不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

投資用不動産の利回りについて

  投資用の不動産を選ぶ基準の一つとしてこの「利回り」があります。利回りは収益性を
はかる目安とされるもので、大きく分けて表面利回りと実質利回りの二種類があります。

 表面利回りは、グロス利回りとも呼ばれ、一般的に広告で表示される利回りです。
ここの年間の家賃収入は、基本的に満室時を想定されているため、現況で空室があれば
表示されている利回りより低くなります。

 計算式 :年間の家賃収入等 ÷ 物件価格 × 100

 これに対して、実質利回りはネット利回りとも呼ばれ、現況の家賃収入や保有時の
運営費用も考慮に入れて計算された利回りです。保有時の運営費用には、固定資産税や
都市計画税、修繕費や維持管理費、火災保険料などがあり、それぞれを調べる必要が
あります。

 計算式 :(年間の家賃収入等 - 保有時の運営費用)÷ 物件価格※ × 100
 ※物件価格に購入時の諸経費を含める場合もあります。

 この二種類の利回りは、以下のように違いが出てきます。

 例えば、物件価格5,000万円、満室時の年間の家賃収入等が500万円、現況での年間の
家賃収入等が400万円、保有時の運営費用が100万円だとすると、

 表面利回りは

 500万円÷5,000万円×100=10.0%

となり、実質利回りの場合は

(400万円-100万円)÷5,000万円×100=6.0%

となります。

 実態を表す数字は実質利回りなので、保有時の運営費用は事前に計算し把握しておく
ことが重要です。また、保有時の運営費用は建物の構造や築年数、修繕履歴等などに
よっても異なりますので、そういった情報も十分に収集する必要があります。

 これ以外にも空室や賃料下落のリスク、将来的な売却(出口戦略)も十分に検討しなければなりません。
周辺の賃料相場を見ることはもちろんのこと、現在入居している部屋の賃料も確認する必要が
あります。同じ面積帯で大きく家賃が違えば、高い家賃の部屋が退去したときに家賃を
下げなければならないことも多く、収入が減少することになります。こういった情報はレントロールと
呼ばれる賃貸状況一覧表を見れば分かりますので、しっかり内容を確認することをお勧めいたします。

 不動産の広告には表面利回りが表示されていることが多いので、その数字だけを鵜呑みに
せず、実質利回りを見ること、リスクを把握すること、出口戦略を検討することが重要です。

知っておきたい「賃料」に関する基礎知識③

これまで2回にわたって賃料について解説してきましたが、今回は「新規賃料」と「継続賃料」の違いについて述べたいと思います。

<新規賃料とは>
 「新規賃料」とは自由な競争が行われる市場において新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料をいいます。すなわち、現在から将来にわたって通用する賃料になりますので賃貸市場というマーケットに参加する誰にでも妥当する賃料ということがいえます。


<継続賃料とは>
 「継続賃料」とは賃貸借の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を表示する賃料をいいます。すなわち、賃貸借契約にかかる賃料を改定する場合のものであり、既にある賃貸借契約を前提に特定の当事者間においてのみ成立する賃料をいいます。



 賃料の交渉などで「今借りたらこんなに安いんだ(高いんだ)」ということをいわれることがありますが、新規賃料と継続賃料を混同して議論している典型的な例といえるでしょう継続賃料の交渉においては、契約当事者間における過去からの経緯等も踏まえることが必要になるのです

住宅ローンの休日実行対応で利用者の利便性は増すか

 先日「りそなグループ」が住宅ローンの資金を土曜や日曜、祝日でも借り手の口座に振り込める新たなシステムを導入することを発表しました。この新しいシステムを利用すると、買主である住宅ローンの借り手から、不動産の売主へ、売買代金の振込もできるようになるそうです。

 休日にこのような取引ができることにより、住宅ローン利用者の利便性はあがるのでしょうか。

 そもそも、金融機関を利用しての決済(売買代金の支払と物件の引渡し)は、現在、平日の昼間にしか行うことができません。金融機関の営業時間や、登記申請をする法務局の業務取扱時間がこの時間帯であるためです。そのため、住宅ローンを利用して不動産を購入するときは、仕事を休むなどして平日に時間をつくらなければなりません。休日にも住宅ローンの入金や、売買代金の振込ができるようになれば、住宅ローン利用者の負担が減りそうです。


 しかし、取引する不動産によっては、休日に決済ができない場合もあります。例えば、中古住宅等、購入する不動産に、抵当権等の担保権がついている場合です。借入のある(担保権の付いている)不動産を売却する売主は、受取る売買代金でその借入を返済し、担保権の抹消をして不動産を買主に引渡すことがあります。担保権者である金融機関は、買主からの売買代金の支払いの着金を確認した後に、担保権の抹消書類を渡すため、土曜や日曜、祝日等が業務取扱時間でない金融機関では、確認ができず、すぐに抹消書類を受け取ることはできません。

 そのため、担保抹消されない不動産では、その不動産を担保にした住宅ローンを組むことができず、そのような不動産の取引はできないことになります。 現時点でこのシステムで取引可能な不動産は、新築物件や、担保設定がされていない不動産等に限られます。

 また、土曜や日曜・祝日で住宅ローンにより、売買代金を支払ったとしても、法務局の業務取扱時間ではないため、買主の名前が登記されるのは、月曜日になります。ただし、金曜日の時点で、その不動産に何も権利がついていないことが確認できる場合、月曜日の法務局の業務取扱時間が開始されるのと同時に登記申請すれば、権利の安全は確保できると思います。

 住宅ローンの申込には、公的証明も必要になります。公的証明は役所で取得することになりますが、役所の業務取扱時間も基本的には平日になります。りそなグループの取り組みが、役所等、各機関に広がり、住宅購入者の手続きについてのハードルが下がればと期待しています。

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