不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

空き家

宅地建物取引業者と空き家の管理

先日、国土交通省より、宅地建物取引業者(以下、「宅建業者」という。)と空き家との接点を、売買や賃貸といった仲介業務を行う「流通・利活用」の段階にとどめず、前段階の管理や相談対応にも積極的に関わることができるようにし、そのビジネスモデルの構築に向けた整理と検討を来年から着手するとの発表がありました。
宅建業者が業務で空き家に接するのは、これまで売却や利活用のときなど、所有者が空き家をどうするか意思決定した後の段階に限られていました。
宅建業者に接する前の段階で、空き家をどうすればよいか決めかねている所有者も多いと想定され、国土交通省は、相談対応や管理の段階から宅建業者が空き家にアクセスすることで、その先の流通量の拡大にも繋がると目論んでおり、同時に、宅建業者が空き家の管理などを行う場合に受領できる報酬・手数料についても、宅建業法との関係を整理しつつ、宅建業者が赤字にならないビジネスモデルを示したいとのこと。
赤字にならないビジネスモデルと聞くと、営利目的で動く宅建業者が積極的に動くのか疑問が残りますが、増え続けていく空き家対策に国が関与していくことでどのように変わっていくのか、今後の変遷には注目して見ていきたいと思います。

空き家と相続登記

先日、筆者の出身地である岐阜市が、空家対策特別措置法に基づき、略式代執行に
よる「特定空き家」の解体工事を開始したという報道を見聞きしました。
略式代執行とは、特定空き家等の所有者等が特定できない場合、行政が措置を行う
ことですが、岐阜市としては初めて適用し解体費194万円をかけ実施するとのこと。

所有者不明の状態で老朽化で倒壊の危険性があると判断されたもの等でないと対応
は難しいですが、空き家は、今後、さらに増え続けていきます。

話は変わりますが、中古住宅買取再販年間販売戸数で9年連続1位のカチタスという
企業が、今年の7月に全国の空き家所有者を対象(1000名からの回答)にした動向
調査を実施しました。
当該調査によると、空き家の建物形態は「一戸建て」が最も多く約8割を占めてお
り、空き家の取得経緯は、約6割が「相続」によるものです。空き家というフレー
ズは、昨今ニュース等で見聞きし、なんとなく対応に苦慮する問題としてイメージ
されますが、実際、空き家の相続について、家族と対話したことのある人の割合は
約5割程度にとどまっており、直ちに売却や活用等の対応することなく、または対応
したい意向はあるも空き家が地方にある等で何の対策もせず、しばらく様子見(放置)
される方も一定数存在しています。

現状、不動産の相続登記は義務もなく罰則もないため、こうした放置される空き家は
登記されないことも珍しくありません。時間が経つと相続関係が複雑になり、相続人
も増えその存在すら分からなくなり、相続自体の処理も困難になっていきます。
このような問題解決に向け、2024年に相続登記が義務化されます。
相続人は、取得を知ってから3年以内に相続登記する必要があり、正当な理由なく怠れ
ば10万円以下の過料が科される可能性があります。

土地一筆ごとで見た場合、全国の2割超は所有者不明土地で、その約6割が相続登記が
されていないことが起因しているようです。
相続登記義務化後の動向は、注目し見守っていきたいと思います。

平成30年住宅・土地統計調査の結果から(空き家)

平成31年4月26日に、平成30年住宅・土地統計調査の結果が
発表されました。

これは、住宅の保有状況や住環境などの実態を調査しているもので、
5年に一度の頻度で実施されているものです。

ニュースでは、「空き家率」が話題になり、5年前の調査では空き家率13.5%、
今回の結果は空き家率13.6%と微増になっています。
(個人の実感としては、もっと増加しているのかと思っていました。)
5年前の調査結果発表時には、空き家率の数字が大きな話題となり、
世間の空き家に対する注目度も上がったと感じています。

この調査の中で、「空き家」の内訳が発表されていましたので、
そちらの数字に注目してみてみました。
注目した内訳は「住宅の建て方別空き家数」です。
なぜこの統計調査に注目したかというと、相続した空き家を売却した際に利用できる
「空き家3,000万円特別控除」の効果があったのかが見て取れると考えたからです。

「住宅の建て方別空き家数」の分類は下記のとおりです。
○一戸建  ○長屋建  ○共同住宅  ○その他

この中で、「空き家3,000万円特別控除」の対象になるのは、「一戸建」です。
この中には、特別控除の対象外の新耐震基準の建物も含まれていますが、
平成20年→平成25年の増加率と、平成25年→平成30年の増加率を比較することで、
正確ではありませんが、効果があったかを伺うことはできると思います。

