不動産の価格査定は、不動産の種類にもよりますが、基本的には
①公的価格(路線価や公示価格等)
②実際に取引された近傍類似の成約価格
の二つを参考に行います。
したがって、上記の情報があれば、概算の価格が算出できますが、
AIで算出した査定価格と、実際に不動産業者が査定した金額には差があります。
理由は、②のデータがAIと不動産業者で見るデータが違うためです。
①については誰でも見れる情報なので問題はありませんが、
②についてはAIで査定する場合、インターネット上及び運営会社が保有しているデータを参考にしています。
対して不動産業者の場合、不動産業者のみが閲覧することができるレインズというDBに蓄積された
実際の成約価格をもとにして価格査定を行います。
インターネット上にあるデータは、基本的に「売出価格」であり、実際に取引された「成約価格」であるかは不明です。例えば、3,000万円で売出していた土地が、実際には2,800万円で成約したのであれば、AIの参考値は3,000万円、不動産業者の参考値は2,800万円となります。
また、AIの場合は現地の状況については考慮していません。例えば隣の敷地との境界に高低差がある場合、一般的にはその高低差に対する工事費用を考慮しなければいけませんが、AIの場合は考慮はされません。
したがって、ある程度の幅をもった概算金額の算出にはAIは向いていますが、実際の成約想定価格の算出まではまだ不向きであると考えます。
AIによる価格査定がもっと本格的に、また実用的になるためには、そのバックデータをどのように整備するかが課題だと思います。またそれは、業界として取り組む必要があるように感じます。