるタワーマンションの新規供給ラッシュにはただただ驚くばかりです。大阪も負けてはおらず、大阪市内では公共施設の跡地などを利用したタワーマンションの建設が相次いでいますし、高槻などの衛星都市でもタワーマンションの供給が行われています。

一方、東京・大阪に次ぐ都市規模を持つ名古屋はどうでしょうか? 確かに名古屋にも「ミッドキャピタルタワー」(熱田区)や「ザ・シーン城北」(北区)、最近のものでは「グランドメゾン池下ザ・タワー」(千種区)などの高さ150mを超えるようなタワーマンションが存在していますが、東京や大阪と比べると圧倒的に数は少ないように思われます。

では、要因はどのようなところにあるのでしょうか。個人的には以下のように考えています。


・ 東京や大阪に比べると名古屋の地価は相対的に安いことから、タワーマンションのようにそこまで土地の高度利用をする必要性が低い。

・ 名古屋では戸建住宅志向が強く、同じ価格ならば専有面積が狭いマンションよりも面積的に余裕のある戸建住宅を選ぶ傾向にある。

・ 同じ理由として、自動車普及率の高い名古屋では一世帯でも複数の自家用車を保有することがあり、マンションだと駐車場代等の面で不利になる。

・ タワーマンションの数が少ないが故、ステータスシンボルとしての魅力に乏しい。

それでは、今後名古屋にタワーマンションは根付いていくのでしょうか。


個人的には根付いていくと考えています。実需や節税対策の面から、今後名古屋で開発が予定されているタワーマンションに対する富裕層のニーズをよく聞きますし、名駅周辺では潜在的な再開発の動きもあることから、タワーマンション建築という選択肢がとられることも増えていくのではないでしょうか。


但し、当局が今後、タワーマンション節税に対する対策を強化していくことも考えられます。そうなると、タワーマンションのニーズに一気に陰りが出ることも考えられることから注意が必要です。

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