自営業(法人)を行っていた方のご相続人様から、
「法人で所有している不動産は相続の対象になるのでしょうか」とご質問いただくことがあります。

確かに自営業の場合、法人=被相続人のイメージなので、
上記のようにお考えになられると思いますが、
ご回答としては「相続の対象にならない」となります。

相続の対象になるのは、被相続人の財産であり、被相続人が所有していた法人の株式は
相続の対象にはなりますが、法人の所有不動産は相続の対象にならず、相続人が自動的に
相続することはありません。また、法人の経営者としての取締役の地位も相続の対象にはなりません。
理由としては、取締役は法人との委任契約により法人を経営しているのであり、その委任契約は
受任者の死亡により自動的に終了してしまうためです。

したがって、
法人の株式 = 相続財産である
法人の所有物 = 相続財産ではない
取締役の地位 = 相続財産ではない(取締役の死亡により取締役不在となる)
となります。(取締役が1名であることを前提)

法人の所有する不動産の処分等は、取締役が判断して行う事項であり、
相続人が自由に意思決定することはできません。

法人を引き継ぎ、継続して事業をするのであれば特に問題がありませんが、
法人を解散することを考えている場合、上記のことも加味して検討する必要があると思います。