不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

不動産投資

不動産投資は利ざやを稼ぐ時代?

定番の不動産投資は、購入代金の全部又は過半を金融機関で借入、
その賃料収入にて借入金の元利金を返済し、完済又は借入金がある程度減少した後に、
物件を売却する流れであると考えております。
つまり、所有期間中のキャッシュフローより資産形成が投資の主目的となります。

しかし、上記の不動産投資を行うには、一定水準以上の利回り(年間賃料収入÷購入価格)
が必要となりますが、その条件をクリアする物件は、極めて少ない状況であります。

そのような中、不動産ファンドに代表される利ざやを稼ぐ不動産投資が台頭しています。
利ざやを稼ぐ不動産投資のポイントは借入金です。
通常の借入金は、返済期間を20~30年で設定し、その期間で完済する条件です。
不動産ファンドが利用している借入金は、返済期間が短い(通常7~10年)一方で
期間中の元金返済は少額とし、返済期限に多額の残債を一括返済する条件となっており、
通常は、物件を売却し、借入金を完済します。
つまり、投資の主目的は、期間中の利ざや(物件利回りと借入金利の差)となります。
近年は、物件価格が高騰(利回り低下)し続けており、売却時にキャピタルゲインも
得ているケースが多いようです。
なお、中でも海外の不動産ファンドの台頭が顕著であり、少なくても都心等の需要が旺盛な
不動産については、利ざやを稼ぐ不動産投資でないと購入することが困難になるでしょう。

ちなみに、融資取引における利ざやは、前記のような金利差(預金等の借入と融資等の貸出の金利差)
により生じる利益ですが、証券取引における利ざやは、売値と買値の差額によって生じる利益です。

海外不動産投資

来週公表が予想される令和2年度税制改正大綱に海外不動産投資による節税対策を
出来なくする内容が盛り込まれるのでは?と噂されています。
ニッチな内容ではありますが、不動産業界では、熱い話題となっています。

海外不動産投資による節税対策の概要は下記の通りです。

○主にアメリカ(ロサンゼルス・ダラス・ハワイ 等)の中古木造住宅(築後30年以上の場合が多い)
 を購入し賃貸。

○アメリカの中古木造住宅の価格は、新築後の経過年数にあまり関係なく、建物価格が土地価格を上回り、
 建物価格が60~80%を占めるケースが多い。
 つまり、古くなっても建替えではなく、リノベーション等を行い、建物価値を維持しているということです。
 例えば、1億円の中古木造住宅を購入した場合、その建物価格は6,000~8,000万円となります。

○日本では、木造住宅の法定耐用年数は22年と定められています。
 法定耐用年数の全部を経過した木造住宅を購入した場合、簡便法に基づくとその耐用年数は4年となります。
 (計算式)22年×20÷100=4.4≒4年(1年に満たない端数が生じた場合は切り捨てとなります)
 建物価格が6,000万円の場合、1年間(計4年)の減価償却費(経費と見なします)は1,500万円となり、
 8,000万円の場合は2,000万円となります。 

○地域によって多少の違いはありますが、アメリカの中古木造住宅を賃貸した場合、
 諸経費控除後の年間利回りは3%前後だといえますので、その価格が1億円の場合、
 減価償却費計上前の損益は300万円程度となります。

○損益の300万円から減価償却費を控除すると海外不動産投資の損益は△1,200~1,700万円となります。

○他に不動産所得がない場合、△1,200~1,700万円の損益は、他の所得と損益通算することができ、
 これが節税のポイントとなります。
 例えば、3,500万円の所得がある方の場合、損益通算により所得税・住民税・復興税の合計で
 762.6万円の税負担が減少します。
 その後、所得・税率ともに変化がなかったと仮定すると、4年間合計で3,050.4万円の税負担が
 減少します。

○節税の仕上げは、海外不動産の売却となります。
 例えば、6年間所有後、購入価格と同じ1億円で売却した場合、減価償却済の6,000万円が
 譲渡所得となり(購入・売却時の諸経等費は考慮していません)、それに対する税額は、
 約1,218.9万円となります。
 この場合、海外不動産投資により1,831.5万円の税負担が減少したことになります。
 (海外不動産の運用損益は考慮しておりません)

冒頭の噂がある一方で、令和2年度の税制改正大綱では見送られるのでは?という意見もあります。
今回改正が見送られたとしても、何れ改正が実施される可能性が高いといえ、節税目的の海外不動産投資は、
下火になっていくものと思われます。