調査結果としては下記のとおりです。
平成20年 250万戸 → 平成25年 299万戸 (増加率 19.8%)
平成25年 299万戸 → 平成30年 317万戸 (増加率 5.8%)
 
長屋建や共同住宅の増加率は大きく変化がない中、一戸建の増加率は
大幅に減少しており、一定の効果があったのではないかと推測しています。

次回は別の視点でこの調査結果を掘り下げてみたいと思います。

参照:平成30年住宅・土地統計調査結果(総務省統計局)
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/

都市計画道路予定地には空き家が多い?

日々業務を行う中で、最近“都市計画道路予定地には空き家が多いのでは?”と
考えるようになってきました。

①都市計画道路予定地内に空き家を所有している人は、いずれ収用になると考え、
 活用や売却をせず、未利用のまま継続所有する。
 未利用のまま継続所有する場合、建物解体費や固定資産税等の負担を軽減するため、
 空き家が建った状態での継続所有を選択することが多い。
 ※所有地及び都市計画道路予定地の面積も判断に影響。
 ※都心部よりも地方が上記の傾向が顕著。

②年十年も前に決定したにもかかわらず、現時点で事業時期が決定していない
 都市計画道路が多いため、その予定地内には長期間に亘る空き家が多い。
 そのため、近隣の人は、連絡先を知らない。
 相続等により、所有者が遠方に居住している事態が生じ、長期間放置された
 空き家が増加する。

③空き家が危険な状態になっても、所有者と連絡がとれない又は所有者が解体に
 応じない(解体費を負担しない)ため、危険な状態を改善できない。

④空き家の解消が期待できる唯一の方法は、都市計画道路の事業決定であるが、
 一向に進まない。
 ※スマートシティが叫ばれる中、有名無実化している都市計画道路は少なくない。

①の時点では、多くの場所で、活用又は売却が可能であったと推測され、
都市計画道路予定地以外では、何れかの対策が実施されたものと思われます。
※現在、都市計画道路予定地以外でも、空き家は問題となっていますので、
 都市計画道路予定地ではより深刻な問題になっていると考えております。

私の考えが正しければ、地方自治体は自らの首を絞めていることになります。

空き家対策はムチよりアメか

1ヶ月ほど前、本ブログの中で、地域に悪い影響を及ぼす空家の撤去について、40%余りの人が
「行政の関与で」と考えていることが、内閣府の世論調査で分かった旨の書き込みをしました。
その調査結果の影響の有無は不明ですが、今年度に引き続き、来年度も空き家対策関連の税制改正が
ありそうです。

今年度の改正は、“空家等対策の推進に関する特別措置法”に基づく必要な措置の勧告の対象となった
特定空家等に係る土地について、住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の
対象から除外する措置を講じるという『ムチ』の改正でした。

一方、先日公表された“平成28年度税制改正大綱”によると、来年度は『アメ』の改正となりそうです。
改正の内容は、下記の通りです。

「空き家に係る譲渡所得の特別控除の創設」
相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住用家屋を相続した相続人が、
その家屋(耐震性のない場合は耐震リフォーム後のものに限り、その敷地を含む。)又は除却後の土地を
譲渡した場合には、その家屋又は除却後の土地の譲渡益から3,000万円を控除することができる。
<要件>
 ①昭和56年5月31日以前に建築された家屋(マンション等の区分所有建築物を除く)であること
 ②相続発生時に、被相続人以外に居住者が居なかったこと
 ③譲渡した家屋又は土地は、相続時から譲渡時まで、事業、貸付、居住の用に供されていたことがないこと
 ④平成28年4月1日から平成31年3月31日までの間の譲渡であること
 ⑤譲渡価額が1億円を超えないこと

空き家を売却する流れは、耐震リフォーム後又は除却(解体)後の何れかとなっていますが、対象となる
建物の築年を考えると、除却後の売却が主流となりそうです。

近隣の目が気になり、空き家の売却をなかなか決断出来ないという話を耳にすることがありますが、
その様な方にとって、今回の改正は、売却の大義名分になり得るかもしれません。

個人的な意見ですが、今回の改正は、機転が効いた良い改正であり、不動産を取り扱うものにとっては、
間違いなく改正の目玉であると確信しています。


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