不動産の個人間売買とは、不動産業者(宅地建物取引業者)を介さずに売買を行うことであり、
その最大のメリットは、不動産仲介手数料を負担しなくても良い点です。
個人間売買を行うには、不動産業者の力を借りることなく、取引の相手方を見つける必要があり、
下記の様なケースが多いと思います。

○隣地を購入する(隣人に売却する)
○知人から購入する(知人に売却する)
○借りている不動産を購入する(借主に売却する)

個人間売買は、当事者間の良好な関係があってこそ成立する取引ですが、何の問題もない
不動産は意外と少なく、個人間売買が原因となり、当事者間の関係が悪化する場合があります。
私は経験上、古い建物付の土地を個人間売買で取引した場合、かなりの確率で問題が発生する
ものと考えていますので、ご注意ください。
※長い間、問題に気がつかないこともあります。

<不動産業者による物件調査が行われないため生じた問題>
○水道管やガス管が隣地を経由して引き込まれていた又は所有地を経由して隣地に引き込まれていた。
○建物の建蔽率や容積率が基準を超過していた又は建築当時の基準は満たしていたが現在の基準は
 満たしていなかった。
○接している道路は公道ではなく私道だった又は幅員が狭く建築のための接道義務を満たしていなかった。
○地役権が設定されており利用が制限された。
○隣地との境界が思っていた場所と違っていた。
○隣地の建物が越境していた又は所有建物が隣地に越境していた。
○登記上の面積と実際の面積にはかなりの差異があった。

<簡易な契約書で取引を行ったため生じた問題>
○瑕疵担保責任負担について取り決めをしていなかったので争いが生じた。
○通常の契約では清算する費用等について清算をしなかった。

上記は一例であり、その他にも様々な問題が発生する恐れがあります。
よく考えてみてください。3%安いからといって個人間売買で高額品を購入されますか?
3%高くても正規のお店で購入すれば、不良品に関しては返品等が可能になります。
不動産に関して言えば、商品自体は変わらなくても、専門家である不動産業者が購入目的達成の
可否や適正価格を判断するために必要となる情報を提供してくれます。
もしその情報に偽りがあり、損害を蒙った場合、不動産業者にその責任を追及することができます。
不動産は、人生の中で一番高額な買い物であるといっても過言ではありません。
それだけに、お店(不動産業者)選びが大切であると考えており、お店を通さない個人間売買は、
とても危険な取引であるように思えます。
一般的に、個人間売買によって、より多くのリスクを負う立場にあるのは買主といえ、売主主導で
進めていた個人間売買を、買主の要望により、不動産業者に仲介を依頼することになるケースは
結構あるような気がします。

※実際の仲介手数料は、税抜売買価格×3.24%+64,800円の場合が多いです。
  (税抜売買価格が400万円以上の場合)