今週、日本銀行が金融政策決定会合にて金融政策を再修正し、今後の金利上昇が
濃厚となりました。
その顕著な一例が、多くのメディアが報道済である三菱UFJ銀行の
定期預金金利(期間5年以上)の引上げです。
預金金利の引上げは大歓迎ですが、借入金利はそれを上回る引上げとなります。
実際に、7月の金融政策決定会合以後、金利上昇による収益拡大の期待から、
銀行株は軒並み上昇しています。
しかし、金利上昇は、その程度によって、諸刃の剣となる危険性を孕んでいます。
既に、長期金利が5%を超えているアメリカでは、ソフトバンクが大株主である
シェアオフィス大手のウィーワークの連邦破産法第11条適用申請検討や
銀行の経営不安再燃等が報じられています。
不動産市況に目を移しますと、普通に考えるとマイナス影響といえます。
不動産は銀行等から借入して購入する場合が多く、金利上昇は借入(返済)
可能額の減少、ついては取引価格の減少に繋がるものと考えられます。
また、投資不動産の期待利回りは、借入金利に不動産特有のリスクを
上乗せして決定する場合が少なくなく、金利上昇は期待利回りの上昇、
ついては取引価格の減少に繋がるものと考えられます。
※インフレ等の影響により、金利以上に賃料等の収入が上昇すれば、
取引価格は減少しないものと考えられます。
しかしながら、前記は日本国内に限った話であり、世界に目を向けると
話は違ってきます。円安の影響もあり、世界的に見ると日本の不動産は
割安であり、期待利回りは高いといえます。欧米では、長期金利が
投資不動産の期待利回りを上回っている国もあります。
ちなみに、前記の状況になると、売却益を期待した不動産投資となり、
その顕著な一例がバブル崩壊前の日本の不動産市況であると考えております。
更に、問題を難解にするのが、建築費の高騰です。
いよいよ2024年4月から、建築業にも働き方改革関連法が適用されるため、
人手不足が深刻です。
また、円安により建築資材価格は高止まりしており、仕事が多少減少しても
建築価格は下がらないものと考えられます。
※建築会社は淘汰され、需給バランスは崩れないような気がします。
結論としましては、金利下落の期間が長すぎたため、金利上昇が不動産市況に
与える影響は何ともいえません(申し訳ありません)。