不動産コンサルタントのつぶやき

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法令

確認済証と検査済証の違い

 中古の建物を購入するために金融機関から融資を受ける際に、審査の必要書類として
 「検査済証」の提出を求められることがあります。
 また、投資用の収益不動産の物件概要書を見ると、「検査済証あり」との標記を目に
 することもあるかと思います。
 この「検査済証」と似たようなものに「建築確認済証」がありますが、
 この二つの書類の違いを見てみましょう。

 通常、建物を建てる際には建築確認申請を行う必要があります。
 建築確認申請とは、工事を行う前に、建築する予定の建物の設計図書の中身が
 都市計画法や建築基準法等の法律に適合しているかを、特定行政庁や民間審査機関に
 確認してもらう手続きです。
 「建築確認済証」は、建築予定の建物が適法であることが確認されたときに、
 確認を行った特定行政庁や民間審査機関から交付されるものです。

 その後、建築工事が完了した際に、特定行政庁や民間審査機関から完了検査を受けなければ
 なりません。完了検査とは建築確認申請通りに施工されたことを確認する検査で、
 この検査に合格しなければ、原則としてその建物を使用することはできません。
 「検査済証」は、完了検査によって建築物が適法に建築されたことが認められると、
 確認を行った特定行政庁や民間審査機関から交付されるものです。

 言い換えれば、「建築確認済証」があるだけでは、その建築物が適法に建築されたことを
 証明できず、「検査済証」があって初めて適法であることが証明できることになります。
 なお、「建築確認済証」や「検査済証」を紛失した場合、原則として再発行はできません。
 ただし、これに代わる証明(検査済証等交付済みの証明等)を発行する特定行政庁等も
 増えてきています。しかしながら、検査済証等交付済みの証明等が確認される期限内で
 ないと交付されないことがありますので、確認が必要です。

 物件の購入を決めて、いざ金融機関で融資を受ける際に「検査済証」が無く、
 融資が通らないこともあります。したがって、購入を検討するときには「検査済証」の
 有無を事前に確認し、また金融機関に「検査済証」が融資の審査に必要であるかを
 確認することが必要です。
  

地震地域係数の見直し議論

前回記載した地震地域係数について、能登地震をきっかけに見直しを行う動きがでています。

前回のブログ

今回の能登半島地震で大きな被害を受けた石川県の珠洲市、輪島市、能登町、穴水町は
いずれも地震地域係数が0.9となっており、また過去の熊本地震で被害を受けた熊本県においても、
地震地域係数は0.8もしくは0.9となっていることから、今回の見直しの議論となったようです。

前回のブログでも記載した通り、最大値を1.0として、地域によって係数が割り引かれているものです。
この係数は昭和27年に制定され、昭和53年の改正を経たものであり、制定されてから時間が経過しています。
調べてみると、熊本地震の後に国会でも係数の見直しが質疑されたことがあるようです。
当然、日本を取り巻く地震事情も当然に変化しており、いずれにしても「地震を前提としたあるべき姿」のための係数として、しっかり議論されることを望みます。

建設業界の2024年問題

「建設業の2024年問題」というものをご存じでしょうか。
2019年4月に施行された「働き方改革関連法」により、(5年間の猶予措置が終了し)4月から時間外労働の上限を超え違法な労働させている企業は、懲役刑や罰金刑が科せられことになります。
建設業界では、深刻な人手不足が起こり、労働人件費が上昇し、残業が抑制され工期が伸びることが予測されており、結果、建築工事費の上昇は確実と言われています。
これまでも、建築工事費の高騰はしばしば言われていましたが、4月以降、更なる影響がどのように出てくるかは注視していきたいと思います。

地震地域係数

建物には、重力や地震等により様々な荷重がかかるため、それらの荷重に対しての安全性を有することが求められます。その安全性を担保するため、建物を建築する際には建築基準法による様々な規制を受け、その規制の一つに「構造計算」があります。

構造計算は、一定規模以上の建物を建築する際に義務付けられており、建物自体の重さや荷重などを計算したうえで、その荷重等や地震、台風などに建物が耐えられるかの安全性を確認します。

