不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

2023年11月

修繕積立金 段階増額積立方式と均等積立方式

日経新聞などによると、国土交通省が、修繕積立金の段階増額積立方式の値上げ幅について、目安を示す方針とのことです。

修繕積立金について、国土交通省は以前より、均等積立方式を推奨していますが、いまだ、段階増額積立方式のマンションが多くなっています。それは、購入者の
当初の月額負担を軽減し、販売しやすくしているからです。

私のマンションも同じです。私のマンションでは、分譲時にデベロッパーより、①修繕積立金を改定せず、計画的な修繕を実施する際に不足する分を一時金として徴収する案と、②一時金を徴収せず、積立金のみを定期的に改定して対応する案が示されました。

①の案
修繕積立金を月額5,840円とし改定はないものの10年ごとに一時金が発生。
≪一時金≫
○10年目 499,900円
○20年目 1,721,800円
○30年目 748,500円

②の案
≪一時金の徴収無し≫
○1~7年目   月額5,840円
○8~11年目  月額11,120円
○12~15年目 月額16,800円
○16年目以降  月額20,800円(当初金額の約3.5倍)

管理組合結成後、総会の決議により、②に決定しましたが、一時金が大きいことがネックとなり、均等積立方式は選択されなかったと思います。築10年を超え、大規模修繕の時期が迫ってきています。修繕計画作成時よりインフレの影響が大きく、費用が足りなくなる可能性が高くなっています。マンション分譲当時に①の案で一時金のない正真正銘の均等積立方式(月額15,000円程度ぐらい)を提案してくれて、管理組合として選択できていたら、今後の値上げに苦労せず、今よりも安心な将来設計ができていたかもしれません。

(ただし、修繕積立金が当初の10倍を超えるマンションもあるとのことですので、私のマンションは、まだいい方なのかもしれません。)

国土交通省が、
修繕積立金の段階増額積立方式の値上げ幅について、目安を示せば、デベロッパーが過度に当初の修繕積立金を低く抑えられなくなりますので、購入者は、今よりも安全な資金計画を立てられると思います。

老朽化マンションの建替え

先日、老朽化した分譲マンションを円滑に建て替えられるよう、来年の通常国会で区分所有法の改正に向けた要綱案が報道されました。
現行法は、建替えに区分所有者の「5分の4」以上、取壊しに「全員」の同意が必要ですが、建替えや取壊しに必要な割合を、いずれも所在明らかな所有者の「4分の3」以上に緩和する内容のもの。
また、耐震性や耐火性に問題があれば、「4分の3」以上の同意で建替えや取壊しが可能となることや、その他、区分所有者が不明の場合には、決議の母数から除外すること等も協議されています。
マンションの老朽化が進み、同時に居住者の高齢化や空室化が進んでいけば、管理が行き届かなくなるマンションが大量に発生することが予想されるため、これらの再生が喫緊の課題となっています。今後の対策等の動向には注目し見ていきたいと思います。

不動産投資の目的

一口で不動産投資といっても、その種類は様々です。
購入する不動産の種類による分類もあれば、規模や契約形態等様々です。
例えば不動産の種類で考えると、下記のように分類ができます。

〇区分所有マンション(一室を保有する。)
〇一棟のアパートやマンション(主に住宅)
〇一棟のビル(事務所やテナント等)
〇底地(店舗等に貸している土地)
〇駐車場(コインパーキングや月ぎめ駐車場)

それぞれのメリットやデメリットもありますが、投資を行う際に
一番重要なことは、「投資の目的を明確にする」ことです。

例えば、資産を増やすためであればキャッシュフロー重視、
相続対策のためであれば評価額を重視する等、目的に合致するものを
選ぶべきです。
また、不動産の投資は比較的投資額の低い区分所有マンションでも
1,000万円を超える投資になり、慎重にリスクを検証する必要があります。

確かに不動産投資は、うまく活用すれば資産を増やすことにつながりますが、
投資額も大きく、言い換えれば「事業」を行うことと同義語です。
どのような事業も簡単にできるものはなく、それ相応のリスクや
労力を伴うものと考えてよいでしょう。

不動産投資を行う際には、「投資の目的」を明確にし、
十分なリスク検証の上行うことをお勧めいたします。
また、弊社は不動産投資のコンサルティングも行っていますので、
お気軽にお問合せください。

金利上昇の影響

今週、日本銀行が金融政策決定会合にて金融政策を再修正し、今後の金利上昇が
濃厚となりました。
その顕著な一例が、多くのメディアが報道済である三菱UFJ銀行の
定期預金金利(期間5年以上)の引上げです。
預金金利の引上げは大歓迎ですが、借入金利はそれを上回る引上げとなります。
実際に、7月の金融政策決定会合以後、金利上昇による収益拡大の期待から、
銀行株は軒並み上昇しています。
しかし、金利上昇は、その程度によって、諸刃の剣となる危険性を孕んでいます。
既に、長期金利が5%を超えているアメリカでは、ソフトバンクが大株主である
シェアオフィス大手のウィーワークの連邦破産法第11条適用申請検討や
銀行の経営不安再燃等が報じられています。

不動産市況に目を移しますと、普通に考えるとマイナス影響といえます。
不動産は銀行等から借入して購入する場合が多く、金利上昇は借入(返済)
可能額の減少、ついては取引価格の減少に繋がるものと考えられます。
また、投資不動産の期待利回りは、借入金利に不動産特有のリスクを
上乗せして決定する場合が少なくなく、金利上昇は期待利回りの上昇、
ついては取引価格の減少に繋がるものと考えられます。
※インフレ等の影響により、金利以上に賃料等の収入が上昇すれば、
 取引価格は減少しないものと考えられます。
 
しかしながら、前記は日本国内に限った話であり、世界に目を向けると
話は違ってきます。円安の影響もあり、世界的に見ると日本の不動産は
割安であり、期待利回りは高いといえます。欧米では、長期金利が
投資不動産の期待利回りを上回っている国もあります。
ちなみに、前記の状況になると、売却益を期待した不動産投資となり、
その顕著な一例がバブル崩壊前の日本の不動産市況であると考えております。

更に、問題を難解にするのが、建築費の高騰です。
いよいよ2024年4月から、建築業にも働き方改革関連法が適用されるため、
人手不足が深刻です。
また、円安により建築資材価格は高止まりしており、仕事が多少減少しても
建築価格は下がらないものと考えられます。
※建築会社は淘汰され、需給バランスは崩れないような気がします。

結論としましては、金利下落の期間が長すぎたため、金利上昇が不動産市況に
与える影響は何ともいえません(申し訳ありません)。
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