日本銀行の統計によると、2017年3月末のゆうちょ銀行を除く全国の銀行預金の合計は、
745兆2958億円と前年同月対比で6.2%増加しました。
しかし、都道府県別で6.2%以上増加したのは、東京都(12.7%)と熊本県(9.2%)のみであり、
残りの45道府県の増加率は6.2%を下回りました(愛媛県は△0.8%)。
なお、熊本県については、昨年4月の地震で支払われた保険金が銀行預金増加の特殊要因と
みられており、実質的に全国平均を上回ったのは東京都のみと言っても過言ではないような
気がします。

元々、銀行預金が最も多い東京都がNo.1の増加率を記録したということは、
その増加額は群を抜いているということであり、その結果、全体に占める割合は1/3を超える
34.1%に増加しました。
ちなみに、2015年10月1日現在の人口推計によると、日本人口126,933千人に対し、東京都の人口は
13,624千人であり、その割合は10.7%となります。
東京都在住以外の方も、東京の金融機関で取引されるため、単純比較は出来ませんが、
銀行預金の割合は、人口の割合の3倍以上となり、割り引いて考えても、都民一人当たりの平均預金額は、
他の道府県を上回っているものと考えられます。

東京の金融機関に預金が集中する主な原因の一つは、遺産相続だと言われています。
つまり、東京在住の方の実家が地方にある場合、親の死去に伴い、地方の預金が
遺産分割で東京に移動してくるのです。
移動するのは、預金だけではありません。
不動産の所有者についても遺産相続で東京に移動することが珍しくなく、
その不動産は一定の割合で売却され、現金(預金)となって東京に戻って行きます。
今の流れのままでは、ますます富は東京に集中していきますので、
地方の金融機関を取り巻く環境は厳しくなり、今後、合併等が増えてくるものと思われます。
環境が厳しくなるのは、金融機関に限ったことではありませんので、
何らかの策を講じる必要があると思います。

個人的には、東京に対抗するのではなく、東京と上手く付き合う(連携する)ことにより、
打開策が見てくるような気がします。