タワーマンションを利用した相続税の節税対策(以下「タワマン節税」といいます)とは、タワーマンションの新築時販売価格及び中古の流通価格(以下「物件価格」といいます)と相続税や贈与税を計算する際の評価額(以下「評価額」といいます)の差を利用したものです。


一般的に、タワーマンションの価格は、眺望のよい高層階になればなるほど高く、低層階に比べ数倍になることも少なくありません。それに比べ、評価額は、タワーマンション一棟の評価額をそれぞれの床面積で均等に分割するため、同じ専有面積であれば、階数による差はなく均等になります。例えば50階建てのタワーマンションであれば、1階部分の評価額が5,000万円であれば、同じ専有面積の50階部分の評価額も5,000万円になります。※ただし、実際の物件価格にあわせ、階数によって評価額を増減するよう計算方法が見直される可能性があります。


124日の日本経済新聞によると、「国税庁が全国の20階以上の住戸343物件を調べたところ、評価額は平均すると市場価格の3分の1にとどまっていた」との記事があり、そのデータによれば、物件価格1億円のタワーマンションの評価額は約3千万円となります。


【事例】1億円の現金と、時価1億円(評価額3千万円)のタワーマンションを相続した場合の相続税について。なお、相続する財産は1億円の現金もしくは、時価1億円のタワーマンションだけとし、相続人は一人を前提とする。


1億円の現金を相続した場合、相続税は1,220万円

・時価1億円(評価額3千万円)のタワーマンションを相続した場合、相続税は0


以前ブログに掲載した、ソニー不動産とYAHOO!が取り組んでいる、インターネットで不動産を売り出す“おうちダイレクト”の仕組みでもあるように、タワーマンションの現在の物件価格については、過去の取引データにより、大まかに算定することが可能ですので、評価額が下がることもさることながら、現在の物件価格が分かりやすく、タワマン節税の効果(評価減)が明確なことが、タワマン節税が流行った要因の一つではないかと考えています。