昨今では、親の家を離れ、自分で土地建物を取得する方が多いのではないかと思います。

 そのため、相続により、親の家を取得した場合には、どのように活用すればよいか悩むところです。

 "先祖代々から受け継がれてきた不動産"、"親が残してくれた家"、親と同じように次世代へ残していくべきではないかと考える方もいらっしゃいます。その気持ちは当然だと思います。

 そのため、引き継いだ不動産についいて、利用することはないので、「売却ではなく、何かに活用できないでしょうか?」という相談をいただきます。

 相談されるのが、住宅地とすると、活用方法は、そのまま改装して賃貸する。建物を解体して駐車場・アパート建築・賃貸用の戸建を建築するなどに限定されます。

 活用方法を模索するために、建築費を算出、賃料査定をし、投資回収までの期間など調べた上で、活用方法についてアドバイスさせていただきます。

 しかし、ご相談を受ける不動産の中には、活用するのではなく、売却について検討いただくことがあります。

 それは、アパート建築など投資をしても、将来の賃料下落、昨今の建築ラッシュによる競合物件の増加、空室率の上昇などの理由により、投資金の回収はおろか、融資の返済に困る可能性のある場合です。

 その場合は、空き家の3,000万円特別控除を利用して、売却することをお勧めします。というのは、先祖代々引き継いできた家の場合、土地や家屋の取得費が不明なことが多く、納める税金が多いのが難点だったのですが、平成31年12月31日までに譲渡することができれば、特別控除を利用することにより、手取り額が増えるからです。

親が住んでいた土地建物(取得費不明)を3,000万円で売却する場合の税額計算
※取得費不明のため、概算取得費(譲渡収入金額×5%)を利用するものとする。
※譲渡費用は100万円とする。
※税額は1万円未満切り捨てとする。

譲渡収入金額3,000万円-(取得費150万円+譲渡費用100万円)=譲渡所得2,750万円
課税譲渡所得2,750万円×所得税・住民税20.315%=558万円

空き家の3,000万円特別控除を利用した場合
譲渡収入金額3,000万円-(取得費150万円+譲渡費用100万円)=譲渡所得2,750万円
譲渡所得2,750万円-特別控除3,000万円課税譲渡所得0円
⇒課税譲渡所得が0円になるため、税金はかからない。

この場合の差額は、558万円!!!

なお、空き家の3,000万円特別控除を利用する場合、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、特例の適用期間である平成31年12月31日までに譲渡することが条件となります。

空き家の3,000万円特別控除の利用条件は、国税庁HPをご参照ください。