東京や大阪に出かけると目を見張るのが、超高層のオフィスビルの多さもさることながら、タワーマンションの多さです。新幹線で東京に向かう際、新横浜を出て多摩川を渡る手前の車窓から見る武蔵小杉近辺の超高層マンションの集積ぶりや、以前の記事にも書きましたが、湾岸エリアにおけるタワーマンションの新規供給ラッシュにはただただ驚くばかりです。大阪も負けてはおらず、大阪市内では公共施設の跡地などを利用したタワーマンションの建設が相次いでいますし、高槻などの衛星都市でもタワーマンションの供給が行われています。

一方、東京・大阪に次ぐ都市規模を持つ名古屋はどうでしょうか? 確かに名古屋にも「ミッドキャピタルタワー」(熱田区)や「ザ・シーン城北」(北区)、最近のものでは「グランドメゾン池下ザ・タワー」(千種区)などの高さ150mを超えるようなタワーマンションが存在していますが、東京や大阪と比べると圧倒的に数は少ないように思われます。

では、要因はどのようなところにあるのでしょうか。個人的には以下のように考えています。


・ 東京や大阪に比べると名古屋の地価は相対的に安いことから、タワーマンションのようにそこまで土地の高度利用をする必要性が低い。

・ 名古屋では戸建住宅志向が強く、同じ価格ならば専有面積が狭いマンションよりも面積的に余裕のある戸建住宅を選ぶ傾向にある。

・ 同じ理由として、自動車普及率の高い名古屋では一世帯でも複数の自家用車を保有することがあり、マンションだと駐車場代等の面で不利になる。

・ タワーマンションの数が少ないが故、ステータスシンボルとしての魅力に乏しい。

それでは、今後名古屋にタワーマンションは根付いていくのでしょうか。


個人的には根付いていくと考えています。実需や節税対策の面から、今後名古屋で開発が予定されているタワーマンションに対する富裕層のニーズをよく聞きますし、名駅周辺では潜在的な再開発の動きもあることから、タワーマンション建築という選択肢がとられることも増えていくのではないでしょうか。


但し、当局が今後、タワーマンション節税に対する対策を強化していくことも考えられます。そうなると、タワーマンションのニーズに一気に陰りが出ることも考えられることから注意が必要です。