インスペクションとは、建物の基礎、外壁等に生じているひび割れ、
雨漏り等の劣化事象・不具合事象の状況を目視、計測等により調査するものです。

平成28年5月27日に、宅地建物取引業法改正案が参議院で成立し、
宅地建物取引業者は、インスペクションを実施する者のあっせんに関する事項の
媒介契約書への記載、インスペクションの結果の買主への説明等を義務付けられる可能性が高くなりました。
※今のところ、改正案はインスペクションを強制するものではありません。


国が宅地建物取引業の改正を進めているのは、インスペクションを利用することで、
買主の住宅の質に対する不安を払拭し、売主・買主が安心して中古住宅の取引ができる市場環境が
整備されることを期待してのことです。

ただし、インスペクションのサービスは以前からありましたが、
現状では普及しているとは言い難い状況です。

それは、これから売却する自宅にわざわざ費用を掛けて、
“あら”を探すような行為はしたくないという売り手の心情があること。

また、買い手がインスペクションを利用するためには、
購入を検討している中古住宅の売り手からの承諾が必要になることや、
調査している最中に他の買い手が現れれば、費用が無駄になることも考えられるからです。


しかし、建築士等建物の専門家が実施するインスペクションが普及すれば、
中古住宅の取引の透明性は高くなるように思います。


インスペクションの費用は、サービスを提供する会社や内容により異なりますが、5~15万円のようです。
この費用がインスペクション普及の足かせになるとは思いますが、隣接地との境界を確定させるための測量の費用のように、建物の状況を買い手に説明するための、不動産を売却する諸経費(売主側の費用)の一つとして周知されることになれば、インスペクションがより普及することになるのではと考えています。