不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

借地権の相続

 相続する財産の中に、土地を借りて建てた建物が含まれていることがあります。
 この場合、相続する権利は建物の所有権のほかに、土地の「借地権」も併せて相続することになります。

 この「借地権」とは、建物の所有を目的として、他の方から土地を借りて利用する権利のことをいいます。(土地賃借権と言われることもあります。)

 したがって、土地の地主様に対して、「借地権」を相続することについて承諾が必要かと疑問になるかと思います。この「地主様からの承諾」については、結論から申し上げますと承諾をいただく必要はありません。ただし、「土地の借地権を相続しました。」という通知をしたうえで、できれば土地の賃借人が変わったことを確認する書面を取り交わしたほうが良いでしょう。

 これで地主様との関係は問題ありませんが、「借地権」を地主様以外の第三者へ主張するために、「借地上の建物の所有権登記」がされているか確認する必要があります。なぜなら、借地権を明確にする方法が定められており、その要件を満たしていないと「借地権」の所有を第三者に対抗できないためです。

 まず、借地権を明確にする方法として、「その土地へ借地権を登記」する方法があります。ただし、この借地権の登記は地主様の承諾が必要であり、実務上承諾をいただけることは少なく、登記されていないことが一般的です。
(土地の登記簿謄本に借地権の登記の有無が記載されています。こちらも確認されたほうがよいでしょう。)

 そこで、これに代わる借地権の明示として、「借地上の建物の所有権登記」があります。土地上の建物を所有していることを登記することで、借地権があることを主張できます。
 例えば、借地権の登記をしていない状態で、その土地を購入した他の方が、その土地の明け渡しを求めてきた場合、建物の所有権登記がされていれば、借地権を主張することができ、逆に建物の所有権登記がされていない場合は、その方へ借地権を主張することができないことになります。

 上述のことをまとめると、「地主様が他の人へ土地を売却した場合に、その人に借地人(借りている方)が借地権を主張する」ためには、借地権の登記を行うか、借地上の建物の所有権登記を行うことが必要です。

 したがって、登記をしないと「第三者へ対抗できない」ことになりますので、相続による借地権もしくは建物の所有権移転登記は行う必要があります。
 (なお、借地権を相続するにあたり、その建物に居住している必要はありません。あくまで「建物所有を目的とした土地の借地権」なので、建物を相続で所有することになり、一緒に借地権も相続できます。)

R6都道府県地価調査 ~特徴的な地価の動き~

今回は、先回に引き続き令和6年都道府県地価調査のことを記事にしたいと思います。

みなさまも、全国の地価が上昇傾向であることはニュース等で知ってらっしゃると思いますが、いくつか特徴的な動きがありますので、ご説明します。

≪住宅地≫
●低金利環境の継続などにより、引き続き住宅需要は堅調であり、地価の上昇は継続しています。特に、大都市圏の中心部などにおける地価は上昇傾向が強まっていると思われます。
●人気の高いリゾート地では、別荘やコンドミニアムに加え、移住者用住居などの需要が増大し、引き続き高い上昇となった地点が見られます。
●鉄道新路線等の開業による交通利便性の向上などを受け、上昇幅が拡大した地点が見られます。

≪商業地≫
●主要都市では、店舗・ホテルなどの需要が堅調であり、オフィスについても空室率の低下傾向や、賃料の上昇傾向によって収益性が向上していることなどから、地価の上昇が継続しています。
●外国人を含めた観光客が回復した観光地では、高い上昇となった地点が見られます。
●都市中心部付近では、マンション需要との競合により、引き続き高い上昇となった地点が見られます。
●再開発事業等が進展している地域では、利便性や賑わいの向上への期待感などから、地価の上昇が継続しています。

≪工業地≫
●TSMCやラピダスなどの大手半導体メーカーの工場が進出する地域では、関連企業の工業用地等の需要が旺盛となっており、地価の高い上昇が継続しています。
●eコマース市場の拡大による、大型物流施設用地等に対する需要を背景として、高速道路等へのアクセスが良好な工業地では、引き続き高い上昇となった地点が見られます。

上記のとおり、地価は上昇傾向なのですが、令和6年能登半島地震被災地をはじめ、災害で大きな被害を受けた地域では、地価が大きく下落しています。国土交通省が公表しているデータの変動率下位10地点(全用途)では、能登半島を中心とした石川県北部の地域ですべて埋まってしまいました。また、都道府県地価調査の価格時点は7月1日となります。そのため、9月に発生した能登半島豪雨災害の影響は反映されていませんので、来年3月に公表される地価公示でも下落傾向が続くのではないかとさみしい気持ちになります。

令和7年3月には、地価公示が公表されます。今後の地価はどの様な動きを見せるのでしょうか。

令和6年都道府県地価調査

 

国土交通省より、9月17日に令和6年都道府県地価調査が公表されました。

 

都道府県地価調査とは、土地取引規制に際しての価格審査や地方公共団体等による買収価格の算定の規準となることにより、適正な地価の形成を図ることを目的として、国土利用計画法施行令第9条に基づき、都道府県知事が毎年1回、各都道府県の基準地(令和62024)年は全国21,436地点)について不動産鑑定士の鑑定評価を求め、これを審査、調整し、一定の基準日(71日)における正常価格を公表するものです。

 

私が勤務している愛知県でも県内54市町村、903地点(宅地883地点、林地20地点)の基準地について、地価調査が行われており、県の平均変動率は、全ての用途において4年連続で上昇し、住宅地及び商業地の上昇幅は拡大しておりました。

愛知県内の地域別住宅地及び商業地の平均変動率は下記のとおりです。

 

.住宅地                 2.商業地

・名古屋市  変動率4.3%(昨年3.9%)  ・名古屋市  変動率5.8%(昨年5.3%)

・尾張地域  変動率2.1%(昨年1.4%)  ・尾張地域  変動率2.3%(昨年1.7%)

・知多地域  変動率1.9%(昨年2.3%)  ・知多地域  変動率1.4%(昨年1.5%)

・西三河地域 変動率2.6%(昨年2.9%)  ・西三河地域 変動率3.8%(昨年4.2%)

・東三河地域 変動率0.1%(昨年0.0%)  ・東三河地域 変動率0.8%(昨年1.0%)

 

最も大きい上昇率を示した地点は、住宅地では「千種(県)-7(橋本町2丁目)」(16.9%)、商業地では「千種(県)5-5(末盛通5丁目)」(17.4%)でした。どちらも地下鉄東山線本山駅周辺エリアであり、住宅地については優良住宅地域として住宅需要が強く取引が活性化し、高値取引も多くみられるため地価が上昇していると考えられます。また商業地についても、賃貸マンションや分譲マンションの開発需要が高まっており、その影響で地価の上昇につながっているのではないかと予想されます。

 

また最後に、名古屋市内で最も基準地価格が高かったのは、「名駅3丁目2701番外(名駅三丁目2812号」〔大名古屋ビルヂング〕」で19,600,000/でした。

 

皆様も一度ご自身が住まわれている地域の地価、またその動向について調べてみてはいかがでしょうか。

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