新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が解除され1ヶ月半程度経過した現在も、
業種を問わず多くの企業が継続して対策を講じられており、その影響は不動産投資市場
にも及んでいます。


5月26日にジョーンズラングラサール(総合不動産サービス業)の日本法人が「新型コ
ロナウィルスによる不動産市場への影響」についての投資家アンケート結果を発表しま
した。
現在の投資スタンスについて約75%が積極的に投資すると考えており、内訳は「価格調
整があれば新規投資を積極的に行う」67.2%、「物件のクオリティさえよければ新型
コロナ発生前と変わらぬ価格で新規投資を積極的に行う」7.7%と、コロナ禍前同様に
不動産投資への関心の高さがうかがえる結果となっています。
ただし、物件取得価格水準については、投資家の約9割が「5%以上下落する」と回答し、
そのうち「15%以上の下落を見込む」と回答した投資家は約23%いるという結果でした。


また、投資対象別では、オフィスが全体の22.6%を占め、レジデンシャル(賃貸住宅)
も全体の22.3%と高い関心を集めています。その他は物流施設は17%、商業施設は9.8%
となっています。
商業施設については、入居テナントの大幅な売上減少や業績悪化からくる賃料免除・
減額要請や退去等による家賃収入の下落リスクが高まっていることから、投資対象とし
て積極的に検討できなくなっているのかも知れません。
ただし、「利回り」や「想定される価格調整」及び「立地」等が合致すれば、購入する
投資家もおり、実際に、コロナ禍後に名古屋駅前の飲食店が入居する商業ビルが数十億
単位で取引されたりもしています。


コロナ収束がなかなか見通せない中、多くの投資家は2020年末にかけ不動産価格調整が
おこると期待し様子見しているの印象が強いですが、一方で、クオリティがよく資産価
値の高い物件は、価格調整はほとんどなく取引されています。

今後、不動産投資市場がどの様に流れていくかは把握しずらい状況ですが、コロナ禍前
に見られた投資対象物件の枯渇した状態が継続するようであれば、少なくとも都心部に
おいては不動産価格があまり値崩れしないのかもしれません。