不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

相続

土地相続の登記、義務化の方向

2月11日の日本経済新聞朝刊1面に「土地登記 相続3年以内に」という
記事が掲載されていました。
所有者が不明となっている土地が全体の2割程度に達しており、さまざまな
問題が発生していることから、土地相続について法律で登記を義務化する方向で
政府は改正案を閣議決定する予定です。
今国会で成立すれば、2023年度に施行されるようです。

そもそも所有者不明の土地とは?
以下のような土地を言います。

・不動産登記簿や固定資産課税台帳などが更新されておらず、
 所有者がすぐに分からない土地
・台帳間で情報が異なり、すぐに所有者の特定ができない土地
・所有者が特定できても、転居先が追えないなど、すぐに連絡が付かない土地
・登記名義人が既に死亡しており、数代にわたって相続登記がされていないなど、
 相続人=所有者が多数となっている土地
・所有者が分かる台帳に、すべての共有者が記載されていない共有地

所有者不明となってしまうのは、相続時に登記をしないことが大きな原因です。
先日も、父が友人と共有で所有していた土地を相続したが、父の友人の相続人が
分からず、そのままになってしまっているというご相談を受けました。
現状、相続が発生しても登記は義務ではないため、手続きが面倒で放置して
しまっているケースはよくお見受けします。

所有者不明の土地は、

・相続登記がされておらず相続人が多数となり所在不明な人がいるため、
 売却や貸し借りができない
・所有者不明で樹木や雑草が生い茂り管理不全となっている
・所有者が不明なため不法投棄を招き、景観が悪くなる
 差し迫った危険がないため、行政による代理執行(処分)もできない
・所有者不明のため、公共事業や民間都市開発が進まないケースもある

など、不動産の取引や利用に大きな支障が生じるだけでなく、近隣住民が
迷惑を被る場合もあります。

登記が義務化されることによって、新たな所有者不明土地の発生を抑え、
土地の有効活用が進むと良いのですが・・・
今回の改正では、まずは法施行後に新たに相続する人が対象となるようですが、
相続時に登記をしていない土地などある方は、この機会にいまいちど見直しを
してみてはいかがでしょうか?

家督相続

不動産の登記簿には、登記の原因が記載されています。
分かりやすく言い換えると、「登記の理由と目的」が記載されています。
身近なもので言えば、「何月何日に、AさんからBさんに相続された」場合、
登記の目的は「所有権移転」、登記の原因は「相続」という形になります。

一般的な登記の原因は「売買」や「相続」が多くありますが、
古くは「家督相続」もありました。
現在ではこの「家督相続」はなじみがなく、古い制度のためこの原因による
登記はないと思う方も多いと思いますが、全くなくなっているわけではありません。

理由は、
①相続登記は義務ではないこと。
②家督相続制度は昭和22年の民放改正で廃止されたが、
  廃止以前については遡って適用することができる。
③①の理由により、②の制度廃止以前に相続されていた不動産の登記が
  なされておらず、相続登記をする場合、家督相続を原因とした登記が
  可能であること。
となります。

家督相続と法定相続の大きな違いは、
家督相続 ・・・ 戸籍上の「戸主」の死亡,隠居などによって開始し,通常長男1人が戸主の地位および
          全遺産を相続すること。
法定相続 ・・・ 年齢や性別を問わず、長男以外の配偶者やほかの子供にも均等に相続すること。
となります。
(私は次男ですので、家督相続制度の下では相続できないことになります。)

過去に遡って相続登記を行う場合に、家督相続制度を利用することによって、遺産分割協議等を経ず
長男に相続登記を行うことが可能になるため、現在でもこの「家督相続」を原因とした相続登記が
行われることになります。

今の法定相続制度は、平等に相続することを前提としていますが、それでも遺産を巡る争いは
無くなりません。家督相続制度より平等だと感じますが、なおさら相続に関しては親族間で
良く話し合わないと、トラブルになりかねないと感じます。

