不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

2015年10月

杭打ち工事データ改ざんが不動産市況に与える影響?

旭化成建材の杭打ち工事データ改ざんの件が、今後の不動産市況に与える影響を私なりに考えてみました。

○杭打ち工事に対する不信感が生じるかもしれない
 旭化成建材の別の担当者でもデータ改ざんが確認されており、今後の調査次第では、一担当者から会社全 
 体の問題に広がる恐れがある。そうなると、同業他社についても、同様の調査を求められる可能性があり、
 他社でもデータ改ざんが確認されると、杭打ち工事自体に対して不信感が生じるかもしれない。

○築後経過年数の長い物件は敬遠される様になるかもしれない
 杭打ち工事においてデータ改ざんが無かったことが確認できない物件については、市場から敬遠される恐れ
 があり、その確認が困難であると予想される築後経過年数の長い物件は、その多くがそれに該当するかもし
 れない(旧耐震基準の物件と同じ様な評価を受けることになるかも)。

○建築費は更に高騰するかもしれない
 杭打ち工事におけるデータ改ざんを皆無にするためには、今まで以上の作業と時間が必要になり、結果として
 建築費が上昇する。また、データ改ざんに伴い建替えを行う物件が出始めると、人手不足から人件費が上昇
 し、建築費は更に高騰するかもしれない。

○新築物件は都市圏に集中するかもしれない
 建築費が高騰すると、新築に伴う経済価値を求められる様になる可能性があり、新築物件は、都市圏に集中
 するかもしれない。そうなると都市圏への更なる人口集中が懸念される。

以上は、私の悲観的な予測であり、予測が外れることを願っています。

地元に億ション!

先日発表された某大手デベロッパーのプレスリリースによると、三重県四日市市で
2部屋が1億円を超える価格となる分譲マンションを販売するとのことです。

今回発表されたプレスリリースを拝見すると、
価格帯 3,000万円台~1億3,000万円台
専有面積 63.13㎡~151.41㎡
となっています。ここから価格を想定していくと、

63.13㎡の1LDK+納戸が3,000万円 坪単価157万円、
151.41㎡は1億3,000万円 坪単価283万円となります。
(分譲マンションの価格は専有面積一坪当たりの単価=坪単価によって価格の高低を見ます。)

三重県四日市市は私の地元で、前職では分譲マンションのデベロッパーに勤務しており、
四日市市でも販売を行っていましたので価格の相場観はあるつもりです。
ファミリータイプの新築分譲マンションの価格は坪単価130万円から高くて150万円が相場であり、
今回のプロジェクトの価格には非常に驚いています。

今回のプロジェクトの立地は、小学生のころからよく行った商業施設の跡地であり、
四日市市の中心地である近鉄四日市駅から徒歩1分の場所で一等地であるといっても良いと思います。

何年か前に駅前商店街を訪れた際、閉鎖・解体されている状況に寂しく感じたことを覚えています。

今回のプロジェクトは、駅前商店街の活性化につながり、地元に活気が戻ることは
非常に喜ばしいと感じると同時に、この価格帯の分譲マンションがどう売れていくのか、
不動産業者の目線としても注目したい物件です。



東京から二時間あまりの街で土地つき一戸建てが10万円!?

 先日、NHKの「所さん!大変ですよ」という番組で『一軒10万円!? 超格安“土地つき一戸建て”の謎』というタイトルで超格安物件のことが取り上げられていました。

 番組の紹介には「東京から車で二時間あまりの街で土地つき一戸建てが信じられない超格安で売られている。中には10万円の物件も。なぜこんなに安いのか。そして購入者が抱える事情とは?」とあります。番組の概要は以下のとおりです。

  • 舞台は茨城県の鉾田市。海沿いにバブルのころに分譲された別荘地が多く存在する。
  • 今は昔からの住人も少なくなり荒れ果てている別荘も多い。
  • ある持主が固定資産税を払い続けるのであれば破格の値段で処分した方がいいと思い安値で売り出したら実際に売れた。それからどんどん安値で売り出されるようになり、中には10万円で売買される物件も。
  • 購入者は60歳以上の単身男性が多い。熟年離婚をし、東京では家賃を払い続けることができないというような経済的な理由で購入し移り住んだ人、親の介護を続け気づいたらいい歳になってしまい、これからは好きなことをしていきたいという理由で移り住んだ人、妻に先立たれ終活のために移り住んだ人など様々な事情を抱えている。

 所ジョージの出ているバラエティ的な番組なので、あまり深刻な作りにはなっていませんでしたが、それでも身につまされる思いでした。


 弊社でも、山奥の別荘の売却などに関する相談を受けることはあるのですが、対応が難しいことが多いのが実情です理由としては、買い手が想定しづらいということもありますが、物件価格が仮に数十万円の場合、宅建業者として求められる調査義務や説明責任を果たそうとすると業務として成り立たない可能性が高いからです。


 なお、番組で取り上げられた別荘はどうなのかは不明ですが、別荘地の場合、物件価格は安くても管理費や浄化槽などのランニングコストが意外とかかり月々の生活費に重くのしかかるケースもあるのではないでしょうか。また、別荘地同様、越後湯沢などのリゾートマンションも破格の値段で売り出されていることが多いですが、ランニングコストが高かったり管理費の滞納があったりするケースがありますので注意が必要です。

