不動産コンサルタントのつぶやき

名南財産コンサルタンツ 不動産事業部 公式ブログ

法令

空き家3,000万円控除の改正

令和5年度が始まりました。
新年度となり、通勤時間の電車の中にも新成人や学生が増え、新しい年度を迎えたことを
肌で実感しています。

不動産に関する税制についても、令和5年度からいくつかの税制改正が行われました。
その中で、通称「空き家3,000万円特別控除」についても、令和6年1月以降の譲渡分から
現行の制度から改正が行われます。
令和5年12月31日までの譲渡については現行の税制が適用されますので、まだ少し先の話では
ありますが、改正された内容についてご紹介いたします。

【改正内容】
①相続人が3名以上の場合、一人あたりの特別控除枠が2,000万円に減額される。
②建物の解体については、譲渡した日の所属する年の翌年2月15日までに行うこと。
 (耐震補強工事も同様)

特に大きな改正としては②になります。
今までは、譲渡前に建物を解体する必要があったことから、必然的に売主が行っていましたが、
本改正により、買主が土地建物を購入し、そのうえで期限内に建物を取り壊すことでも
本制度が適用できることとなりました。
具体的にどのような書類が必要になるのかは今からの発表になると思いますが、
本改正は不動産取引の現場において大きく影響すると考えられます。

令和6年1月からの譲渡なので、現時点ではあまり意識しなくてもよいですが、
秋ごろ以降の取引については改正内容を把握して取引を行う必要があります。

別荘地の管理費問題(必ず支払う?)について

先回のブログで相続土地国庫帰属制度をご紹介しました。

なぜこの制度をご紹介したかというと、山林や開発倒れの土地など、売却が困難な不動産を相続する方のほとんどが、お金を払ってでもそれらを処分したいことを経験で知っているからです。

山林や開発逃れの土地などの処分の相談を受けると、それらを買い取る専門の業者を紹介するなどして処分してもらっていますが、処分できない不動産があります。

その一つが、所有している限り管理費を払い続けなければならない別荘地です。管理費を請求される別荘地では、建物が建っていない未利用の場合でも毎年管理費が請求されることがあり所有者を悩ましています。

先ほどの専門業者の場合、管理費が発生している土地の買取は不可のため、悩ましい問題です。

また、先回ご紹介した相続土地国庫帰属制度でも、法務省の相続土地国庫帰属制度に関するQ&Aで「管理費の支払を巡ってトラブルになるような別荘地は、引き取ることができない可能性があります。」と記載されているなど、制度利用にはハードルがあります。

さて、お客様の相談を受けたある別荘地の件で調査をしていると、消費者庁が掲載している「ひょうご消費者ネットとハートランド管理センター株式会社の訴訟に関する控訴審判決について」の裁判資料に行きつきました。

上記の判決では、争いになっている別荘地に土地を所有している限り更新される管理契約は、消費者契約法第10条により無効であるとしました。

この判決が確定すれば、管理契約は自動更新しないことになりますので、管理の継続契約を希望しない場合は、管理契約は解除され管理費の負担はなくなります。

ただし、管理会社側が控訴しましたので、最高裁(この時点で日程確認できず)まで最終判決は持ち越しとなりました。別荘地の管理費は別荘地を所有し続ける限り払い続けなければならないのか?払わなくてもいいのか?自分の業務の中では重要な裁判になっています。

相続した売れない土地、国が引き取ってくれるかも!?

令和5年4月27日から始まる「相続土地国庫帰属制度」はご存じでしょうか?

この制度は、相続または遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により取得した土地を国庫に帰属させることができる制度です。

不動産の仕事をしていると、売ってあげたくても売れない不動産があります。例えば、限界集落と言われる過疎化や少子高齢化が問題になっている地域などでは、不動産の需要が乏しく値段を下げても簡単には売却できません。

不動産が売却できないと毎年負担する固定資産税など負担がかかります。何とか処分したいために、自治体へ寄付について相談したこともありますが、自治体が引き取ったことは一度もありません。

しかし、「相続土地国庫帰属制度」では、建物付きの土地などは引き取ってもらえませんが、土地については一定の条件をクリアし負担金を納付することで国が引き取ってくれます。引き取ってもらえない土地の条件については法務省のホームページでご確認ください。

なお、制度開始にともない、令和5年2月22日より相続土地国庫帰属制度の相談対応が始まります。

相談先は、国へ引き取ってもらいたい土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門になりますが、その土地がお住まいの地域から遠方にある場合など、その土地が所在する法務局・地方法務局(本局)への相談が難しい場合は、お近くの法務局地方法務局(本局)でも相談が可能です。なお、支局・出張所では相談は受付られていませんのでご注意ください。

相続した土地が売れなくて困っている方は、本制度の活用を考えてみてはいかがでしょうか。

空き家3000万円控除申請時の注意点

空き家3,000万円控除が制度が改正され延長されました。
この申請や延長されたことについては昨月のブログでご紹介されていますが、
2月の確定申告に向けて準備をされている方もいらっしゃると思います。

この制度を利用するためには、「被相続人居住用家屋等確認申請書」を
確定申告の際に税務署に提出する必要があります。
また、この申請書は、その不動産の所在地の役所に申請書に必要書類を添付の上
申請する必要があります。

必要な書類は、家屋をそのままの状態で売却するか、また建物を解体して
更地で引き渡すかによって変わってきます。その中で、建物を解体して
更地で引き渡す際には必要書類の中で注意を要する書類があります。
それは「建物の解体前及び解体後の写真」です。
建物の利用状況を確認するため、解体前後の写真を添付する必要がありますが、
これを把握せず写真を撮影していないと、必要書類が揃わず制度の適用が受けられなくなる
可能性があります。

この写真は後から手配できるものではありませんので、本制度を適用する予定の場合
必ず解体前後の写真を撮影しておく必要がありますのでご注意ください。
(本制度の適用の可否については、不動産業者や管轄税務署にご確認ください。)



不動産広告の距離表示

不動産の広告をみると「○○駅から徒歩○分」と表示されており、
この表示で不動産の利便性を判断されている方も多いのではないでしょうか。

この「徒歩○分」という表記は、「不動産の公正競争規約」というルールに基づいて
表記されており、具体的なルールは下記のとおり統一されています。
○徒歩による所用時間は、道路距離80mにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。
○この場合において、1分未満の端数が生じたときは、1分として算出すること。

また、もう少し詳細なご説明をすると、
○距離は直線距離ではなく道路距離であること。(信号待ち等は考慮せず)
○駅までの距離は、「建物の入り口」から「駅のホーム入口」までの距離。
というルールがあります。
※令和4年9月1日より規約が改正され、従前は「敷地の出入り口」が起点でしたが、改正後は「建物の入り口」に変更されています。特に大規模マンション等になると、敷地入口から建物エントランスまでの距離があり、改正後はより具体的な分数が分かるようになりました。

上記のルールにしたがって表示されているため、実際に歩いた分数との違いは
出てくると思います。(信号待ちが考慮されていないことや、複数路線乗り入れが
ある駅だと、利用する路線によって分数が変わります。)

不動産を検討される際に、現地をよく確認することはもちろんのこと、
実際に駅まで歩いてみてどれくらいの時間がかかるかも
確認されることをお勧め致します。

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

  • ライブドアブログ