2020年に神奈川県逗子市にて、マンションの敷地にある擁壁が崩れ、人を死亡させる事故が起きました。その事故で遺族がマンションの管理会社などを訴えていましたが、先月、遺族とマンションを区分所有する住民らとの和解が成立し、住人らは遺族へ1億円の和解金を支払うことがニュースで報道されました。

 遺族は、マンション管理人が事故前日に擁壁に約4メートルの亀裂があるのを発見して管理会社に連絡したにもかかわらず、管理会社は対応を怠ったとしています。また、危険な敷地(傾斜地)に建つマンションを区分所有する住民にも責任があるとして訴えていました。※住人らとの和解は成立していますが、管理会社などは争う姿勢で訴訟は継続しています。

 私は、マンションに住んでいますが、マンションの敷地や建物本体などの共有部分が原因で事故が起きた場合、住民が損害を賠償することもあるのだと少し驚きました。本件の場合、例えば、このマンションの戸数が50戸とすると、1戸あたりの和解金の負担額は200万円になります。かなり大きな金額と言えます。

 さて、マンションの共有部分が原因で事故が起きた場合、区分所有者はどのような責任を負うのでしょうか。

 民法第717条第1項では、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」と記載されています。
  
 そのため、まずは占有者が責任を負うことになります。マンションで占有者とは住人になると思いますが、区分所有者の方もいれば、賃借人の方もいると思います。しかし、例え貸していたとしても、賃借人が必要な注意をしたときは、区分所有者が責任を負うことになります。なお、区分所有者は故意や過失の有無にかかわらず責任を負います。

 私のマンションでも管理人さんが、外壁のタイルの剥がれなど常時確認しています。過去にはタイルの浮きが確認されたので、理事会で直ちに検討し費用をかけて修理しました。修理を先延ばしして事故を起こすと修理代だけで済まなくなるという事は想像はできていても、この様なニュースを見ると、修理しておいてよかったと感じます。

 本件のように傾斜地に建っているマンションもあります。危険なわけではないと思いますが、最近では大雨等の自然災害も多いため、定期的に擁壁の状態について確認すべきですし、建物本体についても外壁のタイル等の剥がれなど、日常点検が重要だという事を再認識しました。

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