不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

インボイス

インボイス制度の現状 ~某市役所での出来事~

下記は、愛知県内の某市役所での出来事です。

先日、某市役所で公課証明書、上水道配管図及び道路台帳の写しを取得しました。
取得した部署が異なるため、その領収書の書式は様々でした。
領収書の内容を確認したところ、上水道配管図の写しの領収書には非課税と記載してありましたが、
道路台帳の写しには非課税と記載されていませんでした。
ちなみに、公課証明書の領収書にも非課税の記載はありませんでしたが、非課税であることは、
周知されているため、問題視はしませんでした。
二つの写しは、何れもパソコンの画面(データ)を印刷したものでありましたが、
明細は「配管図複写手数料」と「道路台帳付属地図 コピー代」でした。
通常、コピー代の場合、消費税が課税されるため、窓口で課税対象の有無を確認したところ、
非課税との回答があり、なぜ非課税である旨を記載しないのか?と問いただしたところ、
そのような質問を受けたことがないと回答がありました。
明確な回答が得られなかったため、当該職員の目の前で、私は領収書に手書きで非課税と記載し、
その場を立ち去りました。
すると翌日、当該職員から電話があり、その後、法務担当に確認したところ、課税対象との回答が
あったため、登録番号・消費税率を記載した領収書を郵送するとの連絡がありました。
※私は前記に加え、消費税額の記載を依頼しました。
※配管図複写手数料は本当に非課税で間違いないのかと思いました。

某市役所の対応は異例かもしれませんが、本来であれば、インボイス制度の見本となり、
先導役となるべき地方自治体が完全に対応できていない状況では、民間事業者に完全な対応を
求めるのは酷であると実感しました。

インボイス制度始まる

10月1日からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まりました。
インボイス制度により大きく変わった点は、商取引が行われた際、売主が買主に対して、
インボイス(適格請求書)を発行しない場合、買主は消費税の仕入税額控除を受けることが
出来なくなった点です。なお、インボイスは勝手に発行することが出来ず、事前にインボイス
発行事業者登録を行う必要があります。
※経過措置により、インボイスの発行がない場合でも、2026年9月30日までは80%、
 2029年9月30日までは50%の仕入税額控除が認められています。

不動産取引で一番影響を受けるのは、事業用建物の賃貸借であり、その次は、駐車場
(コインパークを含む)の賃貸借であると考えております。
事業用建物の賃貸借については、貸主がインボイス事業者登録を行っていない場合、
数は少ないですが、借主から消費税相当額の支払拒否を通告された事例を確認しております。
また、弁護士を介して交渉を行った事例も確認しております。数年前からの賃貸借の場合、
インボイス制度導入を契約書に盛り込んでいないため、双方の主張が異なってしまうのです。
一方の駐車場の賃貸借については、今のところ、消費税相当額の支払拒否を通告された事例は
弊社では確認しておりません。駐車場は、事業用建物の賃貸借より賃料が低額、且つ貸主が
インボイス事業者登録を行っていない割合が圧倒的に高いため、現時点では、借主が仕入税額控除
できない20%分を負担する意向であると考えております。個人的な勝手な推測ですが、当面は、
新たな賃貸借の貸主がインボイス事業者登録を行っていない場合、賃料に消費税相当額を付加せず、
その一方で、賃料には8%の消費税相当額を含むという処理を行い、20%分の負担を補填して
いくような気がします(コインパーク運営業者の場合)。

以上のとおり、不動産取引において、インボイス制度は緩やかに始まりましたが、今後、
時間の経過とともに、様々な場面で、その影響を痛感することになると思います。
アーカイブ
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

  • ライブドアブログ