“三為業者(さんためぎょうしゃ)”という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
三為業者とは、転売する際に、売主から買主に業者を介さず所有権を移転する形態で、
転売を行っている不動産(宅地建物取引)業者のことです。
上記の形態で転売する際、以前は“中間省略登記”が行われていましたが、
10年以上前に禁止となり、その代替として現在では、“第三者の為にする契約”にて
転売が行われています。
勘が良い方は既にお気づきかと思いますが、“第三者の為”から三為業者と
呼ばれるようになりました。
“第三者の為にする契約”にて転売を行うメリットは、三為業者に不動産流通税
(登録免許税・不動産取得税)が課税されないことであり、これにより、
リフォーム等実施なしの単純転売でも売却益が得られやすくなります。
スルガ銀行の問題が発生する前まで、投資不動産の売買において、
三為業者はかなりの影響力がありました。
普通に考えれば、三為業者を介さずに売却した方が、売主はより高値で
売れることになりますが、三為業者は、独自のルートで売主が設定した売値を
超える価格で購入する買主を見つけてくるのです。
例えば、名古屋市内の投資不動産の場合、地元の投資家が提示する購入価格よりも
三為業者が提示する購入価格の方が高いケースは、珍しくありませんでした。
その三為業者は、東京を含めた関東在住のサラリーマン大家さん等の個人投資家に
より高値で転売していました。
ちなみに、三為業者の多くは、東京が本社でした。
しかし、スルガ銀行の問題に、三為業者が関与していたこともあり、
その価格や利回りに関係なく、三為業者が介在している投資不動産の融資は
取組まないスタンスの金融機関が現れるなどし、現在では、かつての勢いなく、
数は激減しているものと推測されます。
現在、生き残っている三為業者の中には、高利回り狙いで、以前は検討不可であった
旧耐震の投資不動産を中心に転売を行っているところもあります。
三為業者の移り変わりから、現在の不動産価格は、不動産需要の高まりよりも、
金余りによる影響が強いことを改めて実感します。
よって、お金の流れが変われば(悪くなれば)、不動産市場は、悪化するような気がします。