不動産コンサルタントのつぶやき

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日常

R6都道府県地価調査 ~特徴的な地価の動き~

今回は、先回に引き続き令和6年都道府県地価調査のことを記事にしたいと思います。

みなさまも、全国の地価が上昇傾向であることはニュース等で知ってらっしゃると思いますが、いくつか特徴的な動きがありますので、ご説明します。

≪住宅地≫
●低金利環境の継続などにより、引き続き住宅需要は堅調であり、地価の上昇は継続しています。特に、大都市圏の中心部などにおける地価は上昇傾向が強まっていると思われます。
●人気の高いリゾート地では、別荘やコンドミニアムに加え、移住者用住居などの需要が増大し、引き続き高い上昇となった地点が見られます。
●鉄道新路線等の開業による交通利便性の向上などを受け、上昇幅が拡大した地点が見られます。

≪商業地≫
●主要都市では、店舗・ホテルなどの需要が堅調であり、オフィスについても空室率の低下傾向や、賃料の上昇傾向によって収益性が向上していることなどから、地価の上昇が継続しています。
●外国人を含めた観光客が回復した観光地では、高い上昇となった地点が見られます。
●都市中心部付近では、マンション需要との競合により、引き続き高い上昇となった地点が見られます。
●再開発事業等が進展している地域では、利便性や賑わいの向上への期待感などから、地価の上昇が継続しています。

≪工業地≫
●TSMCやラピダスなどの大手半導体メーカーの工場が進出する地域では、関連企業の工業用地等の需要が旺盛となっており、地価の高い上昇が継続しています。
●eコマース市場の拡大による、大型物流施設用地等に対する需要を背景として、高速道路等へのアクセスが良好な工業地では、引き続き高い上昇となった地点が見られます。

上記のとおり、地価は上昇傾向なのですが、令和6年能登半島地震被災地をはじめ、災害で大きな被害を受けた地域では、地価が大きく下落しています。国土交通省が公表しているデータの変動率下位10地点(全用途)では、能登半島を中心とした石川県北部の地域ですべて埋まってしまいました。また、都道府県地価調査の価格時点は7月1日となります。そのため、9月に発生した能登半島豪雨災害の影響は反映されていませんので、来年3月に公表される地価公示でも下落傾向が続くのではないかとさみしい気持ちになります。

令和7年3月には、地価公示が公表されます。今後の地価はどの様な動きを見せるのでしょうか。

令和5年度 住宅市場動向調査について

国土交通省が、7月30日に「令和5年度 住宅市場動向調査」を公表しました。

この調査は、国土交通省が、個人の住宅建設に関して影響を受けたことや資金調達方法等についての実態を把握し、今後の住宅政策の企画立案の基礎資料とすることを目的として、平成13年度から毎年度実施しているものです。

調査対象者は、令和4年度中(令和4年4月~令和5年3月)に住み替え・建て替え・リフォームを行った世帯が対象で、注文住宅、分譲住宅、中古住宅、民間賃貸住宅及びリフォーム住宅の利用関係別に、住み替え・建て替え前後の住宅、世帯の状況、住宅取得等の資金調達の状況等調査を行っています。

公表された調査結果の中で私が気になったのは、分譲戸建住宅取得世帯の30%は、元々注文住宅を希望していたことです。

①注文住宅取得世帯
元々の希望住宅 ①注文住宅91.1% ②分譲戸建住宅3.0% ③分譲マンション1.4%      
        ④中古戸建住宅1.1% ⑤中古マンション0.4%

②分譲戸建住宅取得世帯
元々の希望住宅 ①注文住宅30.0% ②分譲戸建住宅58.0% ③分譲マンション3.3%      
        ④中古戸建住宅1.8% ⑤中古マンション0.0%


③分譲マンション取得世帯
元々の希望住宅 ①注文住宅3.6% ②分譲戸建住宅4.0% ③分譲マンション83.1%      
        ④中古戸建住宅0.8% ⑤中古マンション2.8%

④中古戸建取得世帯
元々の希望住宅 ①注文住宅5.0% ②分譲戸建住宅10.7% ③分譲マンション0.7%      
        ④中古戸建住宅63.5% ⑤中古マンション7.0%

⑤中古マンション取得世帯
元々の希望住宅 ①注文住宅1.7% ②分譲戸建住宅1.4% ③分譲マンション12.5%      
        ④中古戸建住宅6.2% ⑤中古マンション69.6%

当たり前ですが、注文住宅は、土地がないと建てられません。敷地の取得方法として、相続や贈与などもありますが、多くの方は購入されます(令和5年度では、63.5%の方が購入されています) 。気に入った土地と出会えれば良いのですが、出会うまでずっと探し続けるわけにもいかないといった理由があると思います。また、分譲戸建住宅となっている土地は、個人では購入の難しい大きな土地を建売業者が購入し区画割して分譲しています。そのため、良い立地の土地も多いのです。そのような理由から、注文住宅を検討している世帯でも希望する土地と出会えなかった30%の世帯が、気に入った立地にある分譲戸建住宅の購入を決められたのだと推測しています。

