先日、NHKの「所さん!大変ですよ」という番組で『一軒10万円!? 超格安“土地つき一戸建て”の謎』というタイトルで超格安物件のことが取り上げられていました。

 番組の紹介には「東京から車で二時間あまりの街で土地つき一戸建てが信じられない超格安で売られている。中には10万円の物件も。なぜこんなに安いのか。そして購入者が抱える事情とは?」とあります。番組の概要は以下のとおりです。

  • 舞台は茨城県の鉾田市。海沿いにバブルのころに分譲された別荘地が多く存在する。
  • 今は昔からの住人も少なくなり荒れ果てている別荘も多い。
  • ある持主が固定資産税を払い続けるのであれば破格の値段で処分した方がいいと思い安値で売り出したら実際に売れた。それからどんどん安値で売り出されるようになり、中には10万円で売買される物件も。
  • 購入者は60歳以上の単身男性が多い。熟年離婚をし、東京では家賃を払い続けることができないというような経済的な理由で購入し移り住んだ人、親の介護を続け気づいたらいい歳になってしまい、これからは好きなことをしていきたいという理由で移り住んだ人、妻に先立たれ終活のために移り住んだ人など様々な事情を抱えている。

 所ジョージの出ているバラエティ的な番組なので、あまり深刻な作りにはなっていませんでしたが、それでも身につまされる思いでした。


 弊社でも、山奥の別荘の売却などに関する相談を受けることはあるのですが、対応が難しいことが多いのが実情です理由としては、買い手が想定しづらいということもありますが、物件価格が仮に数十万円の場合、宅建業者として求められる調査義務や説明責任を果たそうとすると業務として成り立たない可能性が高いからです。


 なお、番組で取り上げられた別荘はどうなのかは不明ですが、別荘地の場合、物件価格は安くても管理費や浄化槽などのランニングコストが意外とかかり月々の生活費に重くのしかかるケースもあるのではないでしょうか。また、別荘地同様、越後湯沢などのリゾートマンションも破格の値段で売り出されていることが多いですが、ランニングコストが高かったり管理費の滞納があったりするケースがありますので注意が必要です。

 私見ですが、今後の我が国の人口減少と財政難、特に地方自治体の財政の窮乏ぶりを考えると、将来なりふり構わない過疎地の切り捨てが行われることは想像に難くない気がします。となると、こういった別荘地は行政の手が行き届かなくなり(今もそれに近いのかもしれませんが)、孤独死などが頻発する可能性があると思います。一方、都市部においても、例えば老朽化したマンションなどが“ゴーストマンション”化し、破格の値段で売り出されることも増えるのでは、と考えています。

NHKホームページの番組案内
 http://www4.nhk.or.jp/taihentokoro/x/2015-10-15/21/14356/2121025/

NHKオンデマンド 有料ですがこの番組をご覧いただけます
 http://www4.nhk.or.jp/taihentokoro/7/