先日、筆者の出身地である岐阜市が、空家対策特別措置法に基づき、略式代執行に
よる「特定空き家」の解体工事を開始したという報道を見聞きしました。
略式代執行とは、特定空き家等の所有者等が特定できない場合、行政が措置を行う
ことですが、岐阜市としては初めて適用し解体費194万円をかけ実施するとのこと。
所有者不明の状態で老朽化で倒壊の危険性があると判断されたもの等でないと対応
は難しいですが、空き家は、今後、さらに増え続けていきます。
話は変わりますが、中古住宅買取再販年間販売戸数で9年連続1位のカチタスという
企業が、今年の7月に全国の空き家所有者を対象(1000名からの回答)にした動向
調査を実施しました。
当該調査によると、空き家の建物形態は「一戸建て」が最も多く約8割を占めてお
り、空き家の取得経緯は、約6割が「相続」によるものです。空き家というフレー
ズは、昨今ニュース等で見聞きし、なんとなく対応に苦慮する問題としてイメージ
されますが、実際、空き家の相続について、家族と対話したことのある人の割合は
約5割程度にとどまっており、直ちに売却や活用等の対応することなく、または対応
したい意向はあるも空き家が地方にある等で何の対策もせず、しばらく様子見(放置)
される方も一定数存在しています。
現状、不動産の相続登記は義務もなく罰則もないため、こうした放置される空き家は
登記されないことも珍しくありません。時間が経つと相続関係が複雑になり、相続人
も増えその存在すら分からなくなり、相続自体の処理も困難になっていきます。
このような問題解決に向け、2024年に相続登記が義務化されます。
相続人は、取得を知ってから3年以内に相続登記する必要があり、正当な理由なく怠れ
ば10万円以下の過料が科される可能性があります。
土地一筆ごとで見た場合、全国の2割超は所有者不明土地で、その約6割が相続登記が
されていないことが起因しているようです。
相続登記義務化後の動向は、注目し見守っていきたいと思います。