農地を手放したいのに手放すことができないという方が増えています。
特に市街化調整区域に農地を持つ場合です。

市街化区域であれば、農地を農地以外へ転用、または農地を農地以外へ転用するため
の権利移動は農業委員会へ届け出るだけでよいのですが、市街化調整区域では転用や
権利移動する際、農業委員会の許可が必要となります。

転用についてはやむを得ない相当な理由がなければ許可が得られません。
相当な理由と認められる場合は、調整区域内に既に本家があり、二男、三男が分家を
建てる場合や老人介護施設など地域に必要な施設を建てるといった場合です。

許可を得ること自体難しく、また手続きに半年から1年程度かかります。


転用が難しいため、農地のまま売却することや貸し出すことを考えるかもしれませんが、
買主、借主となり得るのは農家資格のある方です。

さらに農家資格がある方にも以下の条件が付されております。
・新たに取得する農地と現状耕作している農地が合計で20a(アール)以上
・新たに取得する農地まで15㎞圏内、30分以内に住んでいる
・現状の農地を年間150日以上耕作している
(上記の条件はある自治体の一例であり、自治体によって異なります)

簡潔に述べると、新たに取得する農地も耕作することができると農業委員会が
判断した農家の方にのみ許可がおります。

権利移動も難しいため、農家資格のない方に家庭菜園として貸し出すことが
あるようですが、「闇小作」と呼ばれる行為であり、農地法に違反します。

新たに農業をしたいという方や農地を拡大したいという方がいない限り、
どうすることもできないのが現状です。

そして、高齢で農地を管理することができず耕作放棄地となってしまったり、
跡継ぎがおらず相続放棄されて所有者不明の土地となってしまうことが問題
となっております。

所有している農地を耕作放棄地や所有者不明の土地にしないよう
農業委員会や農協の方に相談し、早めに新たな所有者を見つける
ことが大切です。