不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

2022年07月

空き家と相続登記

先日、筆者の出身地である岐阜市が、空家対策特別措置法に基づき、略式代執行に
よる「特定空き家」の解体工事を開始したという報道を見聞きしました。
略式代執行とは、特定空き家等の所有者等が特定できない場合、行政が措置を行う
ことですが、岐阜市としては初めて適用し解体費194万円をかけ実施するとのこと。

所有者不明の状態で老朽化で倒壊の危険性があると判断されたもの等でないと対応
は難しいですが、空き家は、今後、さらに増え続けていきます。

話は変わりますが、中古住宅買取再販年間販売戸数で9年連続1位のカチタスという
企業が、今年の7月に全国の空き家所有者を対象(1000名からの回答)にした動向
調査を実施しました。
当該調査によると、空き家の建物形態は「一戸建て」が最も多く約8割を占めてお
り、空き家の取得経緯は、約6割が「相続」によるものです。空き家というフレー
ズは、昨今ニュース等で見聞きし、なんとなく対応に苦慮する問題としてイメージ
されますが、実際、空き家の相続について、家族と対話したことのある人の割合は
約5割程度にとどまっており、直ちに売却や活用等の対応することなく、または対応
したい意向はあるも空き家が地方にある等で何の対策もせず、しばらく様子見(放置)
される方も一定数存在しています。

現状、不動産の相続登記は義務もなく罰則もないため、こうした放置される空き家は
登記されないことも珍しくありません。時間が経つと相続関係が複雑になり、相続人
も増えその存在すら分からなくなり、相続自体の処理も困難になっていきます。
このような問題解決に向け、2024年に相続登記が義務化されます。
相続人は、取得を知ってから3年以内に相続登記する必要があり、正当な理由なく怠れ
ば10万円以下の過料が科される可能性があります。

土地一筆ごとで見た場合、全国の2割超は所有者不明土地で、その約6割が相続登記が
されていないことが起因しているようです。
相続登記義務化後の動向は、注目し見守っていきたいと思います。

法人所有の不動産と相続

自営業(法人)を行っていた方のご相続人様から、
「法人で所有している不動産は相続の対象になるのでしょうか」とご質問いただくことがあります。

確かに自営業の場合、法人=被相続人のイメージなので、
上記のようにお考えになられると思いますが、
ご回答としては「相続の対象にならない」となります。

相続の対象になるのは、被相続人の財産であり、被相続人が所有していた法人の株式は
相続の対象にはなりますが、法人の所有不動産は相続の対象にならず、相続人が自動的に
相続することはありません。また、法人の経営者としての取締役の地位も相続の対象にはなりません。
理由としては、取締役は法人との委任契約により法人を経営しているのであり、その委任契約は
受任者の死亡により自動的に終了してしまうためです。

したがって、
法人の株式 = 相続財産である
法人の所有物 = 相続財産ではない
取締役の地位 = 相続財産ではない(取締役の死亡により取締役不在となる)
となります。(取締役が1名であることを前提)

法人の所有する不動産の処分等は、取締役が判断して行う事項であり、
相続人が自由に意思決定することはできません。

法人を引き継ぎ、継続して事業をするのであれば特に問題がありませんが、
法人を解散することを考えている場合、上記のことも加味して検討する必要があると思います。






ショッキングな事件と今後の金融政策

内閣総理大臣経験者が選挙の街頭演説中に銃撃されて亡くなるというショッキングな事件が起こりました。

2022年7月8日金曜日、午前11時31分ごろ発生した安倍晋三元内閣総理大臣の銃撃事件は、各メディアで一斉に速報され、日本をはじめ世界各国で驚きをもって受け止められました。

