不動産コンサルタントのつぶやき

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空き家

空き家対策はムチよりアメか

1ヶ月ほど前、本ブログの中で、地域に悪い影響を及ぼす空家の撤去について、40%余りの人が
「行政の関与で」と考えていることが、内閣府の世論調査で分かった旨の書き込みをしました。
その調査結果の影響の有無は不明ですが、今年度に引き続き、来年度も空き家対策関連の税制改正が
ありそうです。

今年度の改正は、“空家等対策の推進に関する特別措置法”に基づく必要な措置の勧告の対象となった
特定空家等に係る土地について、住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の
対象から除外する措置を講じるという『ムチ』の改正でした。

一方、先日公表された“平成28年度税制改正大綱”によると、来年度は『アメ』の改正となりそうです。
改正の内容は、下記の通りです。

「空き家に係る譲渡所得の特別控除の創設」
相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住用家屋を相続した相続人が、
その家屋(耐震性のない場合は耐震リフォーム後のものに限り、その敷地を含む。)又は除却後の土地を
譲渡した場合には、その家屋又は除却後の土地の譲渡益から3,000万円を控除することができる。
<要件>
 ①昭和56年5月31日以前に建築された家屋(マンション等の区分所有建築物を除く)であること
 ②相続発生時に、被相続人以外に居住者が居なかったこと
 ③譲渡した家屋又は土地は、相続時から譲渡時まで、事業、貸付、居住の用に供されていたことがないこと
 ④平成28年4月1日から平成31年3月31日までの間の譲渡であること
 ⑤譲渡価額が1億円を超えないこと

空き家を売却する流れは、耐震リフォーム後又は除却(解体)後の何れかとなっていますが、対象となる
建物の築年を考えると、除却後の売却が主流となりそうです。

近隣の目が気になり、空き家の売却をなかなか決断出来ないという話を耳にすることがありますが、
その様な方にとって、今回の改正は、売却の大義名分になり得るかもしれません。

個人的な意見ですが、今回の改正は、機転が効いた良い改正であり、不動産を取り扱うものにとっては、
間違いなく改正の目玉であると確信しています。


空き家は誰が撤去すべきか?

地域に悪い影響を及ぼす空き家の撤去について、50%余りの人が「持ち主の責任で」、
40%余りが「行政の関与で」と考えていることが、住宅行政に関する内閣府の世論調査で分かりました。

最初は、この調査結果について、“行政の関与で”の割合の高さに驚きましたが、現在の空き家の状況を
考慮したうえで、冷静に考えてみると、納得できる結果であると思えるようになってきました。

ここからは、私の推測ですが、空き家の撤去は持ち主の責任で行うべきと、ほとんどの人が考えていると
思います。
しかし、ほとんどの人が上記の様に考えていても、立場が代わって、自身がその当事者(空き家の持ち主)に
なると、色々な事情があり、なかなか撤去出来ないのだと考えています。

では、どうしたら良いのでしょうか?

空き家の状態が一定期間(6ヶ月や1年等)経過したら、特別な事情(数年後から再び利用する等)がない限り、
何らかの決断(自己利用・賃貸・売却等)を下すべきだと考えています。
言葉で言うほど、容易いことではないことは十分承知しています。
しかし、空き家の期間が長くなると、建物の老朽化が激しくなるため、より決断が難しくなります。

“空家等対策の推進に関する特別措置法”の施行により、行政の権限は強くなりましたが限界があります。
また、法施行の真の狙いは、空き家の撤去に関する行政の積極的な関与ではなく、空き家の自主的な撤去を
促すことであると思います。

私は、空き家を所有していませんが、実家は“空き家予備軍”と言えるかもしれません。
もし、空き家を所有することになったら、一定期間内に何らかの決断を下したいと考えております。

現時点では、空き家の加害者より被害者が多いですが、このまま空き家が増え続けると、空き家の加害者で
あり、被害者である人が増加する恐れがあります。
そのような人が増える前に、何とかしなければなりません。


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