前回、東南アジア三カ国(タイ、マレーシア、シンガポール)の旅をした、ということをブログで触れましたが、鉄道の旅が好きなことから、マレーシアのクアラルンプール(KL)からシンガポールまでは鉄道を使って陸路で移動しました。
クアラルンプールから最新型の特急列車に乗って2時間強。途中、Gemasという駅で旧型の客車列車に乗り換えさらに約4時間。トータル6時間でマレーシア最南端、シンガポールとの国境の都市であるジョホールバル(JB)に到着します(なお、KLからJB間を鉄道で移動するのは相当の物好きです。バスのほうが快適ですし、LCCをはじめ航空便も数多く飛んでいます)。
ジョホールバルといえば、サッカー好きの方なら『ジョホールバルの歓喜』を思い出されるのではないでしょうか。時は1997年11月、サッカー日本代表が翌年のFIFAワールドカップ・フランス大会のアジア最終予選の代表を賭けてイラン代表と戦い、見事勝利を収めてワールドカップ本選初出場を決めた熱戦の舞台となった地です。
さて、このジョホールバルという都市ですが、不動産投資の世界でも注目を集めています。先ほど触れたように世界有数の国際金融都市であるシンガポールとジョホール水道と呼ばれる海峡を隔て国境を接しています。海峡には橋が架けられており両国間を容易に行き来することができます。
シンガポールは東京23区と同程度の面積に約560万人の人口を擁する都市国家であり、物価水準は世界一といわれています。当然、不動産価格や賃料も高額であり、シンガポールの賃料水準は東京を凌ぐといわれています。そこでシンガポールに隣接するジョホールバルの不動産価格や賃料水準の安さが着目され、コンドミニアムなどの開発が盛んに行われるようになりました。
ジョホールバルでは2006年から『イスカンダル計画』といわれる計画が進められています。これは東京都とほぼ同じ面積である2200平方キロメートルを開発し、2005年時点で130万人だった人口を2025年には300万人にまで増やそうとする壮大な計画であり、総投資額は約10兆円といわれています。
マレーシアでは日本人もマレーシア国内の不動産を購入できることから、このイスカンダル計画に乗っかりジョホールバルにコンドミニアムなどの不動産を購入した日本人が数多くいます。
しかしながら、イスカンダル計画自体がかなり大風呂敷を広げた感がありますし、そもそもシンガポールという国自体、マレー人が主流派であることを嫌った華人が独立して創った国ですので両国の関係はあまりよくありません。そのためなのか、シンガポール人からするとジョホールバルは治安の悪い町というイメージが強いようですし、両国間の人の往来は多いにもかかわらず国境の橋は一本しか架けられておらず、渋滞は慢性的です。シャトル列車も走っているのですが、ローカル線並みの運行頻度で、どうもやる気は感じられません。
そういったことを知ってか知らずか期待先行のバブル的な開発が続いているのが現状とのことです。中には、建てるだけ建てたもののまともな管理が行われておらず半分廃墟化しているような物件もあると聞きます。
このようなことが知られるようになり、日本人は少しずつ引き始めているようです。代わりに担い手になっているのが中国人とのことです。チャイナパワーはジョホールバルを変えていくのでしょうか? 本国の方が大変になれば、投資マネーはサッと引いてしまうような気もするのですが…。