ここ数週間、日本経済新聞でコンパクトシティーに関する記事が連続して掲載されましたので、コンパクトシティを取り上げたいと思います。
コンパクトシティは、平成26年に施行された改正都市再生特別法により、国が自治体へ立地適正化計画の策定を促したことにより、その形成が始まりました。
立地適正化計画では、住まいを集約する「居住誘導区域」、店舗や病院、学校などを集約する「都市機能誘導区域」が設定されます。地域ごとに、居住や都市機能を誘導することで、都市密度を高めることにより、人口が減少しても、水道やごみ収集などの(一人あたりの)行政費用を減らすことにより、都市機能を維持することが目的です。
今まで維持してきた水道やごみ収集などのインフラも、人口が減少していけば維持できなくなる恐れがありますので、都市をコンパクトにすることが必要なことは理解できるのですが、現状ではコンパクト化とは異なる現象も起きています。それは、近年の地価高騰により、地価の安い郊外での開発が止まらないからです。
厳格にコンパクトシティを進めると、住むところが限定されることにより、住宅の供給数が少なくなるため、需要と供給のバランスにより、地価は上昇します。地価が上昇すれば、地価の安いところに住まいを探す人がいるのは理解できます。しかし、数年後には、確実に人口が減少します。住まいが広い地域で点在すればインフラが維持できなくなるなど弊害がでます。
コンパクトシティを進めるためには、新築主義を見直し、中古住宅の流通を進めるなど、既存のストックを活かした仕組みづくりが大切だと感じています。