5月1日の朝日デジタルで、「能登半島地震4ヶ月 解体終了は想定の1%以下、建物の未登記が壁に」という記事が掲載されました。

石川県内では、住宅や店舗などの建物約4万8千棟が全半壊し、県はうち約2万2千棟を解体の対象としているそうですが、公費解体が終わったのは、緊急解体も含め88棟(4月22日時点)で、自費解体を加えても計131棟と想定の1%となっているそうです。

公費解体は、自治体が所有者に変わり被災した建物を解体撤去する制度です。公費解体をする際には、建物の所有者を確認する必要がありますが、被災地では、代々同じ場所に住み続けている家族が多く、相続登記がされないままとなっているようです。人手不足など他にも多くの原因がありますが、相続未登記も公費解体が進んでいない原因の一つだという事です。

以前のブログで、珠洲市にある私の親戚の家が被災したことを記事にしましたが、その家の登記も、すでに亡くなっている私のおじいさんのままとなっています。記事の通りだなと感じます。

珠洲市の公費解体の申請においては、建物に相続が発生している場合、相続権者全員の同意書、印鑑証明書、相続関係図と相続権者全員の戸籍謄本が必要になります。珠洲市の半壊した家は母方の実家になりますが、母方の兄弟(おじいさんの相続人)は全員存命であり、建物の相続人も決まっているので、書類は整うと思いますが、2次相続が発生している場合などは、相続権者が増え、同意を得るのに苦労することもあると思います。

参考 石川県:公費解体の申請における相続や同意取得等に関する窓口

さて、4月1日から、相続登記の義務化がスタートしました。相続登記の義務化は、所有者が亡くなったのに相続登記がされないことによって、登記簿を見ても所有者が分からない「所有者不明土地」が全国で増加し、周辺の環境の悪化や民間取引・公共事業の阻害が生ずることなどが社会問題となったことがきっかけでしたが、公費解体が進まないのも相続未登記が原因の一つです。相続登記義務化により、この様な社会問題が減っていけばいいなと感じています。