私はその日は外出していて、外で食事を摂っていたのですが、一報を報じるニュース番組に店内にいた人たちが一様に驚いた表情で見入っていました。

事件の背景として宗教のことなど様々に取りざたされていますが、仮にどのような理由があろうとも暴力で解決することは許されることではありません。

志なかばで凶弾に倒れた安倍晋三元内閣総理大臣に謹んで哀悼の意を表します。

さて、不動産に携わる者にとって、安倍氏の最大の功績といえば、2度目の内閣総理大臣就任後に進めた「アベノミクス」が想起されます。

大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という「3本の矢」が経済政策の柱として掲げられ、特に金融政策については、安倍氏の政策ブレーンでもあった黒田東彦日銀総裁のもとで実行された「異次元の金融緩和」による大量の資金供給や超低金利により不動産市場にも莫大な資金が流入、局所的にはバブル期を超える地価上昇が起こるなど、長期に渡り低迷にあえいでいた不動産市場が再浮上するきっかけになったことは確かです。

米国など海外の主要国ではインフレ是正のため低金利政策からの脱却を図る一方、それができない日本では内外の金利差から行き過ぎとも思われる円安が進行し、アベノミクス的政策からの転換も議論されるなかで起こった今回の事件。

政権与党内の重鎮が突然死去したことによる党内バランスの変化が今後の金融政策に及ぼす影響は未知数ですが、方向性によっては不動産市場にも大きな影響を与える可能性もあります。

動向を慎重に見極める必要がありそうです。

不動産取引時における埋蔵文化財の影響

埋蔵文化財とは、土地に埋蔵されている文化財(主に遺跡といわれている場所)のことをいいます。

埋蔵文化財の存在が知られている土地を「周知の埋蔵文化財包蔵地」といいます。周知の埋蔵文化財包蔵地は全国で約46万カ所あり、毎年9千件程度の発掘調査が行われています。周知の埋蔵文化財包蔵地は、周囲に城や寺、古墳などがある場合に指定されていることが多いです。

さて、周知の埋蔵文化財包蔵地にある不動産を売買するときはひと手間かかります。

文化財保護法では、周知の埋蔵文化財包蔵地において土木工事などの開発事業を行う場合には、都道府県・政令指定都市等の教育委員会に事前の届出等(文化財保護法93・94条)をすることになっています。

土木工事等の開発事業の届出等があった場合、都道府県・政令指定都市等の教育委員会はその取り扱い方法を決めます。当方の事務所が所在する名古屋市では以下の4つの指示を受けることになります。
○発掘調査の実施(費用負担有。ただし個人が自宅を建てる場合は除く。)
○常時立会の実施(費用負担有)
○施工状況確認のための立会(費用負担無し)
○慎重工事(費用負担無し)

詳しくは、名古屋市のホームページで確認いただきたいのですが、工事の手続きに一定の期間が必要なことや、工事中に、遺構や遺物が確認された場合は、一時的に工事を中断し遺物の採集や写真撮影などを行なう必要があるなど、工事がスムーズに進まない可能性があります。

このように、周知の埋蔵文化財包蔵地で不動産の取引をする際は、引渡までの期間や費用などに注意が必要です。

令和4年路線価

令和4年路線価

本日(7月1日)、国税庁は、令和4年分の路線価(1月1日時点)を公表しました。
主な概要は以下のとおりです。
〇全国の平均変動率は前年対比で0.5%のプラスとなり2年ぶりに上昇。
〇前年対比プラスは令和3年の7道県から令和4年は20都道府県に増加。

上記の概要をみると、都道府県の最高路線価は、平均以上に上昇しているような気がしますが、
少し様子が違います。

東京 平均変動率 1.1% 銀座中央通り △1.1%(42,240千円/㎡)
大阪 平均変動率 0.1% 御堂筋 △4.0%(18,960千円/㎡)
福岡 平均変動率 3.6% 渡辺通り 0.0%(8,800千円/㎡)
沖縄 平均変動率 1.6% 国際通り △0.7%(1,420千円/㎡)

新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け、地価は下落に転じましたが、
それ以前から、各地域の最高価格エリアについては、高値の上限に近づいていたため、
他のエリアと比較すると回復が鈍いのだと勝手に解釈しています。

アーカイブ
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

  • ライブドアブログ