不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

消費税

10月1日以降の不動産価格

皆さんご承知のとおり、10月1日から消費税率が10%へ引き上げされます。
不動産価格は“不動産の表示に関する公正競争規約”により、税込表示と決められています。
通常、モノの価格は、税抜と税込の2種類が表示してある場合が多いですが、
不動産売買では、宅建業者(不動産業者)以外が売主の場合、税抜価格を明確に決めず、
税込価格のみを決定するケースが多いといえます。
税込のみの価格決定について、違和感を感じる方が多いと思いますが、
個人的には、下記事項等が影響しているような気がしています。

①売出価格から価格交渉があるケースが多い。
②消費税が課税されるのは、建物価格のみである(土地価格には課税されない)。
③土地価格と建物価格を好き勝手に決めることができない。
 ※土地価格と建物価格の割合によって、税負担等が変わってくるため、 租税回避と判断される恐れがあり、 
   何らかの基準等に基づいてそれぞれの価格を決めるケースが殆どです。
      中古物件については、特に気を付ける必要があり、固定資産税評価額の按分によって、
      それぞれの価格を決めるケースが多いといえます。

つまり、事前に税抜価格を決めておいても、価格交渉により値下げすると、再度、
それぞれの価格を決め直す必要が生じてくるのです。
また、価格交渉は税込価格で行うため、事前に税抜価格を決めておくと、端数調整等、
かえってそれぞれの価格決定に手間がかかるケースも生じるような気がします。

前置きが長くなってしまいましたが、売出中の段階で、建物価格を決めていない物件が多いため、
消費税率増税分をどのように価格転嫁するのか悩ましいところであり、10月1日以降も価格据置の
物件が結構あるような気がしています。
10月1日以降、消費税課税対象となる不動産価格に注目してみたいと思います。

消費税率引上げに伴う住宅取得等の支援策

ご承知のとおり、今年10月1日から消費税率引上げ(8%→10%)が予定されております。
消費税率引上げ再延長→衆参同時選挙(7月)となる可能性はゼロではありませんが、
現時点で表立って議論されていませんので、消費税率引上げ後の住宅取得等の支援策について、
説明させていただきます。
なお、予算案、関連法案が今後の国会で成立することが前提となります。

1.住宅ローン減税
  <概要>  
    現行の住宅ローン減税について控除期間を3年間延長(10年→13年)
   適用年の11~13年目までの各年の控除額は以下のいずれか小さい額
   ・住宅借入金等の年末残高(4,000万円 ※ を限度)×1%
   ・建物購入価格(4,000万円 ※ を限度)×2%÷3年
    (建物購入価格の消費税2%分が最大となります)
    ※長期優良住宅や低炭素住宅の場合はいずれの上限も5,000万円となります 
  <対象者>
   消費税率10%が適用される新築・中古住宅の取得、リフォームで2020年12月末までに
   入居した方

2.すまい給付金
   <概要>     
   所得制限の緩和による対象者の拡充(収入額の目安で現行の510万円以下が775万円以下に)
   給付額が現行の最大30万円から最大50万円に引上げ(収入に応じて10万円~40万円の増額)
    <対象者>
     消費税率10%が適用される新築・中古住宅の取得で2021年12月末までに引渡しを受け、
    入居した方(住宅ローン・現金取得者のいずれの場合も対象)

3.次世代住宅ポイント制度
    <概要>
     一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能を満たす住宅や家事負担の軽減に資する住宅の
   新築やリフォームに対し、商品と交換可能なポイントを付与
   (若者・子育て世帯がリフォームを行う場合にポイントの特例あり)
  <対象者>
     消費税率10%が適用される新築住宅の取得、リフォームで2020年3月末までに契約の
     締結等をした方

4.住宅取得等のための資金に係る贈与税非課税措置
    <概要>
     父母や祖父母等の直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けて住宅を取得した場合、
     贈与税が最大3,000万円まで非課税(現行最大1,200万円)
  <対象者>   
     消費税率10%が適用される新築・中古住宅の取得、リフォームで2019年4月から2020年3月末
   までに契約を締結したした方
   (2019年3月末までに契約された場合、消費税率は8%が適用されます)

上記の住宅支援策を見る限り、消費税率引上げ後に住宅取得等を行った方がメリットを享受できる
方は結構いるような気がします。
駆け込み需要は、あまり期待できないかもしれません。

消費増税再延期の影響

昨日、安倍首相は、消費税率10%への引上げを2019年10月まで2年半先延ばしする方針を正式に
表明しました。

今年の1月、ハウスメーカーA社主催のセミナーに参加した際、講師の先生は、その時点で消費増税再延期
を断言されました。
その1ヶ月ほど前となる昨年末には、消費税率10%への引上げを前提とした軽減税率制度の導入について、
激しく議論されていましたので、セミナー参加者からは驚きの声があがっていました。
講師の発言は、主催者であるハウスメーカーA社関係者にとっても予想外であったらしく、その後の挨拶にて、
消費増税を控えた駆け込み需要を見込んでおり、再延期との指摘に戸惑っている旨の発言がありました。
個人的には、消費増税によりマイナス影響を受けると思われるハウスメーカーA社が、再延期をあまり
歓迎していないと受け取れるような発言をされたことも予想外でありました。

先日、ハウスメーカーB社の方とご一緒する機会があり、消費増税再延期となった場合、期待していた
駆け込み需要が見込めなくなるか?について聞いてみました。
その方曰く、賃貸住宅需要がマイホーム需要を大きく上回っている状況であるが、それは、消費増税の
駆け込み需要というより相続増税への対策であり、影響の有無自体をあまり気にしていないとのことでした。

そこで、私なりに考えてみました。
消費増税再延期により、日本国債が格下げとなる可能性があります。
日本国債が格下げとなれば、景気動向に関係なく、日本国債の金利が上がるかもしれません。
日本国債の金利上昇は、日本の財政収支を悪化させ、更なる日本国債の金利上昇を招く恐れがあります。
また、日本国債の金利が上昇すると、金融機関の融資金利も上昇することになると思います。
賃貸住宅市場が飽和し、高い投資利回りが期待できない中で、賃貸住宅需要が旺盛であるもう一つの要因は、
低金利であると考えられるため、消費増税再延期が融資金利の上昇を招くような事態が起これば、
理由こそ違いますが、再延期は、ハウスメーカーにとってあまり好ましくなかったということになるのかも
しれません。

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

  • ライブドアブログ