不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

2019年05月

三為業者

“三為業者(さんためぎょうしゃ)”という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
三為業者とは、転売する際に、売主から買主に業者を介さず所有権を移転する形態で、
転売を行っている不動産(宅地建物取引)業者のことです。
上記の形態で転売する際、以前は“中間省略登記”が行われていましたが、
10年以上前に禁止となり、その代替として現在では、“第三者の為にする契約”にて
転売が行われています。
勘が良い方は既にお気づきかと思いますが、“第三者の為”から三為業者と
呼ばれるようになりました。

“第三者の為にする契約”にて転売を行うメリットは、三為業者に不動産流通税
(登録免許税・不動産取得税)が課税されないことであり、これにより、
リフォーム等実施なしの単純転売でも売却益が得られやすくなります。
スルガ銀行の問題が発生する前まで、投資不動産の売買において、
三為業者はかなりの影響力がありました。
普通に考えれば、三為業者を介さずに売却した方が、売主はより高値で
売れることになりますが、三為業者は、独自のルートで売主が設定した売値を
超える価格で購入する買主を見つけてくるのです。

例えば、名古屋市内の投資不動産の場合、地元の投資家が提示する購入価格よりも
三為業者が提示する購入価格の方が高いケースは、珍しくありませんでした。
その三為業者は、東京を含めた関東在住のサラリーマン大家さん等の個人投資家に
より高値で転売していました。
ちなみに、三為業者の多くは、東京が本社でした。

しかし、スルガ銀行の問題に、三為業者が関与していたこともあり、
その価格や利回りに関係なく、三為業者が介在している投資不動産の融資は
取組まないスタンスの金融機関が現れるなどし、現在では、かつての勢いなく、
数は激減しているものと推測されます。
現在、生き残っている三為業者の中には、高利回り狙いで、以前は検討不可であった
旧耐震の投資不動産を中心に転売を行っているところもあります。

三為業者の移り変わりから、現在の不動産価格は、不動産需要の高まりよりも、
金余りによる影響が強いことを改めて実感します。
よって、お金の流れが変われば(悪くなれば)、不動産市場は、悪化するような気がします。

平成30年住宅・土地統計調査の結果から(空き家)

平成31年4月26日に、平成30年住宅・土地統計調査の結果が
発表されました。

これは、住宅の保有状況や住環境などの実態を調査しているもので、
5年に一度の頻度で実施されているものです。

ニュースでは、「空き家率」が話題になり、5年前の調査では空き家率13.5%、
今回の結果は空き家率13.6%と微増になっています。
(個人の実感としては、もっと増加しているのかと思っていました。)
5年前の調査結果発表時には、空き家率の数字が大きな話題となり、
世間の空き家に対する注目度も上がったと感じています。

この調査の中で、「空き家」の内訳が発表されていましたので、
そちらの数字に注目してみてみました。
注目した内訳は「住宅の建て方別空き家数」です。
なぜこの統計調査に注目したかというと、相続した空き家を売却した際に利用できる
「空き家3,000万円特別控除」の効果があったのかが見て取れると考えたからです。

「住宅の建て方別空き家数」の分類は下記のとおりです。
○一戸建  ○長屋建  ○共同住宅  ○その他

この中で、「空き家3,000万円特別控除」の対象になるのは、「一戸建」です。
この中には、特別控除の対象外の新耐震基準の建物も含まれていますが、
平成20年→平成25年の増加率と、平成25年→平成30年の増加率を比較することで、
正確ではありませんが、効果があったかを伺うことはできると思います。

調査結果としては下記のとおりです。
平成20年 250万戸 → 平成25年 299万戸 (増加率 19.8%)
平成25年 299万戸 → 平成30年 317万戸 (増加率 5.8%)
 
長屋建や共同住宅の増加率は大きく変化がない中、一戸建の増加率は
大幅に減少しており、一定の効果があったのではないかと推測しています。

次回は別の視点でこの調査結果を掘り下げてみたいと思います。

参照:平成30年住宅・土地統計調査結果(総務省統計局)
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/

札幌ホテル地獄…

 来週、小樽と札幌に出張することになりました。1泊目は小樽で宿泊料は約8,000円。少し高いかな、と思いつつ、外国人観光客も多いところだしこんなもんか、だったのですが、問題は2泊目の札幌です。予約サイトを閲覧したところ愕然としてしまいました。以下はその一例です。

 すすきの地区 大手チェーン系ビジネスホテル(16㎡) 素泊まり 18,000円

 大通り地区  老舗シティホテル(21㎡) 朝食付き 22,950円

 札幌駅地区  鉄道系ビジネスホテル(16㎡) 朝食付き 14,900円

 10,000円以下で探そうとしてもほぼ皆無でした。もちろん、3~4,000千円で泊まれるカプセルホテルやドミトリーはありますが、ビジネスですと書類を持ち歩いたりするので防犯面に不安があります。前回4月の出張時に6,000円で泊まれた札幌駅近くのホテルが約30,000円になっていたのにはびっくりしました。

 昨年の冬、福岡で安室奈美恵のファイナルツアーやEXILE THE SECONDのツアーと受験シーズンが重なり修羅場になったという話は聞いたことがあったのですが、札幌もひどい状況のようです。調べてみると翌日に札幌ドームで嵐のコンサートが予定されているようで、観光シーズンに突入した中で大きなイベントの前日であることから各宿泊施設はかなり強気な料金設定をしているようです。

 不動産リサーチなどを行うCBREの調査によると2020年の札幌、名古屋、福岡の各市におけるホテルの客室数は、需要に対してそれぞれ3,500室、2,100室、1,400室程度不足するとのことです。

 そういえば観光不毛の地ともいえる名古屋でも今年のGWの10連休は宿泊者の増加率が全国有数だったとのことですし、大きなトランクを抱えた外国人旅行者の姿を見ることも以前に比べると増えました。

 再び札幌に話を戻しますが、その翌週も札幌に出張することになり、少し都心から離れた場所になりますが、8,000円台でホテルを押さえることができました。ということは来週の出張時はホテルを押さえるタイミングが遅かったのか、嵐目当てで来札する宿泊者が本当に多いのか、いったいどちらだったのかよくわかりません。

 結局、キャンセルが出たのか、何とか1万円以下のホテルを押さえることができました。

CBREの公表資料
https://www.cbre.co.jp/ja-jp/about/media-centre/cbre-publishes-2020-hotel-market-outlook-for-japanese-regional-cities
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