不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

2017年08月

宅地建物取引士になるには

毎年10月には、宅地建物取引士の資格試験があります。
毎年7月末に受験申込が締め切られ、ここからが一番勉強に
熱が入る期間では無いかと思います。
(私が受験した際には、この3か月はほぼ勉強に時間を費やした記憶があります。)

宅地建物取引士は不動産の取引に必要な知識が求められる資格であり、
資格試験や受験資格等は下記のとおりです。


◇宅地建物取引士の資格試験のスケジュール
 年に一回実施される国家試験に合格し、登録を受けることで初めて宅地建物取引士として
 業務に従事することができます。具体的なスケジュールは下記のとおりです。

 7月 資格試験内容告示
 10月第三日曜日 試験日 平成29年度は10月15日(日)
 1129日~125日までの水曜日 合格発表(試験日の45日後) 平成29年度は11月29日(水)

 合格後、宅地建物取引士登録を行うことで、宅地建物取引士証が交付されます。
 宅地建物取引士の登録は、「実務経験2年以上」を有するか、「登録実務講習実施機関」が行う
 登録実務講習を修了することにより登録が可能となります。
 
◇宅地建物取引士の受験資格、登録基準
 宅地建物取引士の受験資格は、年齢・性別・学歴・国籍等の制限は一切ありません。
 受験自体は誰でもできますし、最年少の合格者は12歳となっています。
 ただし、宅地建物取引士としての登録には基準があります。したがって、試験に合格しただけでは
 宅地建物取引士にはなれず、あくまで合格後に登録を行い、宅地建物取引士証を交付されることで
 初めて宅地建物取引士としての業務を行うことができるようになります。
 また、下記に主なものを記載しますが、これらに該当する場合、宅地建物取引士の登録を受けること
 ができないとされています。

 1.
成年被後見人、被保佐人。
 2.
破産者で復権していないもの。
 3.
成年者と同一の行為能力を有していない未成年者。
 4.
禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、または執行を受けることがなくなった日から
   5年を経過していない者。
 5.
宅地建物取引業法、傷害罪などの暴力関係の罪、背任罪を犯したことにより罰金の刑に処され、
   その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者。
 6.
宅地建物取引業法第66条第18号・9号による宅地建物取引業免許の取り消しの日から
   5年経過していない者。

宅地建物取引士の資格は受験資格の制限がないため、毎年約20万人が受験する人気のある資格です。
(厚生労働省が発表している国家資格の受験者数では、一番受験者数が多くなっています。)

今年も多くの方が受験されると思いますが、資格取得後も意識して知識向上に努めなければ
ならないと感じています。

M&Aに関連するDDに絡むERの調査に立会いました

タイトルだけ見るとなんのことだかわからないですね。

M&Aとは「Mergers(合併)andAcquisitions(買収)」の略で、2つ以上の企業が一つになったり(合併)、ある企業が別の企業を買ったりすること(買収)をいいます。M&Aというと新聞などで報じられるような大企業同士の派手な合併や買収といったイメージがありますが、中堅・中小企業においても経営者の高齢化に伴う後継者不足解決の手段として、また、事業の選択と集中、事業の再構築などを図る手段としてM&Aは活用されています。弊名南コンサルティングネットワークにおいても、名南M&Aという部門が存在しており、中堅・中小企業のお客様を対象にM&Aの支援業務を手掛けています。

次にDDとは、「Due Diligence(デュー・ディリジェンス)」の略で、Dueは「当然、行うべき~」、Diligenceは「努力、注意」を意味します。不動産投資やM&Aの世界では頻繁に用いられる用語で、M&Aの場合では、譲渡企業の決算書だけでは見えない簿外債務や将来発生しうる損害等のリスクを把握するために行われ、その範囲は「財務」「法務」「ビジネス」「人事」「環境」などに分類されます。

さらにERとは「Engineering Report(エンジニアリングレポート)」の略であり、不動産の物理的な調査として対象建築物の現状を調査したレポートであり、主として以下のような項目について調査が行われます。

