今年から空き家発生の抑制のために、相続した空き家を売却した際に、
譲渡所得から3000万円を特別控除できる「空き家の譲渡所得の3000万円
特別控除」が導入されました。

その中で、特例を受けることができる「相続した家屋の要件」について、
「相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものであること」が
条件の一つとなっています。

分かりやすく言い換えると、「亡くなった方が住んでいた不動産」が条件になるということであり、
お亡くなりになる直前に、施設に入居していた場合等には特例を受けることができない可能性があります。

具体的にいうと、例えば老人ホームに亡くなる1年前から入居し、住民票等も移動していると、
自宅であった不動産は「住んでいた不動産」とはみなされず、特例を受けることができないと
いうようなものです。

そうなってくると、短期入所型の場合はどうなのか、長期入院の場合はどうなのか、
判断に迷う事象も多く出てくると思います。
初めて導入された制度ですので、これから様々な見解が出てくると思いますが、
いずれにしても事前に管轄の税務署へ確認が必要です。

個人的には、そもそもこの特例は「空き家の抑制」を主眼とした政策であり、
そこに「居住用」の制限をかけるのは政策の趣旨とは違うのではと思いますが、
条件としてある以上、それに従って判断されると思います。

特例を利用することを検討されている場合、事前に管轄の税務署に
特例を受けることができるか、確認することをお勧めいたします。