家督相続は難しい

最近、日本の歴史を主題とした楽曲を歌う“レキシ”というアーティストの
「KATOKU」という曲を聴きました(CMソングに起用されているようです)。
曲の内容より「KATOKU(家督)」という響きから、“家督相続は難しい”と実感した
下記の体験を思い出しました。
※家督相続・・・一人の相続人が戸主の身分・財産を相続すること

仲の良い三人兄弟で長男が家督相続
長男の家族は妻と子(男)1人
長男が亡くなり妻と子が財産を相続
その後、妻(母)が亡くなり子が財産を相続
次男と三男の家族は、我が子のように長男の子の世話をするが、
不幸にも長男の子は事故により若くして亡くなる
長男の子の相続について専門家に相談したところ
誰も法定相続人でなかったことが判明
家庭裁判所から選任された相続財産管理人が遺産の整理を行う
(不動産等を売却し遺産を換金)
特別縁故者(次男と三男)に遺産の一部を分与し、残余財産を国庫納付
(特別縁故者への財産分与を行うには家庭裁判所の審判が必要です)

上記のケースで、長男の子に離婚した妻と子がいた場合、
離婚した妻と一緒に暮らす子が唯一の法定相続人となり、
遺言書がない限り、次男と三男は、長男の子の遺産を相続することはできません。

少子化かつ未婚率及び離婚率が増加している現在において、家督相続は予期せぬ結末を
迎える可能性がありますので、注意が必要です。

最高裁が初判断 相続税対策の養子有効

 相続税の節税目的の養子縁組が有効かどうかが争われた訴訟の上告審判決で、
最高裁第3小法廷は、「節税目的の養子縁組でも直ちに無効とはいえない」と
の判断を示しました。
 今回の訴訟のケースでは、亡くなった男性の法定相続人は、長男と娘2人の
3人でしたが、長男の息子である孫と養子縁組したため、法定相続人は4人に
増えました。
 養子縁組(法定相続人増加)による節税効果の一例は下記の通りです。
 財産総額3億円 配偶者なし 子供3人の場合 相続税額(総額)約5,460万円
 
財産総額3億円 配偶者なし 子供4人の場合 相続税額(総額)約4,580万円
 
財産総額が多いほど、節税額は多くなります。
 
節税そのものについては、訴訟を起こした娘2人も恩恵を享受できるため、
悪いことではありませんので、問題の本質は、遺産分割にあると思います。
孫を養子縁組したことにより、長男及び娘2人の法定相続分は3分の1から
4分の1に減少します。しかし、男性が亡くなった時点で、養子縁組した孫は
幼児であり、娘2人には、長男の法定相続分が2分の1に増加したとの解釈に
なるのでしょう。
 一般的に、遺産分割は、相続人間の話し合いで決めるものであり、法定相続分
通りに分割する必要はありません。しかし、法的に有効な遺言書が存在する場合、
その内容次第で、法定相続分が大きな意味を持ってきます。
 
遺言書に記載されるような内容ではありませんが、仮に、遺産分割について、
長男は8分の6、娘は各8分の1とする旨の記載があったとします。その内容に、
娘2人が納得できなかったとしても、娘2人の遺留分(法定相続分の2分の1)を
犯していないため、その遺言書が法的に有効であれば、娘2人は従うしかありません。
しかし、養子縁組が無効であると認められれば、娘2人の遺留分は6分の1となるため、
遺留分減殺請求を行うことが可能となります。
 
今回の最高裁の判断により、当事者に養子縁組の意思があれば、それが節税目的で
あったとしても有効と判断される可能性が高くなったといえ、今後、節税目的の
養子縁組が増加するかもしれません。
 養子縁組は、相続税の節税対策になる一方で、争族の火種となる恐れがありますので、
養子縁組を行う場合は、公正証書等、法的に有効な遺言書を作成頂く必要があるかもしれません。

 

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