しかし、節税対策をあれこれ考える人がいますので、しばらくすると、新しい節税対策としての不動産投資が
生まれるような気がします。

ニューヨークでの気づき

7月19日付のブログでお伝えした通り、研修旅行でニューヨークに行ってきました。
旅行中いくつかの気づきがあり、その中の1つの気づきです。

ニューヨークに30年以上在住の日本人と方とお話ししたとき、不動産投資について
意見を求められました。
ニューヨークでは、不動産投資のセミナーが数多く開催されているらしく、
その内容は、以前、日本で開催されていた“サラリーマン大家さん”を目指す方が
参加するセミナーと似ているような印象を受けました。
ただし、大家さんになって不動産賃貸を行うのはなく、コンドミニアム(分譲マンション)を
購入、リフォームやリノベーションを実施した後、転売するものでした。
その方の話では、10でコンドミニアムを購入、10でリフォームやリノベーションを実施、
そして30で転売するのが理想的なパターンとのことでした。
10年程前、リーマン・ショックの引き金となったサブプライムローン問題が起こった国で、
私には、かなりリスクが高いと思われる投資を不動産の素人が検討していることに、
大変驚きました(少し呆れました)。
しかし、その方が不動産投資を検討するようになった経緯等を聞き、考えが変わりました。

真面目に働いても、多くの人は、ニューヨークで豊かな生活は送れない。

知人等の中に、不動産投資で利益を得て、少し豊かな生活を送っている人がいる。

融資形式は、ノンリコースローン(非遡及型融資)であり、仮に不動産投資が
失敗したとしても、投資不動産を失う以外の損失が少ない。

金利は高いが、ノンリコースローンのため、貸し手は運命共同体のようなものであり、
物件の善し悪しを判断してくれる(融資承諾となれば優良物件と判断できる)。

通常、日本における不動産投資向け融資はリコースローンであり、不動産投資に
失敗すると、投資不動産を失うだけでなく、融資を受けた方のその他の財産、
場合によっては連帯保証人の方も財産を失うことになります。
つまり、不動産投資の失敗により、多くの方の人生が大きく狂ってしまい、
その損失が大きい場合、自ら死を選択される人があらわれることもあります。

日本でも不動産投資向け融資の主流がノンリコースローンになれば、
金融機関の融資審査に秩序が生まれ、不動産投資がより身近で、健全な資産運用の
一つになるような気がします。

DM

1ヶ月程前に、あるカード会社からDMが届きました。
そのDMは、色(黒基調)や紙質が高級感を醸し出しており、表面には、“安定的な運用で、
未来の安心を手に入れる”と記載されていました。
「金融商品の案内かな?」と思いましたが、封筒の中には、単身者向け分譲マンションの
パンフレットが入っており、その内容に驚きました。

記載の購入シミュレーションによると、頭金100千円(別途、諸経費負担が必要になると
思います)、残りローン(金利2%台前半/35年返済)で購入した場合、毎月の収支は
16千円程のマイナスになります。
毎月の収支に、固定資産税及び都市計画税の支払いを考慮すると、年間300千円程度の
マイナスになるものと推測されます。

上記を踏まえ、同じくパンフレット記載の“4大メリット”を読んでみたところ、
矛盾を感じる内容が列記されていました。

〇年金問題の解決策
 →年金問題の解決策となるには、収支がプラスとなる36年目からになります。
  仮に収入が減らなかったとしても、35年間で10,000千円超のマイナスが生じます。
  もっと良い解決策があるような気がします。

〇税務上の節税効果
 →節税効果がある=(イコール)不動産所得がマイナスということです。

〇安定した資産運用
 →“安定した収入が得られる投資でなければ本末転倒”と記載してありますが、
  「安定した収益が得られる投資でなければ本末転倒」だと思います。
  また、“マンション経営ならローリスク・ミドルリターン”と記載してありますが、
  現在の市況の下で行う不動産投資は、結果としてハイリスク・ミドルリターン又は
  ミドルリスク・ローリターンになる可能性が少なくないと考えております。
  ※将来、物件価格が下落する可能性があると考えています。  

〇効率の良い生命保険機能
 →団体信用生命保険への加入を前提とし、“満期を迎え掛金が上がる様な心配もありません”
  と記載してありますが、保険の満期を返済の最終期日と解釈すると、掛金が上がる心配が
  ないのではなく、生命保険機能が終了するということになります。

上記の矛盾は、自己資金で購入した場合とローンで購入したの場合のメリットが整理されず
記載されているために、感じるものであると考えております。
自己資金で購入した場合、年金問題の解決策と安定した資産運用については、否定できません。
※肯定についてはその方の考え方次第で決まると思います。
一方、ローンで購入した場合、税務上の節税効果と効率の良い生命保険機能については、
否定できません。

なお、パンフレットには、資料請求の方に500ポイント、個別面談で5000ポイントと
記載してありました。
某銀行の不動産投資に対する融資審査が大きな問題となっている中で、今回のDM送付は、
カード会社として正しい判断だったのでしょうか?
※DM送付に伴うカード会社の収入が分かりませんので、判断できませんが・・・

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