不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

2019年12月

2019年度 宅地建物取引士試験 合格発表

2019年度の宅地建物取引士試験の合格発表が、2019年12月4日に行われました。
宅地建物取引士の資格は受験資格の制限が無く、誰でも受験できることや、不動産業界
以外の業種でも役に立つこともあり、毎年約20万人が受験する国家資格です。

今年の合格点は35点以上となっており、合格率は17.0%でした。

実施年度 合格点
2019年  35点以上
2018年  37点以上
2017年  35点以上
2016年  35点以上   
2015年  31点以上  

この宅地建物取引士の試験で出題される項目は下記のようなものがあります。
①民法
②法令上の制限
③税制
④宅建業法
⑤その他土地建物に関する知識

主に不動産取引に関する知識(宅建業法)や、取引に付随する民法の知識、都市計画法や
建築基準法等、法令上の制限の知識等、不動産取引の専門家として必要な知識が問われる
試験です。

不動産の仕事に携わる方には必要な資格だと思いますが、そうでない方にとっても取得
していて良い資格だと思います。来年の試験はまだ先ですが、ご興味のある方は一度、
試験内容を調べられてみてはいかがでしょうか。
(本年も大変お世話になりました。来年も一年、宜しくお願い致します。)

スマートフォンと観察眼

先日、車に乗って物件調査を行っていました。お昼時になり、ちょうど通りかかったところに人気のラーメン店があったので入ってみることにしました。人気店にしては並んでいる人もいなかったのでラッキーと思い食券を買って後ろを振り返ると数名の待ち客が座っていました。店の入り口からは見えないところに待ち客用の椅子が置いてあったので待ち客がいることが分からなかったのです。私は飲食店の行列には基本的に並ばない主義なのですが、食券を買ってしまったのでお店を出るわけにもいかず椅子に座りしばらく待つことにしました。

こういった場合、無意識のうちに胸ポケットのスマートフォンを取り出して画面を覗いてしまうのですが、肝心のスマートフォンを車に置いてきたことに気付きました。並んで座っている手前、車に取りに行くことも憚られたため、そのまま待つことにしました。

そうなると手持ち無沙汰感が半端ありません。図らずも自身が普段いかにスマートフォンに依存しているかを再認識することになりました。スマホゲームの類は全く興味がなくアプリをダウンロードすらしたことがありませんし、LINEを頻繁にやり取りする相手もいるわけではないのですが、それでもネットニュースを見たり、Kindleのアプリで電子書籍を読んだり、気になったことをネットで調べたりと日常生活の中でそれなりの時間をスマートフォンに捧げているのだな、ということにあらためて気づきました。

そうはいっても手持ち無沙汰は手持ち無沙汰です。どうしようかと思いましたが、店内の様子を観察してみることにしました。店員が何人いて、それぞれがどういった役割でどのような動きをしているか、券売機のメニューはどうなっているか、席の数はいくつあるのか、等々いろいろ観察すべき点があることに気づきました。そこから、客単価はいくらくらいでお昼どきには何回転して、売り上げはこれくらいなのではないか、など想像を巡らせました。

そうこうしているうちに先客が席を立ち、自分が席に案内されました。普段であればあまりお行儀がよろしくないな、と思いつつ、食べながらKindleの電子書籍を読むことが多いのですが、この日は美味しいラーメンの味に集中していただくことができました。

仕事柄、普段街中を歩く時、あそこの建物が取り壊しになった、とか、あそこの更地にホテルの建築計画がある、など街の様子を注意深く観察するようにしているつもりなのですが、電車の中や一人でのランチ時の飲食店ではスマートフォンの画面を眺めていることが多く、観察眼を養うことをしていなかったな、と少し反省した次第です。

いつも無意識にスマートフォンの画面を眺めてばかりいるのではなく、時には意識的に周囲の状況に目を向けることも必要ではないかと感じました。

不動産業界の働き方改革につながるか?

