先日、ニュースで「賃貸住宅の仲介手数料は原則0.5ケ月の判決」という記事が掲載されていました。

 その内容とは、賃貸住宅を借りた際に、賃料1ケ月分の仲介手数料を支払った借主(入居者)が「本来支払うべき仲介手数料は、原則賃料の0.5ケ月分である」として仲介業者に手数料の一部返還を求めたもので、これに対して東京地裁は借主の請求をみとめました。

 賃貸住宅の仲介手数料は、貸主(大家)から賃料0.5ケ月分、借主(入居者)から賃料0.5ケ月分の上限1ケ月分と宅地建物取引業法で定められています。ただし、貸主(大家)または借主(入居者)から賃料1ケ月分をもらうことの承諾が得られていれば賃料1ケ月分の仲介手数料を受け取ることは可能ですが、これはあくまでも貸主(大家)および借主(入居者)双方からの受領できる合計額は1ケ月分までとなります。

 賃貸住宅の仲介手数料の原則が0.5ケ月だということは借主(入居者)にあまり認知されていないのが現状で、また、仲介業界の取引慣行として仲介依頼が成立する前に事前説明をおこなわないまま1ケ月分の手数料を請求する仲介業者も数多く存在します。重複しますが、仲介業者が予め仲介手数料は1ケ月分と借主(入居者)に伝え承諾が得られたうえで契約さえすれば何の問題も発生しません。

 今回の判決は、情報量等が少ない借主(入居者)にとって仲介手数料のルールに変化が起こり得る意義あるものですが、これまで仲介業者が借主(入居者)から受領していた手数料を1ケ月分から0.5ケ月分に変更することは自社の売上に直結し即効性は考えにくいため、今後の動向に注目していきたいと思います。