  • 建物状況調査等

     建物現況調査
     遵法性調査
     
    修繕更新費用算定
     
    再調達価格算定

  • 建物環境リスク評価

  • 土壌汚染リスク調査

  • 地震リスク(PML)調査


  
筆者も不動産証券化に関連する業界に在籍していたときはよくERの調査に立会いました。ER会社の調査員たちは『打診棒』といわれる先が丸くなった棒を持って10数階建のビルの屋上の際の部分で怯まずコンコンと外壁を叩きます。タイルが浮いてないかを調べ、剥落するリスクがないかを確かめるためです。オフィスビルなどでは屋上には手すりがないため、転落しはしないかと立ち会っている我々の方がビクビクしていました。

 ただ、ERの取得については、投資家からお金を集めて不動産に投資するといった不動産証券化の世界では必須の手続きなのですが、1件あたりおよそ100万円以上の費用がかかることからM&Aの世界ではあまり頻繁に用いられることはないようです。

 今回、買収する方の社長様のご意向により被買収先が所有する不動産についてリスクを明確にしておきたいとのことでERを取得することになりました。調査結果が数字で詳らかになるERM&AにおけるDDでももっと用いられてもよいのかもしれません。

相続で取得した実家、活用より売却した方がよい場合もある!?

 昨今では、親の家を離れ、自分で土地建物を取得する方が多いのではないかと思います。

 そのため、相続により、親の家を取得した場合には、どのように活用すればよいか悩むところです。

 "先祖代々から受け継がれてきた不動産"、"親が残してくれた家"、親と同じように次世代へ残していくべきではないかと考える方もいらっしゃいます。その気持ちは当然だと思います。

 そのため、引き継いだ不動産についいて、利用することはないので、「売却ではなく、何かに活用できないでしょうか?」という相談をいただきます。

 相談されるのが、住宅地とすると、活用方法は、そのまま改装して賃貸する。建物を解体して駐車場・アパート建築・賃貸用の戸建を建築するなどに限定されます。

 活用方法を模索するために、建築費を算出、賃料査定をし、投資回収までの期間など調べた上で、活用方法についてアドバイスさせていただきます。

 しかし、ご相談を受ける不動産の中には、活用するのではなく、売却について検討いただくことがあります。

 それは、アパート建築など投資をしても、将来の賃料下落、昨今の建築ラッシュによる競合物件の増加、空室率の上昇などの理由により、投資金の回収はおろか、融資の返済に困る可能性のある場合です。

 その場合は、空き家の3,000万円特別控除を利用して、売却することをお勧めします。というのは、先祖代々引き継いできた家の場合、土地や家屋の取得費が不明なことが多く、納める税金が多いのが難点だったのですが、平成31年12月31日までに譲渡することができれば、特別控除を利用することにより、手取り額が増えるからです。

親が住んでいた土地建物(取得費不明)を3,000万円で売却する場合の税額計算
※取得費不明のため、概算取得費(譲渡収入金額×5%)を利用するものとする。
※譲渡費用は100万円とする。
※税額は1万円未満切り捨てとする。

譲渡収入金額3,000万円-(取得費150万円+譲渡費用100万円)=譲渡所得2,750万円
課税譲渡所得2,750万円×所得税・住民税20.315%=558万円

空き家の3,000万円特別控除を利用した場合
譲渡収入金額3,000万円-(取得費150万円+譲渡費用100万円)=譲渡所得2,750万円
譲渡所得2,750万円-特別控除3,000万円課税譲渡所得0円
⇒課税譲渡所得が0円になるため、税金はかからない。

この場合の差額は、558万円!!!

なお、空き家の3,000万円特別控除を利用する場合、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、特例の適用期間である平成31年12月31日までに譲渡することが条件となります。

空き家の3,000万円特別控除の利用条件は、国税庁HPをご参照ください。 

 

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