大手油圧機器メーカーによる免震・制振装置の性能検査記録データ改ざんが
発表されました。
これまで構造計算書の偽造や免震ゴムの不正など、様々な建築基準法に対する
不正が取りざたされてきましたが、今回の改ざん事件も大きな影響を与えると
感じています。
特にこの免震・制振装置は大規模な建物に利用されており、官公庁を中心に
この装置を利用した建物名が公表されています。
その中で気になったことが、分譲マンション等、個人が所有している建物については、
物件名の公表を差し控えているとの記事です。
どこまで情報が建物の所有者に行き届いているかは分かりませんが、
公表されない理由として、「建物の資産価値が下がる」というものがありました。
勿論所有者の方の心情を考えるとその通りであり、個人所有の分譲マンション名が大々的に
報道されるべきではないと考えております。
その中で、仮に今回のような事件が発覚し、その不動産を売却しようとする場合には、
所有者の方がその事実を知っていた場合には、買主側に知らせないということは
売主側としてみた場合、リスクが大きくなります。
売主は、不動産の取引において、所有している不動産に関して知りうる事実を
「物件状況告知書」に取りまとめて買主に交付することが望ましいとされています。
この書面は、売主がその不動産について知ってる瑕疵や事実を告知するものです。
万一、売主が物件の瑕疵(隠れた不具合)について知っていた事であるにもかかわらず、
買主に告知しなかった瑕疵について、売主は説明義務違反に基づく契約解除や損害賠償義務等の
法的責任を負担することとなります。その事実を買主に伝えたうえで納得して購入してもらった場合には
法的責任を負担しなくてもよいことになります。
従って、もし今回のような事件が発覚した場合、その事実を知っている場合には
必ず「物件状況告知書」にて知っている事実を買主に告知し、納得したうえで
購入してもらうことが重要です。心情的には「これを言うと破談になるかも」となってしまいますが、
後から買主に分かると損害賠償等の法的責任が発生してしまいます。
知っていることは必ずお伝えするようにしてください。