タイトルだけ見るとなんのことだかわからないですね。

M&Aとは「Mergers(合併)andAcquisitions(買収)」の略で、2つ以上の企業が一つになったり(合併)、ある企業が別の企業を買ったりすること(買収)をいいます。M&Aというと新聞などで報じられるような大企業同士の派手な合併や買収といったイメージがありますが、中堅・中小企業においても経営者の高齢化に伴う後継者不足解決の手段として、また、事業の選択と集中、事業の再構築などを図る手段としてM&Aは活用されています。弊名南コンサルティングネットワークにおいても、名南M&Aという部門が存在しており、中堅・中小企業のお客様を対象にM&Aの支援業務を手掛けています。

次にDDとは、「Due Diligence(デュー・ディリジェンス)」の略で、Dueは「当然、行うべき~」、Diligenceは「努力、注意」を意味します。不動産投資やM&Aの世界では頻繁に用いられる用語で、M&Aの場合では、譲渡企業の決算書だけでは見えない簿外債務や将来発生しうる損害等のリスクを把握するために行われ、その範囲は「財務」「法務」「ビジネス」「人事」「環境」などに分類されます。

さらにERとは「Engineering Report(エンジニアリングレポート)」の略であり、不動産の物理的な調査として対象建築物の現状を調査したレポートであり、主として以下のような項目について調査が行われます。

  • 建物状況調査等

     建物現況調査
     遵法性調査
     
    修繕更新費用算定
     
    再調達価格算定

  • 建物環境リスク評価

  • 土壌汚染リスク調査

  • 地震リスク(PML)調査


  
筆者も不動産証券化に関連する業界に在籍していたときはよくERの調査に立会いました。ER会社の調査員たちは『打診棒』といわれる先が丸くなった棒を持って10数階建のビルの屋上の際の部分で怯まずコンコンと外壁を叩きます。タイルが浮いてないかを調べ、剥落するリスクがないかを確かめるためです。オフィスビルなどでは屋上には手すりがないため、転落しはしないかと立ち会っている我々の方がビクビクしていました。

 ただ、ERの取得については、投資家からお金を集めて不動産に投資するといった不動産証券化の世界では必須の手続きなのですが、1件あたりおよそ100万円以上の費用がかかることからM&Aの世界ではあまり頻繁に用いられることはないようです。

 今回、買収する方の社長様のご意向により被買収先が所有する不動産についてリスクを明確にしておきたいとのことでERを取得することになりました。調査結果が数字で詳らかになるERM&AにおけるDDでももっと用いられてもよいのかもしれません。