不動産コンサルタントのつぶやき

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業界

東日本大震災より10年、不動産取引の現場での変化

3月11日で、東日本大震災より10年を迎えます。

東日本大震災では、未曽有の大津波が街や原発を襲うなど甚大な被害をもたらし、その後の人々の生活に大きな影響を及ぼしましたが、東日本大震災からの10年で、不動産取引業界ではどのような変化が起こったのか思い返してみました。

・津波災害警戒区域が各地で指定され、津波災害を受ける可能性や想定される津波の高さなどを知ることができるようになった。
・(東日本大震災だけの影響ではありませんが)自然災害について被災が想定される地域や被害想定を記したハザードマップの作成が各地で進み、以前に比べて、自然災害が起こった際の影響を予見できるエリアが拡充した。
・ハザードマップの情報を、不動産を購入する際の説明書類である「重要事項説明書」に記載して、買主へ説明することが義務化された。
・脱原発が掲げられ、太陽光や風力などの再生エネルギーが注目されるようになり、特に太陽光発電を設置する住宅などが増えたため、太陽光発電が設置されている不動産の取引が増え始めた。など

上記のとおりいろいろと変化してきなと感じるほか、この10年で自然災害の発生リスクが不動産価格に大きく影響を与えるようになったと感じています。

さて、次の10年で、現在と比べて不動産価格に大きく影響を及ぼす要因に変化はあるのでしょうか。人口減少の時代と言われていますので、鉄道の駅など生活施設との距離が今より大きく影響するようになるのかなと個人的には思っています。

不動産業界の働き方改革につながるか?

12月14日(土)の中日新聞朝刊に、‟スマホで物件撮影 一発で情報書に”との記事が掲載されました。

記事は、地域情報ポータルサイト運営のはまぞう(浜松市)が、スマートフォンで撮影した不動産物件の画像から、最寄りの施設や災害リスクなどの情報をまとめた物件概要書を作成できるシステム「写真一発XYZ」を開発し、提供を始めたという内容です。

この記事を読んで、不動産業界で働く私は、素晴らしいシステムが開発されたなと率直に思いました。

と言いますのも、不動産を販売するためには、自治体へ用途地域や道路幅員、ライフラインの埋設状況などを調べて、販売用の資料に反映させることが必要になります。

現在では、ウェブサイトで調べられる項目も多くなり、役所へ通って、一つ一つ調べていた時代に比べ、移動時間など、調査時間は短くなりましたが、それでも、不動産を販売するために調べる項目は多く、一つのウェブサイトでは調べられずに、いくつかのウェブサイトで調査をすることが必要です。

「写真一発XYZ」は、撮影した写真に含まれる位置情報に着目し、自治体や国土地理院が公開しているオープンデータを蓄積してデータベース化し、画像の位置情報を基に周辺の関係データをDBから取り込めるようにしているとのこと。

ということは、調査対象不動産の現場で写真を撮れば、一発で調査が完了するということになります。そうなれば、1不動産につき、1~2時間かけていた調査時間を短縮させることができます。1年間に、調査する物件が50件とすれば、年間50~100時間の労働時間短縮です。

このように、いくつかの自治体等のウェブサイトの情報を、一瞬で取り込めるシステムは、労働時間の短縮につながり、不動産業界で働いている人たちにとって、働き方改革につながることは間違いないと思います。
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