不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

2021年04月

コロナ禍により大阪・ミナミの路線価、再び減額補正

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により地価が大きく下落した地域で路線価の減額補正が再び適用されることとなりました。

対象となる地域は、大阪市の“ミナミ”といわれる繁華街・歓楽街で、対象期間は令和2年10~12月となります。この間に相続等により対象地域で土地を取得した場合、路線価に「地価変動補正率」を乗じることにより評価額を算出することになります。既に公表されていた同年7~9月分では対象地域が3地域でしたが、今回は13地域と10地域も増えています。

相続等により土地を取得した場合の税額の算定に用いる路線価ですが、地価の実勢水準の80%程度に抑えられています。一方、路線価は毎年1月1日を基準日としているため、1年間に20%以下になるような大幅な地価下落があった場合、地価の実勢水準が路線価を下回ってしまうことになり、納税者の不利益とならないよう、このような措置が講じられています。

なお、名古屋市の代表的な繁華街である錦3丁目では、下落率が20%以下にならなかったことから「地価変動補正率」の対象地域にはなりませんでしたが、「個別の期限延長」により、令和2年10月から12月までの路線価の補正に係る公表の日(令和3年4月23日)から2か月間、贈与税の申告・納付期限を延長できることとされました。

今回の公表により、令和2年分の路線価については、講じられる措置がすべて明らかになりました。今後について、令和3年分の路線価は、令和3年1月1日を算定基準日とし、7月に発表される予定です。

足元の状況としては、3回目の緊急事態宣言が東京・大阪・兵庫・京都の4都府県を対象に発出されることになっています。2回目の緊急事態宣言とは異なり、大型商業施設(生活必需品を販売する小売店などを除く)や酒類やカラオケ設備を提供する飲食店などに対する休業要請、プロ野球やJリーグなどのイベントの無観客開催の要請などかなり厳しいものとなっています。今回の措置は、減額補正の対象となった大阪・ミナミをはじめ、各地の繁華街・歓楽街の地価に大きな影響を与える可能性があります。様々な面で先行き不透明ともいえる状況ですが、今後の地価の動向についても注意深くウオッチする必要があると感じています。

国税庁 令和2年分の路線価等の補正について(10~12月分)

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 撮影日:令和3年4月9日

高潮浸水想定地域が愛知県より公表されました!

令和3年3月30日に愛知県より、高潮浸水想定区域図が公表されました。

公表された図をもとに今後、市町村において、高潮ハザードマップの作成が行われます。
宅地建物取引業者は作成されたハザードマップの内容について、重要事項説明書に記載し、取引の相手方に説明することが義務付けられています。

さて、高潮について、簡単なイメージをすることはできたのですが、詳しくは知りませんでした。愛知県が公表した資料を一通り読みましたので、以下でご説明します。

高潮とは、台風などの気象の乱れにより発生する潮位の上昇現象。台風や発達した低気圧が通過するとき、潮位が大きく上昇することがあり、この現象を「高潮」といいます。高潮の原因は大きく2つあり、①気圧低下による吸い上げ効果と②風による吹き寄せ効果です。

①気圧低下による吸い上げ効果・・・台風や低気圧の中心では気圧が周辺より低いため、気圧の高い周辺の空気は海水を押し下げ、中心付近の空気が海水を吸い上げるように作用する結果、海面が上昇すること。

②風による吹き寄せ効果・・・台風や低気圧に伴う強い風が沖から海岸に向かって吹くと、海水は海岸に吹き寄せられ、海岸付近の海面が上昇すること。この効果による潮位の上昇は風速の2乗に比例し、風速が2倍になれば海面上昇は4倍になります。

愛知県が公表した高潮浸水想定区域図には、日本に既往した最大級の台風である室戸台風級(
中心気圧910hpa、半径75㎞、速度73㎞。発生確率:500年~数千年に1度)が上陸し、想定し得る最大規模の高潮が発生した場合の被害について記載されています。なお、高潮浸水想定区域図は、1959年に発生した伊勢湾台風と同程度の台風による被害も想定されていますが、想定される被害は、室戸台風級>伊勢湾台風級とのことですので、いかに最悪の事態を想定しているのかが分かります。

