23日に行われた国民投票で、英国の欧州連合(EU)からの離脱が決定しました。
離脱により、移民問題は解消されるかと思いますが、英国にとって有利な自由貿易協定を
早期にEUと締結することは困難であり、経済は大打撃を受ける恐れがあります。
英国は、世界5位の経済大国であり、また、ロンドンは世界の金融センターであり、
世界経済に与える影響が懸念されます。
先月開催された“伊勢志摩サミット”にて、安倍総理が“世界経済はリーマン・ショック前に
似ている”との景気認識をもとに財政政策などの強化を呼びかけましたが、参加国全ての
同意を得ることが出来ませんでした。
しかし、英国のEU離脱により、財政出動を協調して行う可能性が出てきました。
サミットの討議の場で、英国のキャメロン首相が“危機とは言えない”と反論したとのことですが、
今となっては、国民投票を公約した当の本人がよく言ったものだと呆れてしまいます。
とはいえ、過去を振り帰ったところで、起こってしまった事実を変えることは出来ませんので、
今後の影響を自分なりに考えてみました。
本日(24日)、東京市場では、円相場が2年7ヶ月ぶりに、一時、1ドル=99円台まで急騰し、
日経平均株価の下げ幅も歴代8番目の大きさを記録しました。
日によって上がり下がりはあると思いますが、当面は円高、株安の流れが続いていくような気がします。
そうなると気になるのが、実体経済への影響です。
上場企業の中には、日本国内より海外でより多くの利益を稼いでいる企業が少なくなく、
今までと同じ様に海外で稼いだとしても、円高により利益は目減りしてしまいます。
英国のEU離脱は、他国の経済にも影響を与えるため、海外での稼ぎ自体が減少する可能性もあり、
そうなると、日本の企業にとっては、二重苦となってしまいます。
また、“爆買い”に代表されるインバウンド消費の陰りが叫ばれている中で、更なる円高が進行すれば、
インバウンド消費の減退が鮮明になってくるかもしれません。
アメリカを中心とした世界経済の回復と円安が、好調な企業業績と株高を導き、
それに過去に例のない低金利が加わることにより、現在の活況な不動産市況が形成されたと考えています。
そのような中で、低金利以外のファクターを失うような事態が起こると、不動産市況への影響が
懸念されますが、それは一時的なものであり、不動産市況を反落させるまでの影響はないと考えており、
そうなることを願っております。