私自身の業務において直接携わったことはないのですが、不動産の売買代金等の領収書を電子データで発行する取引が少しずつ散見されるようになっているそうです。
これは2016年の電子帳簿保存法の改正によって、領収書に貼付する印紙や押印が不要とななりデータ管理もしやすく、かつ法的な問題がないこと等から不動産事業会社や不動産ファンド会社等の取引を中心に利用され始めています。
融資等で利用される借入申込書であっても、①申込書の文面上基本契約に基づく申込書であることが記載されていて、かつ②その申込みによって自動的にその申込みに係る契約が成立することとなっているもの、については、印紙税法上の「契約書」に該当するとされることからすれば、請求書や領収書を(押印せず)電子メールで交付すれば印紙が不要になるのことは何とも新奇さを感じます。
ただ現在のところは、一貫して統一的に電子的な会計データを作成しなければならない等の規定があるため十分な浸透には至っておらず、また売買当事者が個人の取引の場合では紙で発行されない領収書はなかなか想像し難いものです。
過去のブログで「賃貸借契約書の電子交付」でも触れましたが、不動産業界にとって電子化は避けて通れない課題となっていますので、将来的には売買(賃貸借)契約書や重要事項説明書の電子交付が普及するようになれば、個人間での領収書の電子化も一般的なものになってくるのかもしれません。


国税庁ホームページに印紙税に係る「その他法令解釈に関する情報」として掲載されている「コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い」においては、(問2)において文書を交付する代わりに、ファクシミリ通信や電子メールを利用して送信する場合の取扱いについて解説されています。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/inshi/5111/01.htm
これによると、「請求書や領収書をファクシミリや電子メールにより貸付人に対して提出する場合には、実際に文書が交付されませんから、課税物件は存在しないこととなり、印紙税の課税原因は発生しません。」と記載されています。