 私見ですが、今後の我が国の人口減少と財政難、特に地方自治体の財政の窮乏ぶりを考えると、将来なりふり構わない過疎地の切り捨てが行われることは想像に難くない気がします。となると、こういった別荘地は行政の手が行き届かなくなり(今もそれに近いのかもしれませんが)、孤独死などが頻発する可能性があると思います。一方、都市部においても、例えば老朽化したマンションなどが“ゴーストマンション”化し、破格の値段で売り出されることも増えるのでは、と考えています。

NHKホームページの番組案内
 http://www4.nhk.or.jp/taihentokoro/x/2015-10-15/21/14356/2121025/

NHKオンデマンド 有料ですがこの番組をご覧いただけます
 http://www4.nhk.or.jp/taihentokoro/7/

分譲マンション、犬を飼育するときの注意点(まとめ編)

これまでの2回で、マンションで犬を飼うために、犬種選びが必要なことや、
飼育する上で、ルールがあることをお伝えしてきました。
3回目はシリーズ最終回ということで、マンションで犬を飼育するための注意事項をまとめてみました。


①犬を飼育したいと思ったときは、現在お住まい(もしくは購入を検討している)マンションで、
 犬の飼育ができるかどうかの確認が必要です。
 マンションのルールブックである管理規約を調べることや、管理員や管理会社等へ確認します。


②飼育できる場所や、共用スペースでの扱い方など、マンションの飼育ルールを遵守する必要があります。


③犬の飼育が可能でも、犬種や大きさ、頭数等に決まりがありますので、
 内容を確認の上、犬種を選ぶ必要があります。
 また、犬種選びには、抜け毛の量や運動量など、犬種それぞれの特徴を把握する必要があります。
 きちんと面倒を看られる犬種選びが必要です。


④犬を飼育する上で、トイレ等、最低限必要になる「しつけ」を行うことが必要です。
 しつけには、苦労することも多く、忍耐が必要です。


⑤日々の餌代のほか、毎年のワクチンや狂犬病の予防接種、フィラリアの薬剤投与等の費用も必要です。
 また、動物保険の加入や、病気のときの治療費など、思っている以上に金銭の負担が大きいかもしれません。


 一般社団法人ペットフード協会によると、2014年の全世帯に対する犬の飼育率は約15%となっています。
この数字は、戸建の世帯も含まれていますので、マンションにおける犬の飼育率は半分程度かもしれません。
私の住んでいるマンションは、全体で約160世帯ありますが、犬を飼育している世帯は5世帯もありません。
犬の飼育可能なマンションは多くなってきていますが、飼育している世帯は思っている以上に少ないかもしれません。
そのため、犬の泣き声等、犬を飼育していない世帯からは理解を得られない可能性もあります。

お伝えした注意事項を確認いただき、他の居住者に迷惑を掛けないように注意しながら、楽しい飼育生活を送っていただきたいと思います。


一般社団法人ペットフード協会 http://www.petfood.or.jp/data/

先回までのブログはこちら↓



不動産の個人間売買は気をつけて行ってください

不動産の個人間売買とは、不動産業者(宅地建物取引業者)を介さずに売買を行うことであり、
その最大のメリットは、不動産仲介手数料を負担しなくても良い点です。
個人間売買を行うには、不動産業者の力を借りることなく、取引の相手方を見つける必要があり、
下記の様なケースが多いと思います。

○隣地を購入する(隣人に売却する)
○知人から購入する(知人に売却する)
○借りている不動産を購入する(借主に売却する)

個人間売買は、当事者間の良好な関係があってこそ成立する取引ですが、何の問題もない
不動産は意外と少なく、個人間売買が原因となり、当事者間の関係が悪化する場合があります。
私は経験上、古い建物付の土地を個人間売買で取引した場合、かなりの確率で問題が発生する
ものと考えていますので、ご注意ください。
※長い間、問題に気がつかないこともあります。

<不動産業者による物件調査が行われないため生じた問題>
○水道管やガス管が隣地を経由して引き込まれていた又は所有地を経由して隣地に引き込まれていた。
○建物の建蔽率や容積率が基準を超過していた又は建築当時の基準は満たしていたが現在の基準は
 満たしていなかった。
○接している道路は公道ではなく私道だった又は幅員が狭く建築のための接道義務を満たしていなかった。
○地役権が設定されており利用が制限された。
○隣地との境界が思っていた場所と違っていた。
○隣地の建物が越境していた又は所有建物が隣地に越境していた。
○登記上の面積と実際の面積にはかなりの差異があった。

<簡易な契約書で取引を行ったため生じた問題>
○瑕疵担保責任負担について取り決めをしていなかったので争いが生じた。
○通常の契約では清算する費用等について清算をしなかった。

上記は一例であり、その他にも様々な問題が発生する恐れがあります。
よく考えてみてください。3%安いからといって個人間売買で高額品を購入されますか?
3%高くても正規のお店で購入すれば、不良品に関しては返品等が可能になります。
不動産に関して言えば、商品自体は変わらなくても、専門家である不動産業者が購入目的達成の
可否や適正価格を判断するために必要となる情報を提供してくれます。
もしその情報に偽りがあり、損害を蒙った場合、不動産業者にその責任を追及することができます。
不動産は、人生の中で一番高額な買い物であるといっても過言ではありません。
それだけに、お店(不動産業者)選びが大切であると考えており、お店を通さない個人間売買は、
とても危険な取引であるように思えます。
一般的に、個人間売買によって、より多くのリスクを負う立場にあるのは買主といえ、売主主導で
進めていた個人間売買を、買主の要望により、不動産業者に仲介を依頼することになるケースは
結構あるような気がします。

※実際の仲介手数料は、税抜売買価格×3.24%+64,800円の場合が多いです。
  (税抜売買価格が400万円以上の場合)

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