12月14日(土)の中日新聞朝刊に、‟スマホで物件撮影 一発で情報書に”との記事が掲載されました。

記事は、地域情報ポータルサイト運営のはまぞう(浜松市)が、スマートフォンで撮影した不動産物件の画像から、最寄りの施設や災害リスクなどの情報をまとめた物件概要書を作成できるシステム「写真一発XYZ」を開発し、提供を始めたという内容です。

この記事を読んで、不動産業界で働く私は、素晴らしいシステムが開発されたなと率直に思いました。

と言いますのも、不動産を販売するためには、自治体へ用途地域や道路幅員、ライフラインの埋設状況などを調べて、販売用の資料に反映させることが必要になります。

現在では、ウェブサイトで調べられる項目も多くなり、役所へ通って、一つ一つ調べていた時代に比べ、移動時間など、調査時間は短くなりましたが、それでも、不動産を販売するために調べる項目は多く、一つのウェブサイトでは調べられずに、いくつかのウェブサイトで調査をすることが必要です。

「写真一発XYZ」は、撮影した写真に含まれる位置情報に着目し、自治体や国土地理院が公開しているオープンデータを蓄積してデータベース化し、画像の位置情報を基に周辺の関係データをDBから取り込めるようにしているとのこと。

ということは、調査対象不動産の現場で写真を撮れば、一発で調査が完了するということになります。そうなれば、1不動産につき、1~2時間かけていた調査時間を短縮させることができます。1年間に、調査する物件が50件とすれば、年間50~100時間の労働時間短縮です。

このように、いくつかの自治体等のウェブサイトの情報を、一瞬で取り込めるシステムは、労働時間の短縮につながり、不動産業界で働いている人たちにとって、働き方改革につながることは間違いないと思います。

海外不動産投資

来週公表が予想される令和2年度税制改正大綱に海外不動産投資による節税対策を
出来なくする内容が盛り込まれるのでは?と噂されています。
ニッチな内容ではありますが、不動産業界では、熱い話題となっています。

海外不動産投資による節税対策の概要は下記の通りです。

○主にアメリカ(ロサンゼルス・ダラス・ハワイ 等)の中古木造住宅(築後30年以上の場合が多い)
 を購入し賃貸。

○アメリカの中古木造住宅の価格は、新築後の経過年数にあまり関係なく、建物価格が土地価格を上回り、
 建物価格が60~80%を占めるケースが多い。
 つまり、古くなっても建替えではなく、リノベーション等を行い、建物価値を維持しているということです。
 例えば、1億円の中古木造住宅を購入した場合、その建物価格は6,000~8,000万円となります。

○日本では、木造住宅の法定耐用年数は22年と定められています。
 法定耐用年数の全部を経過した木造住宅を購入した場合、簡便法に基づくとその耐用年数は4年となります。
 (計算式)22年×20÷100=4.4≒4年(1年に満たない端数が生じた場合は切り捨てとなります)
 建物価格が6,000万円の場合、1年間(計4年)の減価償却費(経費と見なします)は1,500万円となり、
 8,000万円の場合は2,000万円となります。 

○地域によって多少の違いはありますが、アメリカの中古木造住宅を賃貸した場合、
 諸経費控除後の年間利回りは3%前後だといえますので、その価格が1億円の場合、
 減価償却費計上前の損益は300万円程度となります。

○損益の300万円から減価償却費を控除すると海外不動産投資の損益は△1,200~1,700万円となります。

○他に不動産所得がない場合、△1,200~1,700万円の損益は、他の所得と損益通算することができ、
 これが節税のポイントとなります。
 例えば、3,500万円の所得がある方の場合、損益通算により所得税・住民税・復興税の合計で
 762.6万円の税負担が減少します。
 その後、所得・税率ともに変化がなかったと仮定すると、4年間合計で3,050.4万円の税負担が
 減少します。

○節税の仕上げは、海外不動産の売却となります。
 例えば、6年間所有後、購入価格と同じ1億円で売却した場合、減価償却済の6,000万円が
 譲渡所得となり(購入・売却時の諸経等費は考慮していません)、それに対する税額は、
 約1,218.9万円となります。
 この場合、海外不動産投資により1,831.5万円の税負担が減少したことになります。
 (海外不動産の運用損益は考慮しておりません)

冒頭の噂がある一方で、令和2年度の税制改正大綱では見送られるのでは?という意見もあります。
今回改正が見送られたとしても、何れ改正が実施される可能性が高いといえ、節税目的の海外不動産投資は、
下火になっていくものと思われます。

しかし、節税対策をあれこれ考える人がいますので、しばらくすると、新しい節税対策としての不動産投資が
生まれるような気がします。

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