開催前は、ジカ熱や治安等が懸念されたリオオリンピックですが、
いざ始まってみると、連日の熱戦であっという間に終わってしまったような印象です。
もしかしたら“リオオリンピックロス”に苦しんでいる人もいるかもしれません。

何かとお騒がせなオリンピックでしたが、リオから学ぶ点もありました。

“負の遺産(レガシー)”と表現されることがあるように、
オリンピックは開催都市に厄介な建物を残すと言われています。
1998年の長野冬季オリンピックでは、スピードスケート会場の「エムウェーブ」、
アイスホッケー会場の「ビックハット」、フィギュアスケート会場の「ホワイトリング」など、
オリンピック開催を機に、多くの競技施設が新設されましたが、その後利用の状況は、
当初計画を下回り、多額の施設維持費の負担が重く圧し掛かっているようです。

オリンピックを開催したほぼ全ての都市が、長野のような問題を抱えている原因は、
オリンピックのために建設した施設の規模にあると言われています。
つまり、平時の利用には規模が大き過ぎるため、下記の様な悪循環を招いているのです。
多額の施設維持費 → 高額な施設利用料 → 低い利用頻度

2012年のロンドンでは、容易に解体できる建造物がいくつか建設されましたが、
リオでは更に進化し、移転や改造、異なる目的への利用可能な建造物が建設され、
リオデジャネイロの市長は“遊牧民のような建築”と呼んだそうです。

上記を可能にさせるのはプレハブ工法であり、ハンドボール会場が解体後、
500人規模の小学校4校の材料になったり、国際放送センターが高校の寮に
なったりする予定のようです。

計画の実現には、技術に加え費用的な問題も影響するものと思われ、
建築の専門知識がない私には、その実現の可能性を予測することは困難ですが、
リオの柔軟な発想は、評価に値するものであると考えております。

4年後の開催地である東京では、リオ以上に進化し、その後のオリンピックの手本となるような
建造物が建設されることを期待しています。