ここ数年、都内を中心に会社のオフィスや自宅以外で働く場所としてのコワーキングス
ペースという言葉を耳にする機会が増えてきました。

コワーキングスペースという用語に明確な定義はありませんが、「スペース、機材、
会議室などの設備を異なる企業に属する者あるいは個人間で共有し、利用者同士の
コミュニケーションを促進するスペース」をいいます。


これまではスタートアップ企業やフリーランスなど個人の方が、オフィスコストを抑える
ため利用するケースが大半だったのが、働き方改革の取組みやスタートアップ企業と
のつながりを通じてアイデアを取り入れ、コミュニケーションを活性化させ新たなイノベ
ーションを創出する場として活用したい大手企業の需要増を背景にコワーキングスペ
ース施設数が増加しています。


東京都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)の総賃貸取引の面積に対し
て、コワーキングスペースは 2017年通年で3% だったものが 2018年7月末時点で34%
まで上昇したとの調査結果(出所:JLL「東京オフィス市場で拡大するコワーキングスペ
ース」)も出ています。


また、オフィスビルの所有者としては、コワーキングスペースを設けることで自らスター
トアップ企業の成長を支援し、将来テナントとして自社ビル誘致につなげたいことや、
入居テナントの突発的な床需要の手当てをしやすいことなどが供給面積の増加につ
ながっています。


一方、名古屋エリアでのコワーキングスペースを調べると、30施設以上(2019年10月
25日時点)確認できますが、名駅エリアの一部を除き東京都心部でみられるような大規
模施設の供給はなく、ビルや店舗の空きスペースを活用したコミュのケーション重視型を
売りにした普及が中心になっています。


今後、企業の副業促進やオフィス勤務という働き方以外が受け入れられるようになれば、
個人が長期間利用するなどの需要拡大も考えれるため、名古屋エリアでもさらなるコワー
キングスペースの供給増につながることも予想され、不動産業務に携わる者として、
名古屋エリアのオフィス賃貸需要の変遷について注目してきたいと思います。