 

構造計算には、地震によって建物に作用する力を示す地震力を計算する算出式があり、その算出式の中に、エリアごとに設定されている「地震地域係数」という係数があります。

この係数には、最大値1.0、最小値0.7からなる4段階があり、地震が起きやすい地域の係数は高く、起きにくい地域は低くなるように指定されています。エリアは市町村単位で区分されており、正確な割合ではありませんが、三大都市圏を含む約8割程度の係数は1.0もしくは0.9に指定されており、最小値の0.7に指定されているのは沖縄県のみとなります。

なお、静岡県と福岡市では、耐震性を向上させるため、条例により地震地域係数を上乗せしています。

○静岡県全域

南海トラフ巨大地震等に備え、平成293月から指定された係数1.01.2倍(1.2)にすることを義務化。

○福岡市

警固断層帯に沿った揺れやすいエリアで、高さ20mを超える建物の場合、指定された係数0.81.25倍(1.0)にするように努めなければならない。

上記のとおり、地域ごとの地震地域係数により地震力を計算しますので、それぞれの地域に求められる耐震性能も異なります。建物を建築する際には重要な事項となりますので、建築前に確認されることをお勧め致します。

 

 国土交通省HP 建築基準法施行令第八十八条第一項

 https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/201703/00006623.pdf

 

 静岡県建築基準条例等の一部改正

https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/015/956/zs_gaiyouban.pdf

 

 福岡市建築基準法施行条例の改正

https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/19664/1/kego-danso-taisaku.pdf?20190304140946

 

空家対策に取り組む状況について

9月27日に国土交通省が、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)の施行状況等について、地方公共団体を対象にした調査の結果を公表しました(調査は令和5年3月31日時点)。

【調査のポイント】
①全国1,741市町村のうち、空き家対策に関する計画は、1,450市町村(83%)で策定され、法定協議会は992市町村(57%)で設置されている。

②平成27年の法律の施行から令和4年度末までに、空家法第14条に基づく特定空家等に対する措置が、41,476件講じられている。

(特定空家)
1.そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

助言・指導 37,421件
勧告 3,078件
命令 382件
行政代執行 180件
略式代執行 415件 合計41,476件

③空家法の施行から令和4年度末までに、空家法に基づく措置や市区町村による空き家対策によって、168,198件の管理不全の空き家の除却や修繕等が進んでいる。

・空家法の措置により除却や修繕等がなされた特定空家等 22,148件
・上記以外の取組により除却や修繕等がなされた管理不全の空き家 146,050件 合計168,198件

◎国交省は、改正空家法の施行に向けた空き家対策の現在地として公表しています。
改正空家法は、令和5年6月14日に公布されており、公布の日から6ヶ月以内に施行されます。
空家法の施行により、特定空家の数の把握や対応等進んできたと感じます。
また、空き家等の譲渡所得3,000万円控除など税制も空き家対策一役買っていると思っています。
空き家等の譲渡所得3,000万円控除に係る確認書の交付実績を見ると毎年交付件数は増えています。

平成28年度 4,472件
平成29年度 7,033件
平成30年度 7,665件
令和元年度 9,676件
令和2年度 9,824件
令和3年度 11,976件
令和4年度 12,956件

○改正空家法が施行されると、固定資産税の住宅用地特例の解除について、現行では特定空家に対する措置でしたが、管理不全空家等(放置すれば特定空家等になるおそれがある空家等)にも範囲を広げるなど、特定空家化を未然に防止する制度にしています。
 現行→市区町村長から勧告を受けた特定空家の敷地について固定資産税の住宅用地特例を解除。
 改正→市区町村長から勧告を受けた管理不全空家の敷地についても、住宅用地特例を解除。

 住宅用地特例 200㎡以下の部分 固定資産税の課税標準を6分の1に減額
        200㎡を超える部分 固定資産税の課税標準を3分の1に減額

その他、相続登記の義務化など、ここ数年空き家の対策が進んでいると感じています。加えて、中古住宅の流通量を拡大させるなど、空き家が問題になるのではなく資産となるような社会になってほしいと思っています。
 





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