防災関連ニュースの中で無電柱化という言葉を耳にする機会が増えてきたような気
がします。

 一般的に「無電柱化にして電柱をなくしたら地震に弱くなる」とか「浸水したら電気が
使えなくなる」と考えられているようですが、実際は逆で、電柱がなくなれば台風時に
停電することも、地震が起きた時に電気が使えなくなることも減らすことができます。

 無電柱化は落雷、台風、浸水、地震、火事、竜巻には強く、津波のみ弱いとされてい
ます。ちなみに電柱も津波には弱いとされているため、電柱に比べて無電柱化が災
害に強いことは周知の事実のようです。無電柱化にするメリットには、①「街の景観
向上(美しい街並み)」  ②「災害に強い街(電柱転倒による家屋の崩壊や電線の垂
れ下がりによる感電・事故・緊急車両通行の妨げなどの防止)」  ③「防犯効果(電柱
を利用して部屋への侵入の防止)」など挙げられますが、その他一部の地域では、
④「資産価値向上(無電柱化することでの宅地価格向上)」といった調査報告も出され
ています。

 メリットの多い無電柱化ですが、日本での無電化率はほとんど普及しておらず、東京
23区でも8%、大阪市で6は%といった程度です。ロンドンやパリでは既に無電化率
100%で、香港や台湾、シンガポールでも90%~100%と高い水準を維持しているた
め、如何に日本の普及率が低すぎるかがわかります。

 無電柱化普及の低迷はコストの問題が原因と言われており、電柱設置に比べ約10倍
のコストがかかるそうです。

 現在、これまでの工法と異なる低コスト手法の取組みが試されており、また、2016年
12月には無電柱化を推進するための法律である「無電柱化の推進に関する法律」が
成立しました。当該法律では都道府県・市町村の無電柱化推進計画の策定と公表を
努力義務として定め、道路上の電柱・電線の新規抑制、国・地方公共団体による必要
な道路占用の禁止・制限などの実施が定められました。

 今後の更なる無電柱化普及率の向上を期待したいところですが、まだまだ目標とはか
け離れ日本全体で毎年7万本の電柱が増加しています。

 人命・防災の観点からも無電柱化の普及は大切な取組みであるため、無電柱化の取組
みや無電化普及率の推移に関しては、今後も引き続き注目していきたい思います。