高潮浸水想定区域は、津波災害警戒区域よりも被害を受ける地域が広大であるように思います。海から離れたところでも高潮の被害が想定されています。しかし、台風は発生したことや進路などを気象庁が発表しますので、被害が想定される場合、台風が上陸するまでに避難することは可能な気がします。

高潮浸水想定区域もそうですが、いろいろなハザードマップが公表されていますので、自宅がどのような地域に建っているのか、どのような災害が想定されるかなどを確認し、被災した場合のことなど、定期的に家族と話し合われてはいかがでしょうか。

拡大する不動産ファンド

新型コロナウィルス感染症拡大を機に、企業の不動産戦略は多様化し、
その受け皿となっている不動産ファンドが拡大しています。

○資産のスリム化(保有不動産)により設備資金又は運転資金を確保
 
○在宅勤務定着による本社等自社ビルの売却(売却後必要部分を賃借)

○工業等閉鎖した拠点を売却

経済への影響を検証する場面で、新型コロナウィルス感染症拡大と比較される
ことが多いリーマン・ショックの際、不動産ファンドは甚大な影響を受け、
数多くのファンドが姿を消しました。
前記が両者の決定的な違いであり、現時点で金融は大きな影響を受けておらず、
以前にも増して金余りが顕著といえます。
これこそが不動産価格が下落しない要因です。
※リーマン・ショック時と違い、不動産を売却した企業の多くは、売却益を得ています。

現在、資産のスリム化のため、保有不動産を売却している企業の中には、
不動産賃貸の収益力に着目し、新型コロナウィルス感染症拡大が起こる直前まで、
積極的に不動産開発を行いながら、保有不動産を増加させてきた企業もあります。
また、そのような企業の中には、資産のスリム化のため、不動産賃貸の収益を
諦める一方で、不動産開発で収益をより高い収益を狙う企業もあります。
つまり、一律に金余りの状況が顕著になったのではなく、少数について金余りの
状況が非常に顕著になったのであり、その象徴的な存在がファンドであると考えています。

よって、法人・個人が優良不動産を不動産ファンドに売却し、売却益を得る傾向は、
しばらく続くものと考えています。

在宅勤務と住まい

昨日4月1日は、どの企業も入社式が開催され、新入社員を迎えられたことでしょう。
今年は、リモートで開催する企業、対策を取りながら対面・集合で開催する企業、
それぞれの考え方によりさまざまな形式で開催されたようです。

この1年、新型コロナウイルス感染拡大を受け、在宅勤務が急速に広がりました。
地域や業種により実施状況は異なりますが、多くの企業で在宅勤務を導入されている
と思います。
在宅勤務において、生産性を上げ快適に仕事を進めるためには、自宅環境も重要です。

在宅勤務にあたり、
・仕事に集中できる部屋やスペース確保のため自宅を模様替えした
・デスクやPC周辺、通信環境を整備した
などというお声もお聞きします。
実際、私も在宅勤務にあたり、部屋を片付け、パソコンを購入し、
通信環境を整えました。

しかし、これまでは「自宅で仕事をする」という認識自体が低いため、
「仕事もできる環境」という目線で住宅を選ばれた方は少なく、
在宅勤務に合わせ自宅環境を整えること自体、難しい場合もあるでしょう。

在宅勤務が浸透する中、今後、オフィス規模の縮小や撤退など極端では
ありますが、オフィス不要という考え方も増えるのでしょうか?

個人的には、オフィスはやはり必要と考えます。
在宅勤務を実施している多くの企業で、コミュニケーション不足、取引先や
顧客とのやり取り、部下の教育・報告相談が困難など、在宅勤務の弊害や
デメリットを感じ、オフィスはコミュニケーションを図る上では重要である
ことが再認識されています。

新型コロナウイルスをきっかけに、働き方とワークスタイルの多様化が進みました。
今後は、オフィスと在宅勤務をうまく組み合わせた働き方が更に進むでしょう。
オフィスのあり方も変わってきます。
会社からの距離や交通手段といった「勤務地」重視ではなく、仕事ができる
個室の確保や間取りなど、これまでとは異なる見方で住まいを選ぶ方も
増えるのではないでしょうか?
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