来週公表が予想される令和2年度税制改正大綱に海外不動産投資による節税対策を
出来なくする内容が盛り込まれるのでは?と噂されています。
ニッチな内容ではありますが、不動産業界では、熱い話題となっています。
海外不動産投資による節税対策の概要は下記の通りです。
○主にアメリカ(ロサンゼルス・ダラス・ハワイ 等)の中古木造住宅(築後30年以上の場合が多い)
を購入し賃貸。
○アメリカの中古木造住宅の価格は、新築後の経過年数にあまり関係なく、建物価格が土地価格を上回り、
建物価格が60~80%を占めるケースが多い。
つまり、古くなっても建替えではなく、リノベーション等を行い、建物価値を維持しているということです。
例えば、1億円の中古木造住宅を購入した場合、その建物価格は6,000~8,000万円となります。
○日本では、木造住宅の法定耐用年数は22年と定められています。
法定耐用年数の全部を経過した木造住宅を購入した場合、簡便法に基づくとその耐用年数は4年となります。
(計算式)22年×20÷100=4.4≒4年(1年に満たない端数が生じた場合は切り捨てとなります)
建物価格が6,000万円の場合、1年間(計4年)の減価償却費(経費と見なします)は1,500万円となり、
8,000万円の場合は2,000万円となります。
○地域によって多少の違いはありますが、アメリカの中古木造住宅を賃貸した場合、
諸経費控除後の年間利回りは3%前後だといえますので、その価格が1億円の場合、
減価償却費計上前の損益は300万円程度となります。
○損益の300万円から減価償却費を控除すると海外不動産投資の損益は△1,200~1,700万円となります。
○他に不動産所得がない場合、△1,200~1,700万円の損益は、他の所得と損益通算することができ、
これが節税のポイントとなります。
例えば、3,500万円の所得がある方の場合、損益通算により所得税・住民税・復興税の合計で
762.6万円の税負担が減少します。
その後、所得・税率ともに変化がなかったと仮定すると、4年間合計で3,050.4万円の税負担が
減少します。
○節税の仕上げは、海外不動産の売却となります。
例えば、6年間所有後、購入価格と同じ1億円で売却した場合、減価償却済の6,000万円が
譲渡所得となり(購入・売却時の諸経等費は考慮していません)、それに対する税額は、
約1,218.9万円となります。
この場合、海外不動産投資により1,831.5万円の税負担が減少したことになります。
(海外不動産の運用損益は考慮しておりません)
冒頭の噂がある一方で、令和2年度の税制改正大綱では見送られるのでは?という意見もあります。
今回改正が見送られたとしても、何れ改正が実施される可能性が高いといえ、節税目的の海外不動産投資は、
下火になっていくものと思われます。
しかし、節税対策をあれこれ考える人がいますので、しばらくすると、新しい節税対策としての不動産投資が
生まれるような気がします。