能登半島地震の建物解体作業、相続未登記がネックで進まず

5月1日の朝日デジタルで、「能登半島地震4ヶ月 解体終了は想定の1%以下、建物の未登記が壁に」という記事が掲載されました。

石川県内では、住宅や店舗などの建物約4万8千棟が全半壊し、県はうち約2万2千棟を解体の対象としているそうですが、公費解体が終わったのは、緊急解体も含め88棟(4月22日時点)で、自費解体を加えても計131棟と想定の1%となっているそうです。

公費解体は、自治体が所有者に変わり被災した建物を解体撤去する制度です。公費解体をする際には、建物の所有者を確認する必要がありますが、被災地では、代々同じ場所に住み続けている家族が多く、相続登記がされないままとなっているようです。人手不足など他にも多くの原因がありますが、相続未登記も公費解体が進んでいない原因の一つだという事です。

以前のブログで、珠洲市にある私の親戚の家が被災したことを記事にしましたが、その家の登記も、すでに亡くなっている私のおじいさんのままとなっています。記事の通りだなと感じます。

珠洲市の公費解体の申請においては、建物に相続が発生している場合、相続権者全員の同意書、印鑑証明書、相続関係図と相続権者全員の戸籍謄本が必要になります。珠洲市の半壊した家は母方の実家になりますが、母方の兄弟(おじいさんの相続人)は全員存命であり、建物の相続人も決まっているので、書類は整うと思いますが、2次相続が発生している場合などは、相続権者が増え、同意を得るのに苦労することもあると思います。

参考 石川県:公費解体の申請における相続や同意取得等に関する窓口

さて、4月1日から、相続登記の義務化がスタートしました。相続登記の義務化は、所有者が亡くなったのに相続登記がされないことによって、登記簿を見ても所有者が分からない「所有者不明土地」が全国で増加し、周辺の環境の悪化や民間取引・公共事業の阻害が生ずることなどが社会問題となったことがきっかけでしたが、公費解体が進まないのも相続未登記が原因の一つです。相続登記義務化により、この様な社会問題が減っていけばいいなと感じています。

不動産情報ライブラリ

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」が、令和6年4月より運用を開始しました。パソコンの他、スマートフォンやタブレットからも無料で閲覧できます。
国や各自治体がバラバラに公開している不動産関連の情報を集約したサイトで、不動産の取引価格、地価公示等の価格情報や防災情報、都市計画情報、周辺施設情報など、不動産に関する情報が閲覧することができる他、国税調査や将来推計人口なども同サイトで確認できます。
取引価格も手軽に閲覧することができますので、ハザードマップの確認のついでに、居住地の相場を確認してみるのも良いと思われます。

【不動産情報ライブラリ】https://www.reinfolib.mlit.go.jp/

何の前触れもなく突然発生する地震 ~能登半島地震の威力~

先回の私のブログで、能登半島地震のことを記事にしましたが、書ききれないこともあったため、再度記事にしたいと思います。

私の母の実家は、能登半島地震の震源地となった石川県珠洲市にあります。珠洲市の実家は、目の前に海や山があり、小さい頃は、漁師だったおじいさんに釣りに連れて行ってもらったり、裏山で虫を取ったり、豊かな自然でよく遊んだものです。大人になり、年に1回の墓参りしか行くことはなくなりましたが、大切な思い出がある「田舎の家」です。

※田舎の家ですが、能登半島地震が発生する前は、おじさん、おばさんが住んでいましたが、この地震により半壊しました。二人とも、今は、珠洲市を離れて暮らしています。

地震発生後、田舎の家が気になり、四六時中、テレビ報道やX(旧Twitter)、地元の人が動画を上げてくれていたYouTubeなどで情報収集していました。しかし、田舎の家は、珠洲市のほぼ先端にあるため、当初は道路が寸断されて救助が入れなかったためか、ほとんど情報が入ってきませんでした。1月の終わり頃より、徐々に画像等の情報が入るようになり、ヘリコプターから撮影された田舎の家や、Xには、私が通っていたスーパー、何度も通ったことのある神社が倒壊している画像などが掲載され、被害の全貌が分かってきました。地震被害に遭われている方には大変申し訳ございませんが、田舎の家やその周辺の状況が分かるようになり、気持ちはなぜか落ち着いていきました。下の写真は、親族が田舎の家を片付けに行った際に撮ったものです。

○亡くなったおじいさんの船が泊めてあった港は、ニュースで報道されているとおり、港そのものが4mほど隆起して、海が消えていました。

IMG_0374

○裏山は、山道に沿うように土砂崩れが発生していました。おじいさん、おばあさんが眠るお墓は、奇跡的に土砂に巻き込まれないで済んでいました。

IMG_0362

私は、地震は何の前触れもなく起き、甚大な被害を与えるので、皆様に、今のうちに備えをしてほしいと思い、色々なところで、地震に遭ったこと、母の実家が半壊したことなどを話しています。能登半島地震をきっかけに我が家も地震に備え、家具の固定をしましたし、災害用トイレやランタンなどを購入しました。
地震は何の前触れもなく、突然発生します。みなさまも、ぜひ地震に対する備えをしてください。よろしくお願いします。
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