建築物を建築する際には、様々な法律や条例があり、
それらの規定を順守する必要があります。
その中で、大きく関わってくる法律は、都市計画法と建築基準法になります。

この法律では、全体の都市計画があり、その都市計画を進めるための
土地利用に対する制限、また建築物の決まりなどを定めています。
例えば駅前は高層建築物を建てやすく、住宅街には低層住宅しか建築できないようにするなど、
全体の都市計画が全ての基本になっています。
近年では、オリンピックを見据えて、ビジネスホテルを建築しやすくするための
容積率緩和措置などがあります。

最近、物件調査のため、古い建物が建築された当時の法律を調べることがありました。
ちょうど戦後すぐに建築された建物でしたが、調べてみると現在の法律より厳しい
規制が課されていました。(当時は建築基準法はなく、改正前の建築基準法と
市街地建築物法という法律が根拠となっています。)
現在の規定 建ぺい率:60% 容積率:200%
建築当時(昭和21年) 建ぺい率:規制なし 容積率:60%

建築当時は戦後まもなくで、戦前の規制がそのまま適用されている状況でした。
容積率60%ということは、建物を建築できる面積が非常に少なくなります。
言い換えれば、高い建物が建築しずらく、敷地内に空地が多くなります。
また、この規制は全て道路を基準として、「道路境界から○○mまで」という規制があります。

気になって調べてみると、戦前の都市計画の基本的な考え方は、
「建物が燃え広がらなく、また消火活動がしやすい街にする。」というものです。
この考え方に沿って考えると、道路沿線上の敷地に空地を確保し、
消火活動をしやすくするための街づくりを志向していたことが考えられます。
(昭和17年からより規制が厳しくなっており、空襲対策としての側面も大きいと考えます。)

こういった都市計画法や建築基準法の経緯を見ることも面白いかもしれません。