先日「りそなグループ」が住宅ローンの資金を土曜や日曜、祝日でも借り手の口座に振り込める新たなシステムを導入することを発表しました。この新しいシステムを利用すると、買主である住宅ローンの借り手から、不動産の売主へ、売買代金の振込もできるようになるそうです。
休日にこのような取引ができることにより、住宅ローン利用者の利便性はあがるのでしょうか。
そもそも、金融機関を利用しての決済(売買代金の支払と物件の引渡し)は、現在、平日の昼間にしか行うことができません。金融機関の営業時間や、登記申請をする法務局の業務取扱時間がこの時間帯であるためです。そのため、住宅ローンを利用して不動産を購入するときは、仕事を休むなどして平日に時間をつくらなければなりません。休日にも住宅ローンの入金や、売買代金の振込ができるようになれば、住宅ローン利用者の負担が減りそうです。
しかし、取引する不動産によっては、休日に決済ができない場合もあります。例えば、中古住宅等、購入する不動産に、抵当権等の担保権がついている場合です。借入のある(担保権の付いている)不動産を売却する売主は、受取る売買代金でその借入を返済し、担保権の抹消をして不動産を買主に引渡すことがあります。担保権者である金融機関は、買主からの売買代金の支払いの着金を確認した後に、担保権の抹消書類を渡すため、土曜や日曜、祝日等が業務取扱時間でない金融機関では、確認ができず、すぐに抹消書類を受け取ることはできません。
そのため、担保抹消されない不動産では、その不動産を担保にした住宅ローンを組むことができず、そのような不動産の取引はできないことになります。 現時点でこのシステムで取引可能な不動産は、新築物件や、担保設定がされていない不動産等に限られます。
また、土曜や日曜・祝日で住宅ローンにより、売買代金を支払ったとしても、法務局の業務取扱時間ではないため、買主の名前が登記されるのは、月曜日になります。ただし、金曜日の時点で、その不動産に何も権利がついていないことが確認できる場合、月曜日の法務局の業務取扱時間が開始されるのと同時に登記申請すれば、権利の安全は確保できると思います。
住宅ローンの申込には、公的証明も必要になります。公的証明は役所で取得することになりますが、役所の業務取扱時間も基本的には平日になります。りそなグループの取り組みが、役所等、各機関に広がり、住宅購入者の手続きについてのハードルが下がればと期待しています。