最近、鉄道や百貨店等で、本業ではない不動産賃貸に注力し、
その営業利益が好業績を牽引しているケースが見受けられます。
両者に共通しているのは、古くから一等地を所有している点です。
古くから所有しているということは、簿価が安いということであり、
それ故に、自社での事業展開に拘ったり、最有効利用があまり
検討されてこなかったような気がします。
しかし、ようやく、優良資産を最大限活用して、利益を上げるという
考え方が広がってきたようです。
ここでいう一等地は、高層建物建築が可能となる商業地です。
一等地を最有効利用しようとすれば、容積率をフルに活用した
より広い床面積の建物を建てることになりますが、
自社利用に拘ると、そこまで広い床面積は必要ないと判断する場合があります。
一方、自社の実需に関係なく、より広い床面積の建物を建てた場合、
収益性を無視して事業規模を拡大したという結果を招き、
景気低迷時等に大きな損失が生じることがあります。
つまり、古くから一等地を所有している会社が、その土地を
最有効利用(賃貸を除く)することは容易くないということです。
一等地であればあるほど、その土地の価値を引き上げるために、
最有効利用できる会社を冷静に判断する必要があり、
冷静に判断すればするほど、賃貸の割合が増加するものと考えております。
自社で事業を行えば、一等地であっても損失が発生することがあります。
しかし、一等地の不動産を賃貸する場合、安定した高収益が期待でき、
損失が発生する可能性は無いに等しいといえます。
今後も歴史のある会社を中心に、他業種から不動産賃貸業への
本格的な参入が増加するような気がします。